穴拔け日記 (R2.1.1)
新年明けましてお目出度う御座います。本年も宜しく御願ひ申し上げます。
幾ら穴拔け日記と題してをつても、この頃の穴の開け方は流石にどうかと思ふので、今年は多少なりとも改善したいと、今は思つてゐる。
カルロス・ゴーンが高飛びして云々といふニュースが一年の最後の最後に驅け巡つた。日本の司法制度が惡いと擁護に回る向きもあれば、どうやるのか手段も示さず威勢良く絶對許さんみたいなことを言ふ向きもある模樣。個人的には、逃げられたものは仕方ないので、國際的指名手配をして日本國内資産(殘つてゐるとはあんまり思はないが)を凍結ないし沒收した後は、レバノンとの外交關係をそれなりの程度に見直すくらゐしか方策などあるまい、と思つてゐる。そもそもを言へば、現在の主權國家體制を前提としたあれこれの枠から、件の人物が大きくはみ出てゐたといふのが、本件の惹起した要因であるから、當局の體制の不備を云々したところで仕方がない。彼に合はせてあれこれを整備し直すとなると、根本から國家や社會の體制に手を加へるか、過度に嚴格で取り回しの難しい態勢を現場に強ひるか、いづれかになるであらうし、となれば安直に後者に行きがちで、結局皆が迷惑するだけになつてしまふのが落ちではないか。社會體制の拔本的見直しを徐々に行ふべきことは念頭に置くべきだが、惡人一人のことで右往左往するのは避けた方が宜しからう。現時點で本件から言へることは一つ、ゴーンは裁判に掛けるまでもなく極惡人であつた、といふことである。