説文解字私註 乇部

乇部

説文解字
艸葉也。从垂穗、上貫一、下有根。象形。凡乇之屬皆从乇。
康煕字典
丿部二劃
『集韻』陟格切、音磔。草木根乇生地上也。
『玉篇』竹戹切。義同。
『六書正譌』借爲寄乇、委乇、字樣別作通。
タク
解字(白川)
字の用例無し。『易・解』雷雨作、而百果草木皆甲宅の宅を乇の用例とする説もあるが、甲宅は甲坼の意。宅、亳など建物に關する字の要素となること、また託、托、吒のやうに呪祝に關する意があることなどからみて、乇は草の葉などによる占卜の方法を示すものであらうと考へられる。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、金文の構形は不明で、よい説が未だない。宅や亳の聲符に用ゐられる。
一説に、物を分ける器、恐らく刀の形を象るとする。
甲骨文の乇と力は形が近く、乇字の横劃は上にあり、力字の横劃は下にあることで分別する。
甲骨文えは祭名に用ゐ、これは牲を用ゐる法で、後の磔に相當し、人や動物の肢體を割いて祭ることを表す。
金文では讀んで捶となし、捶擊を表す。『郭店楚簡・老子乙』簡16にある子孫以丌(其)祭祀不乇の乇を、王弼本『老子〔五十四〕』は輟につくり、『馬王堆・老子乙本』は絕につくり、子孫が祭祀を斷たざるの意を表す。