5月詩集 笑う! CopyRights2002(c)蘭の会 AllrightsReserved.
アナタ
いのち
微笑は 人をやさしく 強くする
朝の交通渋滞
Sunflower smiles.
裁断機
風とお散歩
手
銀座で幸福になりましょう
普通なの。
アナタは笑顔
喋る言葉の末端はいつでも笑顔
それで私は笑顔
それで幸せ
お互いに幸せ
何も
いらないの
母親に
取り残されて
捨てられた
赤ん坊でも
そばにいる
誰かに向かって
微笑むことが、できるんだよ
微 粒子が青く降ってくるような月の 夜
笑 ってくれない少女の前で、看護士 は
み もしらない国の冒険談を読みきか せ
は てしない地球の広さを語ろうとす る
人 の行方を誰が決める禍福や命の長 短
を と彼は幾度も心の中で繰り返し問 い
や がていつしか病魔に摘み取られる 命
さ え明日に向けてそれでも伸びよう と
し ずかに目指しているのは太陽の方 向
く るしみの在処などしらなくてもい い
強 くなりたいから最後まで笑ってい て
く れと請う筋ジストロフィーの少女 を
す こしでも、輝く明日へ誘うために と
る んびにい光のある場所をめざし祈 り
朝の交通渋滞の列はじわじわとしか動かないから
たまにハンドルから両手を離して身振りが大きくなるよね
東から緩い傾斜で差し込む陽射が
浮かびあがらせてる左からの横顔は
愉快だと、言わんばかりに頬が少し揚がってる
毎朝、赤い煙草の看板のトコロで
毎朝、ラジオから流れる同じCM
毎朝、同じ語呂合わせのオチ
毎朝、聞いているのに
毎朝、はじけるあなたの声
毎朝、同じ夢繰り返してるみたいに
毎朝、なのでもう笑ってあげないけど
毎朝、あなたの膝にツッコミを入れて
毎朝、引き締まった逞しい筋肉に触れて
毎朝、わたしは一日分のエネルギーを補給する
それから、今朝のお気に入りはなんだっけ?
ああ、演歌の曲名があなたのツボにヒットしたんだ
このダメージはLv20はきてるかも
だってこれから30分は
愉快の国の王様の
ダジャレの行進が車の周りをグルグルまわるんだから
毎日毎朝、積み重ねられてゆくこの愉しみは
ふたりにしかわからない過去を
ふたりにしか予測できない未来を
決済された書類が忘れられたくて積み重なるように
ふたりの間の歪やヒビや切れ目や隔たりを
透明なカサブタで知らない間に埋めてゆく
朝の交通渋滞の列は平日毎朝休みなく続くから
あなたの頬も休みなく少し揚がるから
わたしも休みなくエネルギーを補給して
車から降りたら
今日を生きる場所へと
一日一歩、進んでみせる
手の届くところに雲が待っている近づくだけで割れる、その音
意味がある意味がない意味にならない名がつく前のダンスに近い
雲が割れ降りてくる天使の梯子。血を流しつつわらう、それでも
曲線が私の胸を引き寄せてよくわからないものを吹き込む
なんといって話しかけよう集中を補助するために寄せられた皮膚
張り出した額の先の頬肉がふと持ち上がり そうか、よかった
敬虔は 鳥に食わせてしまったの
見ても触れても情熱が・・・ないでしょう
熱心は 地面に埋めてしまったわ
待てど暮らせど奮い立てない もうすでに
命を得よ、というのなら 笑いを絶やさない
「皆さん元気でいらっしゃる?」「・・・ ・・・ ・・・」
ブラックホールのような裁断機が元気に動いて
人も、制度も、もはや 手が届かず。
処分につぐ処分のスピードに勝てなかった私でごめんよ。
敬虔は 鳩がフンすりゃ 落ちてくる
誰が抱いてもとっても・・・熱いわ
浅黄色の風に吹かれて
水田が漣立つ
映りこんでる空が 笑っている
海松色の風に吹かれて
川面が揺らめく
浮かぶ面影が 微笑んでいる
苔色の風に 木々が笑うよ
見上げていると 心が軽くなっていく
萌葱色の風に 花が笑うよ
見つめていると 心が和んでいく
鶸色の風に
笑顔で手を差し伸べる
髪をなびかせて 駆け出す娘
笑い声が弾ける
私の心も弾んでいく
風がくれた笑顔のひと時
マシュマロの
柔らかさに似て
君の手は
触れただけでも
微笑んでいた
手の笑窪
知らぬあいだに
消えていた
悲しい思い
させたのは僕
柔らかく
しなやかでいて
強かな
君の手は今
光に笑う
お仕事して、よ
もっと、もっと、お仕事して
わたしの靴のために
並木通り踏みしめるから
交差点に天使が降りるを見たことあるかた
右にいくか左にいくか、のるかそるかですよ
おおげさなビジネスチャンスっていうものは
お似合いの背広みたいなもんで
決して過去の産物ではありません
アルミニウムのアタッシュケースに然り
だからさ、そこのあなた、とろとろしてんじゃねぇ
さっさとお目目を開けて、お仕事なさい
あたしの、ために
そう、そこの
広告代理店のあなた
お仕事して、よ
新聞社のあなたも
お仕事して、よ
ホストクラブのナンバーワン
日焼けた肌が痒そうだ
さぁ、さぁ、お仕事、お仕事
ワーカホリックナンバーワン
歯医者さん、あ、そこのお医者さんも
このご時世ですよ、営業努力もしないとね
セールスマンも、デパートマンも
売り上げには四苦八苦
スタバのおにーさんだって、がんばってる
きぐるみ着込んだおっさんも
通りがかりの噺家さんも
銀座、銀座、交差点
ぶらぶらしてんなよ
そこの証券マン
会社更生法なんかにゃ負けんなよ
さぁさぁ、みなさん、笑って、笑って、笑顔ですよ
さぁさぁ、サイコーのスマイルで
虚偽の貨幣価値を作り上げましょう
デフレなんか喰ってしまいましょう
あなたは救えない日本の未来
お洋服はわたしを救う
あのバックだって
あの靴だって
あのスカーフだって
あの、あの、あの、あの、あの
ああ、ほら、あれも、これも
だから、ほらほら
あなた、がんばって、ね
お仕事して、ね
わたしの、ために
笑って、笑って、笑顔でお仕事、お仕事、お仕事
生涯、仕事に打ち込むことができ故人はしあわせでした
わたしの愛する人たちは、わたしを救って天に昇り
わたしは銀座でのたれ死ぬ
2002/5/15発行
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(ページ及びグラフィック製作 芳賀 梨花子)