■ 第15回 ああせい構成
今回こそは真面目に前回の続き・・・と思ったのですが前回と前々回がだらだら過ぎるので、前々々回の続きをあくまでも真面目にやります(最近のサルレトを顧みて反省したらしい)。何の話かとゆーと「構成」の話です。
構成法として一応有名なものに「起承転結」「起承転合」「序破急」があります。ニュアンスは多少異なりますが、この3つはどれも似たような意味です。しまいかたが若干違うというだけです。まず書き出しがあって、それを受け継いで、それをひっくり返して、まともに締めくくるか、ふむふむ納得という風に終わるか、急転直下どすんと終わるか。でもそんなもんはとりあえずどーでもよいです。だってそんなもん覚えてもあんまり役に立ちませんからね。
詩は、どのように伝えたいかによって構成が違ってきます。何を伝えたいかによってかわるわけではありません。「どのように伝えたいか」を重視する。断言はしませんが、これこそが詩と詩以外の文章を区別するナニモノかだという気がします(詩と詩以外の文章を区別するナニモノかは他にもたくさんあるでしょうけど)。
何かの理論を説明するのが目的の文章ならば、「どのように」書くかはだいたい決まっています。わかりやすく書くとか、精密に正確に書くとか、そんなところです。そういう文章の構成は起承転結ではなくて、そうですね、「序文・概略・問題提起・主論・各論・結論」って感じでしょうか。その手のものが書きたいなら、こんなもん読んでないで学生用の小論文参考書を読みましょう(当たり前だわな)。小説や戯曲の場合論文ほど単純ではないけれど、概ねどこかに劇的山場があって、その山場を盛り上げるために構成が工夫されます。山場がどこにあってもいいという話は前にも書きました。起承転結なんてセオリーは無視して、冒頭いきなり転、山場でもいいわけです。
では詩の場合はいったいどうなのか?
という質問にヒトコトで答えられたら、当サルレトは要りません(もともと要らないわいこんなもんと言われたらどないしょ)。詩の場合、「何を」書くかよりも「どのように」書くかが問題です。なんて言ったらいいかな、内容そのものではなく(ってもちろん内容も大事なんだけど)、語り口、すなわち言葉の味や肌合いや匂いが大切なのです、と言えばなんとなく感覚的にわかるでしょうか。詩の構成は、言葉の味わいの微妙なニュアンスをもっとも効果的に引き出すものであるべきなのです。
どのように伝えたいか。たとえば、読者をびっくりさせたいなら、オチは最後に持っていった方がいい。あるいは、四季の移ろいをしみじみ伝えたいなら、序盤から丁寧に書き込んで、余韻を持たせるような終わり方がよいと思われます。いきなり読者の目を引きたいなら、第一行からどかんとパンチ食らわして読者を驚かすのがベターでしょう。しかし、こういったそれぞれの構成は「ああせいこうせいこうしなきゃならん」という決まりではないのです。四季の移ろいでびっくりさせてもいいのだし、書き方次第では単なる落とし話になるようなものをしみじみと丁寧に書いてもいいのです。何を伝えたいかによって構成が決まるわけじゃない、あくまでもどのように伝えたいかによって決まる、という意味、わかったでしょうか?
○課題11 実際に自分の好きな詩(長いとたいへんなので短いのがいいと思います)を選んで、その構成がどうなってるか検証してみましょう。
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