(c)蘭の会 | 詩集「なゆた」第二集 |
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黄砂けむっている |
もしもわたしが犬ならば もしも。
この海を渡ってゆくのにな
本能にしたがって懐かしい人を追うように
もしもわたしが猫ならば
この山から出たりしないのにな
子別れした後もこっそり見てる親のように
もしもわたしが豚ならば
食べられる日を夢見るだろう
噂よりは綺麗にして毎日のエサをありがたく
もしもわたしが山羊ならば
角を折らせたりきっとしない
大切ななにかを守る武器を捨てたりなんか
もしもわたしがジャッカルなら
狙ったものを逃したりしない
何日飢えてもじっと息絶えるのを待つ
だけどわたしは人間なので
したいこと全てかなえることはなく
我慢したり無理してみても笑う
たとえ心が叫んでも
涙のひとつもこぼさずに
常識というものさし片手に
あっけらかんと暮らすのだろう
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