あ、そ、び。
句点について。
開く散らす分ける
四月の読点
あ、そ、び。
宮前のん
のけもの。
、けもの。
、、もの。
、、、の。
けいたい。
、いたい。
、、たい。
、、、い。
おこのみ。
、このみ。
、、のみ。
、、、み。
ひまつり。
、まつり。
、、つり。
、、、り。
句点について。
佐々宝砂
句点。それは。リズムのための。
草野心平かい。違うよ。
草野心平に影響受けた。北杜夫の。若書き詩集の。
青臭いものを。真似たつもりで。
うすあおいものがちらつく二十歳の。
灰色に翳り始める三十の。
えい。ばかばかしい。
濡れておいでよ。外は雨だよ。
あんなにも。あんなにもたくさん。一生懸命に。
落ちくるものを。受け止め給え。
モーニング娘。の。。
考える。句点。に。ついて。
くてん。く。て。ん。
ゲシュタルト崩壊という。なつかしい言葉。
く。て。ん。
広がってゆく。句点。巨大化する。丸。
それはもう。宇宙の。
えい。ばかばかしい。
濡れておいでよ。外は雨だよ。
地球の。ここらあたりは。こんなに雨だよ。
落ちくる。おまえの上に。落ちくる。
あの。すべてのピリオドを。すべての句点を。すべての。
受け止めるがいい。おまえの喉に。
句点のない。夜に。
開く散らす分ける
伊藤透雪
視界
水面開き打たれる最初の、 。
、、、
、、 、
重なりさざめき
降る 、は白い世界に
リズムに分け入る
ひとつひとつ音を連れて
重なり合い
離れては
舞う 、 、 、
散る呼吸の、 。
、
、、 、
まるの間に花びらが落ち
、、、 、
、、、
拾い上げる瞳に映る
ページを分ける 。
ちがうんだなあ
どこかにあるんだなあ
見えない 句読点の
落とされたところ
そこに刻まれた深いピリオド
・
書き手の意図を見つけに
春の桜並木の下で
道を探ってみた
。
それは微かに感じる
目から伝わる感覚であって
見つけるものではないのかもしれない
、 は確かにそこにあるのは確かだけれど
、
。
の迷路で行ったり来たり
四月の読点
岸城るりる
句読点を入れ忘れるくせはわざと
桜ばな舞い散る季節は過ぎて四月の
強風と雨のなか歩いていてもあなたの顔が
脳裏にちらつく悪夢のようないい夢のような
句読点のないライブ映像に入るノイズ
うんざりしたならうんざりしたとちゃんと
いうから絶対にいうからそれまでは
少しくらいは信じていてほしい夜更けに
刀たちが舞い踊るきらりはらりと
飽きてしまったなら飽きてしまったと
それは言うかわからないんだけれど
捨てることはしない決してしないだからだから
何を言いかけていたんだろう冷めたコーヒーに
いまさら白いクリームを注ぎ入れ
注ぎ入れ
白の下に隠れた暗黒に思い馳せ
そしてまた句点を入れ忘れるだって
句点は終わりの印わたしはここに生きていて
あなたもそこに生きていて交わらないとしても
何日かまえまでそこここに散っていた桜の花びら
雨に溶けてゆく桜の花びら
告げないとしても曲解されるとしても桜の
花びらを縫い止めたあなたに今夜も会う、
そして、
2015.4.15発行
(C)蘭の会
CGI編集/遠野青嵐・佐々宝砂
画像/佐々宝砂