頃 - 漢字私註
説文解字
頭不正也。从匕从頁。
- 註に
臣鉉等曰、匕者、有所比附、不正也。
といふ。 - 八・匕部
説文解字注
頭不正也。匕頭角而不正方。故頭不正从匕曰頃。引伸爲凡傾仄不正之偁。今則傾行而頃廢。專爲俄頃、頃畝之用矣。『謚法』敏以敬愼曰頃。甄心動懼曰頃。祗勤追懼曰頃。从匕頁。頁者、頭也。匕其頭、是不正也。義主於不正。故入匕部。不入頁部。去營切。十一部。
康煕字典
- 部・劃數
- 頁部二劃
- 古文
- 頔
『廣韻』去穎切『集韻』『韻會』犬潁切『正韻』丘潁切、𠀤傾上聲。『玉篇』田百畝爲頃。『後漢・黃憲傳』叔度汪汪若千頃波。
又俄頃。『禮・三年問』小者至於燕雀、猶有啁噍之頃焉。
又地名。『左傳・哀十二年』宋鄭之閒有𨻶地焉、曰頃丘。『音』苦潁反、又音傾。
又『唐韻』去營切『集韻』『韻會』『正韻』窺營切、𠀤與傾同。『說文』頭不正也。
又器名。『詩・周南』采采卷耳、不盈頃筐。『韓詩』云、𢽽筐也。
又『諡法』甄心動懼曰頃。敏以敬愼曰頃。
又西頃、山名。『前漢・地理志』隴西郡臨洮、禹貢西頃山在縣西。《師古註》頃讀曰傾。今本【〔書〕禹貢】作傾。西頃卽西傾也。○按【廣韻】作地名、非。
又『正韻』犬蘂切。與跬同。『禮・祭義』君子頃步而弗敢忘孝也。《註》頃當爲跬、缺婢反。又丘弭反。一舉足爲跬。再舉足爲步。
『說文』从匕从頁。《徐鉉曰》匕者、有所比附不正也。
異體字
簡体字。
音訓・用義
- 音
- (1) ケイ(漢) キャウ(呉) 〈『廣韻・上聲・靜・頃』去潁切〉[qǐng]{king2}
- (2) ケイ(漢) キャウ(呉) 〈『廣韻・下平聲・清・傾』去營切〉[qīng]{king1}
- (3) キ(漢、呉) 〈『正韻』犬蘂切、上聲、紙韻〉[kuǐ]
- 訓
- (1) しばらく(頃刻)。このごろ。
- (2) かたむく
- (國訓) ころ
一頃は百畝のことで、音(1)に讀む。
頃筐は、一方が低い(草摘み用の)籠のことで、音(1)に讀む。
半步を指すとき音(3)に讀む。跬に同じ。古く一步とは左右の足を一度づつ進めることをいひ、今でいふ二步に相當した。『小爾雅・廣度』跬、一舉足也。倍跬謂之步。
『康煕字典』一舉足爲跬。再舉足爲步。
解字
白川
匕と頁の會意。匕は右向きの人の形。上より降下する神靈を表す。頁は儀容を整へた人の形。その神靈を拜する意。祝詞を奏して人を迎へることを召といひ、頃に祝詞を加へた形は𩒨、神靈の𩒨(詣)ることをいふ。その拜する形を頃、𩒨(稽)といふ。
金文には稽首を𩒨首といふ。頃は拜して姿勢を傾ける意で、傾の初文。神が顯れるのはしばしの間であるから少頃、頃刻といひ、時を示す語となる。
『説文解字』に頭正しからざるなり
とするが、神を拜する姿勢。その姿勢を傾といふ。
藤堂
匕と頁の會意。匕(補註: 𠤎を當てるべきか)は化の原字で、妙な形に姿を變化させること。頃は、頭を傾げること。^型や、斜めになるの意を含む。傾の原字。
漢字多功能字庫
匕と頁に從ひ、頭が眞つ直ぐでないことを表す。段注匕、頭角而不正方、故頭不正從匕曰頃。引伸為凡傾仄不正之偁。今則「傾」行而「頃」廢。
傾斜を表し、傾に同じ。『漢書・王褒傳』是以聖王不遍窺望而視已明、不單頃耳而聽已聰。
量詞に用ゐ、土地の面積の單位を表す。『管子・揆度』百乘為耕田萬頃、為戶萬戶、為開口十萬人、為當分者萬人、為輕車百乘、為馬四百匹。
短時間を表す。『荀子・正論』譬之是猶以塼涂塞江海也、以焦僥而戴太山也、蹎跌碎折不待頃矣。
楊倞注頃、少頃也。
また往昔を指す。『漢書・溝洫志』頃所以闊無大害者、以屯氏河通、兩川分流也。今屯氏河塞、靈鳴犢口又益不利、獨一川兼受數河之任、雖高增隄防、終不能泄。
屬性
- 頃
- U+9803
- JIS: 1-26-2
- 常用漢字(平成22年追加)
- 顷
- U+9877
關聯字
頃聲の字
- 廎
- 穎
- 傾
- 熲
- 潁
- 𨻺