蘭の会2005.5月詩集「週末」 (c)蘭の会
「・・・週末に」 人待ち草 リアル・ウィークエンド 週末という名の閏日に 週末苦 家族旅行 金蘭の夜 葛藤 さくらツアー Step into the blue. |
0003 九鬼ゑ女
http://home.h03.itscom.net/gure/eme/ 「・・・週末に」
今夜アイタイのです |
0023 ナツノ
http://www5.plala.or.jp/natuno/brunette/brunette_top.htm 人待ち草
目覚めると 空気が重たい |
0079 鈴木倫子
http://www.geocities.co.jp/Bookend/1714 週末という名の閏日に
週末という名の閏日に |
0093 ふをひなせ
週末苦
吹き出しに |
0096 土屋 怜
http://blog.livedoor.jp/cat4rei/ 家族旅行
かわいい盛りの子供たち |
0097 陶坂藍
http://www.keoyon-44.fha.jp/ 金蘭の夜
羊の時間はもう終わり |
000b 佐々宝砂
http://www2u.biglobe.ne.jp/~sasah/ さくらツアー
その家にゴールデンウィークはなかった。 |
000c 芳賀 梨花子
http://rikako.vivian.jp/hej+truelove/ Step into the blue.
ワインボトルと恋人を天秤にかけるような週末を過ごしていたのは、少し前の話で、今は、句読点でぶつ切りになった言葉を、相手に投げつけることさえできない。金曜日のドア、悲しい音をきしませて私を迎え入れる。そうだよ、あの人はもうこのドアを開けない。地下の駐車場は先週解約して、上の階の人が黒いアルファロメオを停めている。目を覚ましたら土曜日で、それでも私は金曜日のまま。なぜって服を脱ぐ必要がなくなったからで、でも、きっと、私はそれが淋しくて、コンタクトレンズも入れたまま、化粧も落とさずに眠ったのだ。熱いシャワーで目を覚まそうと思ったけど、しゃきっとするのも怖くて、だから、冷蔵庫を開ける。セロリの味がする赤い野菜ジュースを半分ぐらいグラスに注ぎ、緑色したビールの缶のプルトップを開ける。赤いジュースが炭酸で泡立つ。ぐらぐらと煮える地獄の釜みたい。地獄の釜を見たことはないけどさ。それでも、まだ、夕べの赤ワインが残っている頭には、なんか物足りなくて、ガツンと一発食らわせてよ、テキーラ!ってかんじでワンショット。レイラ、ぴんぴん爪弾くギターにあわせて身体をゆする。パンツのゴムをぱちんとさせて、カーテンを開ける。メラトニンは朝日を浴びないと体内で生成されないというけれど、太陽はもうずっと空高く、ひとりぼっちの人間というよりは女を見下ろしている。でも、私ね、今夜は眠れなくてもいいんだよ。どうせ、一晩中泣くからね。引き出しの中、アルバムから引き剥がした写真。一枚、一枚、また、一枚と灰皿で火葬。五枚目ぐらいからスプリンクラーが作動すると困ると思って、肩身の狭い喫煙者の夫のように換気扇の下で、誰かの夫であるあの人を焼く。換気扇に吸い込まれていく、あの人。さわやかに青空に吸い込まれて行け。さよなら。さよなら。私は目を瞑る。私はブルーだ。ただひたすらブルー。でも、私は自らその色を作り上げる。青い階段をビルドする。日曜日の青空を見上げるために。
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(編集・CGI 遠野青嵐 佐々宝砂)
(ページデザイン・写真 芳賀梨花子)