𢦒 - 漢字私註
説文解字
傷也。从戈才聲。
- 十二・戈部
康煕字典
- 部・劃數
- 戈部・二劃
𢦒字省文。詳𢦒字註。
- 部・劃數
- 戈部・三劃
『廣韻』祖才切『集韻』將來切、𠀤音栽。『說文』傷也。烖字類从之、省文也。後又省作𢦏。『六書正譌』从戈、才聲。戈有傷害之義。又借爲語詞、隸作哉、加口以別之。
異體字
或體。
音訓
- 音
- サイ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・咍・烖』祖才切〉
解字
白川
才と戈の會意。才は神聖の表示。これを樹てて地を祓ひ、聖域であることを示す。才を呪符的に用ゐて、これを戈に加へた形は𢦒。今、新車に御札をつけるのと同じく、新たに使用する物を祓ひ清める意。𢦒の從ふところは、才の繁文。
説文解字に傷つくるなり
とするのは、烖の聲義によるものであらうが、𢦒聲の字には事始めに祓ふ意を持つものが多く、𢦒に「はじめる」意がある。
金文に才、𢦒、哉を詠歎の「かな」に用ゐ、また一月四週の週名「哉生霸」とは「哉めて霸(魄、月の光)を生ず」の意で、月の第二週をいふ。
藤堂
戈と音符才(斷ち切る)の會意兼形聲。刃物で斷ち切ることを表す。斷ち切る、せき止める意を含む。
落合
甲骨文の災の異體に戈に從ふ形があり、𢦒に當たり、戰渦を表す。
漢字多功能字庫
甲骨文は戈に從ひ才聲。兵災、戰渦を表す。才の形はあるいは省略されて十の形に變はり、𢦏に作る。字形は馬王堆帛書を參見のこと。
甲骨文に三種の字形があり、異なる災害を表す。𡿧は水災、灾は火災、𢦔は兵災(商承祚)。卜辭では𢦔や𡿧はひろく災害を指し、災害の有無を貞問する。《合集》33473戊午卜、鼎(貞)、王其田、亡𢦔(災)。
金文での用義は次のとほり。
- 讀んで哉となし、語氣詞に用ゐる。叔䟒父卣
烏虖(乎)、焂、敬𢦔(哉)
- 讀んで戴となし、國名に用ゐる。𢦔叔慶父鬲
𢦔(戴)弔(叔)慶父乍(作)弔(叔)姬[⻖尊](尊)鬲。
説文解字に𨚵に作り、故國、在陳留。
といふ。傳世文獻に戴に作る。『春秋・隱公十年』宋人、蔡人、衛人伐戴。
漢帛書でも借りて哉となす。
- 《馬王堆帛書・戰國縱橫家書》第94行
乾(韓)、粱(梁)豈能得此於燕𢦏(哉)。
- 《老子甲本》第40-41行
吾何【以知其然】也𢦏(哉)?
を傳世王弼本『老子・五十七章』は吾何以知其然哉?
に作る。
傳世文獻は災で各種災害を表す。
屬性
- 𢦒
- U+22992
- 𢦏
- U+2298F
- JIS: 2-12-82
- 𢦔
- U+22994
関聯字
𢦒に從ふ字
- 𢧸
𢦒聲の字
- 哉
- 戴
- 胾
- 栽
- 𨚵
- 裁
- 烖
- 蛓
- 載
- 酨