卜 - 漢字私註
説文解字
灼剥龜也、象灸龜之形。一曰象龜兆之從橫也。凡卜之屬皆从卜。博木切。
- 三・卜部
古文卜。
説文解字注
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𠁡
『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤博木切、音樸。『說文』灼剝龜也。象炙龜之形。一曰象龜兆之縱橫也。『周禮・春官・大卜註』問龜曰卜。『禮・曲禮』龜爲卜、筴爲筮。『詩・大雅』考卜維王、宅是鎬京、維龜正之。『春秋・元命包』古司怪主卜。
又『爾雅・釋詁』卜、予也。《註》卜、賜予也。《疏》予卽與也。『詩・小雅』君曰卜爾、萬壽無疆。
又姓。『韻會』孔子弟子卜商。
- 部・劃數
- 丨部(一劃)
『玉篇』古文卜字。註詳部首。
音訓義
- 音
- ホク(漢)(呉) ボク(慣)⦅一⦆
- 訓
- うらなふ⦅一⦆
- うらなひ⦅一⦆
- 官話
- bǔ⦅一⦆
- 粤語
- buk1⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・入聲・屋・卜』博木切
- 『集韻・入聲上・屋第一・卜』博木切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・幫切一卜』博木切
- 聲母
- 幫(重脣音・全清)
- 等呼
- 一
- 官話
- bǔ
- 粤語
- buk1
- 日本語音
- ホク(漢)(呉)
- ボク(慣)
- 訓
- うらなふ
- うらなひ
解字
白川
象形。獸骨や龜版を灼いて、その罅割れによつて吉凶を卜ふことをいふ。卜はその罅割れの形。
卜するとき、まづ縱長に鑽と呼ばれる穴を掘り、橫に圓形の穴を作つて、その部分を灼くと、鑽の部分には縱、灼いた部分には橫に走る線が、その表面に現はれる。その橫の線が卜兆、縱橫合はせて卜の形となる。殷墟小屯出土の大版には、百鑽前後にも卜迹を存するものがある。
本邦對馬に傳へられてゐる古法については、伴信友の『正卜考』に詳しい記述がある。
卜の音は、卜兆を生ずるとき、破裂する音を取るものであらう。
藤堂
象形。龜甲を燒いて占つた際、その表面に生じた割れ目の形を描いたもの。ポクッと急に割れる意を含む。
落合
象形。甲骨占卜の際に出現した卜兆の形に象る。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 動詞。甲骨占卜を行ふこと。《合集》24294・後半驗辭
壬子卜王。在師褮卜。
- 名詞。甲骨占卜で出現した卜兆。《輯佚》617
叀二卜用、⿰旡又𠩺。
- 卜丙
- 殷代前期の王。合文で表記されることもある(補註: 『史記・殷本紀』に見える外丙。)。《英藏》1196
…戌、侑、勺歲卜丙。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、卜兆の縱橫の形を象り、本義は卜占に用ゐる龜甲獸骨の上に燒灼に因りて生まれる裂縫。龜甲に鑽孔し燒灼したる後出現する裂紋は多く卜字形を呈し、古人はそれを用ゐて吉凶を豫測した。卜の音はすなはち、龜甲の爆ぜ裂けるときの音。『周禮・大卜』鄭玄注問龜曰卜。
甲骨文では卜占を表す。《懷特》1622三卜、亡(無)禍
は、三度卜占し、災禍はなし、の意。
金文でも卜占を表す。曶鼎令女(汝)更(賡)乃且(祖)考𤔲(司)卜事
は、汝が汝の祖先の職務、卜占の主管の仕事を繼ぐことを命ず、の意。
戰國竹簡では卜占を表す。《清華簡一・金縢》簡1我亓(其)為王穆卜。
は、我等は王のために謹んで卜占する、の意。
屬性
- 卜
- U+535C
- JIS: 1-43-46
- 人名用漢字
- 𠁡
- U+20061
関聯字
卜に從ふ字
漢字私註部別一覽・卜部に蒐める。
其の他
- 蔔
- 別字。卜を蔔の簡体字に用ゐる。