娯樂系感想等: 劇場版Fate/stay night Heaven's Feel I presage flower
ゲームで遊んだのも今は昔。桜ルートについて覺えてゐることと言へば、禍々しく陰鬱で腥いといふ印象くらゐになつてゐた。主に間桐さんちの所爲で。間桐さんちの所爲で。大事なことなので二度言つた。細かいところまで覺えてゐたわけではないが、映畫化の話を聞いたときに、「本眞にやるんか!?」と少なからず驚いた程度にはイメージが腦裡にあつたのも確かであつた。では何故さう思つたか。セイバールート、凛ルートは、さういふシーンを省いたところで本質が變はるとは思へないが、桜ルートに限つてはさうではない氣がするのだもの。
かうして感想文めいたものを書いてゐるからには無論觀に行つたのだが、正直を言へば、映畫化の話を聞いたときから最近に至るまで、そこまで前向きに觀に行かうと思つてゐたわけではなかつた。だつて、話が濕り氣を帶びてゐる上に、三部作ときては、最後の最後にはそれなりのカタルシスを得られようとも、話の途中ではただただ苦い物を呑んだ氣分になるだけでは、みたいなことを思つたのだもの。ただ、同時に、結局は觀に行くことになるだらうな、といふ諦觀も早くからあつた。
實際觀た感想は、抱いてゐた印象と違はぬ雰圍氣が畫面から傳はつてくる、といふもの。しかし、心配してゐた程には嫌な氣分にはならなかつたので、そのあたりのバランスが上手く取られてゐたのではないかと思ふ。話の全體像を提示するためにも、桜に關はるシーンばかりで構成するわけにはいかないわけだが、それでも、主線はあくまで桜であると十分に意識させられるつくりであつた。導入がゲームの前日譚、その後しばらくダイジェストといふのが、そのあたりの印象をくつきりさせてゐる。
今はともかく續きを樂しみに待ちたい。さう思はせてくれる出來であつた。