敉 - 漢字私註
説文解字
- 敉
撫也。从攴米聲。『周書』曰、亦未克敉公功。讀若弭。
- 三・攴部
- 侎
敉或从人。
康煕字典
- 部・劃數
- 攴部六劃
『廣韻』綿婢切『集韻』『韻會』母婢切、𠀤音弭。『說文』撫也。『廣韻』安也。『書・大誥』民獻有十夫、予翼以于敉寧武圖功。《傳》用撫安武事、謀立其功。
又『類篇』一曰愛也。
又『集韻』『類篇』𠀤普弭切、音仳。義同。
又與弭通。『儀禮・士喪禮註』巫掌招弭、以除疾病。《疏》弭讀爲敉、安也。
- 部・劃數
- 人部六劃
- 部・劃數
- 心部六劃
『集韻』綿批切、音彌。心惑也。或从迷。
音訓
- 音
- ビ(漢)
- 訓
- なでる。やすんずる。いつくしむ。
解字
白川
形聲。聲符は米。
藤堂
落合
甲骨文に米を假借する用法があり、やすんずることを表す敉の初文と推定されてゐる。
甲骨文には既に米に殳を加へた形も見え、殳を攴に變へた敉は篆文に出現する。篆文では同意の撫もつくられてゐる。
漢字多功能字庫
敉はまた侎につくり、安撫、安定をあらはす。
侎はあるいは尸と少に從ふ形に隸定し、甲骨文は人と少に從ふ。胡厚宣は人が大便する形を象るとし、卜辭「屎田」を農田に糞肥を施すると解く。裘錫圭は沙と古音近く、讀んで選となし、卜辭は耕種する田地を選ぶことであるとする。
西周金文は人と少と廾に從ひ、あるいは廾を省き、あるいは小に從ふ。小と少は同源から分化したもので、字の要素として通用する。構形本義未明。文例を見るところ、繼承、繼ぐ、續くの意を有する。禹鼎命禹仯(侎)賸且考
。
戰國金文は人と米、あるいは尸と米に從ふ。尸と人の古文字はどちらも人を側面から見た形を象る。郭沫若、容庚は侎と隸定してゐる。陳侯因𬁼敦高且黃啻(帝),侎嗣𧻚文。
。もし説文解字に據り安撫と解けば、文例を讀み解く手立てがない。容庚は古籍の敉はみな繼承を表し、ゆゑに侎を繼となし、𧻚文を繼承するの意を表すとする。このほか、この字を屎字であるとする學者もゐる。(補註: 白川、落合は上述の人と少に從ふ甲骨文を屎に當ててゐる。)
屬性
- 敉
- U+6549
- JIS X 0212: 33-44
- 侎
- U+4F8E
- JIS X 0212: 17-5
- 𢘺
- U+2263A