雨 - 漢字私註
説文解字
水从雲下也。一象天、冂象雲、水霝其閒也。凡雨之屬皆从雨。
- 十一・雨部
古文。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𠕒
- 𠕘
- 𠕲
- 𩁼
- 㲾
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤王矩切、音羽。『說文』水从雲下也。一象天、冂象雲、水霝其閒也。『玉篇』雲雨也。『元命包』隂陽和爲雨。『大戴禮』天地之氣和則雨。『釋名』輔也。言輔時生養。『易・乾卦』雲行雨施、品物流行。『書・洪範』八庶徵、曰雨、曰暘。
又『爾雅・釋天』暴雨謂之涷、小雨謂之霡霂、久雨謂之淫。陸佃云、疾雨曰驟、徐雨曰零、久雨曰苦、時雨曰澍。
又穀雨、二十四氣之一。見『後漢・律曆志』。
又『正字通』雨虎、蟲名。遁甲開天圖曰、霍山有雨虎、狀如蠶、長七八寸、在石內、雲雨則出、可炙食。或曰石蠶之類。詳見『本草綱目』。
又『集韻』歐許切、音𢮁。義同。
又『廣韻』『集韻』『韻會』𠀤王遇切、音芋。『集韻』自上而下曰雨。『韻會』風雨之雨上聲、雨下之雨去聲。『詩・邶風』雨雪其雱。又『小雅』雨我公田。『釋文』雨、于付反。『禮・月令』仲春始雨水。《註》漢始以雨水爲二月節。
又叶羽軌切、音以。『易林』隂積不已、雲作淫雨。
- 部・劃數
- 冂部・五劃
『玉篇』古文雨字。註詳部首。
- 部・劃數
- 冂部・六劃
『集韻』雨古作𠕘。註見部首。
- 部・劃數
- 冂部二十劃
『玉篇』古文雨字。註見部首。
- 部・劃數
- 雨部三劃
『字義總略』古文雨字。註詳部首。
- 部・劃數
- 水部三劃
『字彙補』古文雨字。『遁甲圖』雨師作㲾𩇪。
音訓
- 音
- (1) ウ(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・麌・羽』王矩切〉
- (2) ウ(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・遇・芋』王遇切〉
- 訓
- (1) あめ
- (2) あめふる
解字
白川
象形。雨の降る形に象る。全體が象形。
藤堂
象形。天から雨の降るさまを描いたもので、上から地表を覆つて降る雨のこと。
落合
象形。降雨の樣子を表してをり、橫線が天空、小點が雨粒。
甲骨文での用義は次のとほり。
- あめ。降雨。
- あめふる。雨が降ること。
- 正雨
- 收穫を齎す理想的な降雨。
- 𣲠雨
- 降雨の狀態を表す。詳細不明。
- 𡭴雨
- 天氣雨であらう。
- [卣皿]雨
- 降雨の狀態を示す。詳細不明。
- 戴雨
- 降雨の狀態を示す。詳細不明。
- 聯雨
- 長雨であらう。
甲骨文の要素としては降雨等の天候に關する字に使はれることが多い。
漢字多功能字庫
甲骨文の形は變化が多い。多くは一劃で天を表し、その下の二つ雨滴三組で降雨を表す。上側の雨滴はあるいは橫劃と繫がり、その上にあるいは別に一劃を飾筆として加へる。西周文字の雨の形は外部が連結して直線となり、小篆と類似する。戰國文字では雨滴をあるいは水の形につくる。𫲨𧊒壺を參照のこと。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 雨を指す。
- 《合集》8329
往于河、㞢(有)雨。
- 《合集》20397
壬戌㞢(有)雨。
- 《合集》8329
- 動詞に用ゐ、降雨を指す。
- 《合集》9757
今日雨。
- 《合集》12598
今日其大雨。
- 《合集》9757
金文での用義は次のとほり。
- 人名に用ゐる。子雨爵
子雨。
- 字をまた𩁹と讀み、祭名に用ゐる。𫲨𧊒壺
雨(𩁹)祠先王。
『說文解字・雩』夏祭、樂於赤帝、以祈甘雨也。
『禮記・月令』命有司為民祈祀山川百源。大𩁹帝、用盛樂。乃命百縣𩁹祀百辟卿士有益於民者、以祈穀實。
張政烺は、中山王を百辟(ここでは諸侯の意か)の中に編入し、𩁹祭を行ふことを指すとする。朱德熙、裘錫圭は字を讀んで永となすとする。
戰國文字での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐる。
- 《上博竹書一・緇衣》簡6
日暑雨、少(小)民隹(惟)日怨
は、夏暑く雨が降り、民は天を怨むの意。 - 《上博竹書二・魯邦大旱》簡4
女(如)天不雨、石將焦、木將死、丌(其)欲雨或甚於我、或必寺(待)吾名(禜)乎。
は、もし天が雨を降らさず、巖石まさに焦げんとし、樹木まさに死なんとせば、それらは我等よりも更に雨を欲し、あるいは必ず我等が禜祭を行ふのを待つか、の意。
- 《上博竹書一・緇衣》簡6
屬性
- 雨
- U+96E8
- 𠕒
- U+20552
- 𠕘
- U+20558
- 𠕲
- U+20572
- 𩁼
- U+2907C
- 㲾
- U+3CBE
関聯字
雨に從ふ字を漢字私註部別一覽・雨部に蒐める。