目 - 漢字私註
説文解字
人眼。象形。重童子也。凡目之屬皆从目。莫六切。
- 四・目部
古文目。
説文解字注
人眼也。象形。重、童子也。象形、緫言之。嫌人不解二、故釋之曰重其童子也。『釋名〔釋形體〕』曰「瞳、重也。膚幕相裹重也。子、小偁也。主謂其精明者也。或曰眸子。眸、冒也。相裹冒也。」按人目由白而盧、童而子。層層包裹、故重畫以象之。非如『項羽本紀』所云重瞳子也。目之引伸爲𢫾目、條目之目。莫六切。三部。
凡目之屬皆从目。
古文目。口象面。中象眉目。江沅曰「外象匡、內象𣮌目」。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 𡇡
- 𥃦
- 𥆤
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤莫六切、音牧。〔音1〕『說文』人眼、象形、重童子也。『春秋元命苞』肝之使也。『韓詩外傳』心之符也。『禮・郊特牲』氣之淸明者也。易說卦離爲目。《註》南方之卦、主視。故爲目。『書・舜典』明四目。《註》廣四方之視、以決天下壅蔽。
又『博雅』視也。凡注視曰目之。『史記・𨻰丞相世家』𨻰平去楚、渡河、船人疑其有金、目之。
又動目以諭也。『前漢・高帝紀』范增數目羽擊沛公。
又含怒側視也。『周語』國人莫敢言、道路以目。
又『小爾雅』要也。『周禮・春官』簭人掌三易、以辨九簭之名、四曰巫目。《疏》是要目之事。
又見也。『公羊傳・桓二年』內大惡諱、此其目言之何遠也。《註》目、見也、斥見其惡也。
又稱也。『穀梁傳・隱元年』段、鄭伯弟也。以其目君、知其爲弟也。《註》謂稱鄭伯。
又條目。『論語』請問其目。《註》條件也。『前漢・劉向傳』校中祕書、各有條目。
又節目。『禮・學記』善問者如攻堅木、先其易者、後其節目。方氏曰:節則木理之剛、目則木理之精。
又題目。『後漢・許劭傳』曹操微時、常求劭爲己目。《註》命品藻爲題目。『晉書・山濤傳』甄拔人物、各有題目、時稱山公啓事。
又凡目。『周禮・天官・小宰』師掌官成、以治凡。司掌官法、以治目。『公羊傳・僖五年』一事而再見者、前目而後凡也。『春秋・繁露』目者、偏辨其事也。凡者、獨舉其事也。
又科目。『舊唐書・懿宗紀』以宋震胡德融、考科目舉人。『宋史・選舉志』宋之科目有進土、有諸科、有武舉、常選外又有制科、有童子舉、而進士得人爲盛。
又黃目、周彝名。『禮・明堂位』鬱尊用黃目。
又暉目、鴆鳥也。『淮南子・繆稱訓』暉目知晏。《註》晏、無雲也。天將晏靜、暉目先鳴。
又比目、魚名。不比不行。亦謂之鰈。見『爾雅・釋地』。
又橫目、傅草別名。鬼目、苻草別名。俱見『爾雅・釋草』。
又海外有一目國、一目中其面而居。見『山海經』。
又天目、山名。『元和地志』上有兩峰、峰頂各一池、若天左右目。
又縣名。『前漢・地理志』河目縣、屬幷州。
又州名。『唐書・地理志』目州隷隴右道。
又姓。『潛夫論』目夷氏、子姓、宋微子後。
又目宿、草名。通作𥄕。『前漢・西城傳』馬耆目宿。『史記・大宛傳』作苜蓿。
又叶莫筆切、音密。『夏侯湛抵疑』心有窮志、貌有飢色。吝江河之流、不以躍舟船之檝。惜東壁之光、不以寓貧婦之目。
- 部・劃數
- 目部二劃
『字彙』古文目字。註詳部首。
- 部・劃數
- 目部七劃
『字彙補』古文目字。註詳部首。
- 部・劃數
- 囗部七劃
『玉篇』古文目字。註詳部首。
音訓義
- 音
- モク(呉) ボク(漢)⦅一⦆
- 訓
- め⦅一⦆
- 官話
- mù⦅一⦆
- 粤語
- muk6⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・入聲・屋・目』莫六切
- 『集韻・入聲上・屋第一・目』莫六切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・微三目』莫六切
- 聲母
- 微(輕脣音・次濁)
- 等呼
- 三
- 官話
- mù
- 粤語
- muk6
- 日本語音
- モク(呉)
- ボク(漢)
- 訓
- め
- 義
- 眼。まなこ。視覺を掌る感覺器。
- 見る。看做す。目配せする。
- 網や格子の目。
- 名。名目。題目。
- かなめ。要目。眼目。
- 條目。項目。細目。科目。
- かしら。頭目。
- 釋
- 『廣韻』
目: 『釋名〔釋形體〕』云「目、默也。默而内識也。」『說文』曰「人眼。象形。重、童子也。」莫六切。十一。
- 『集韻』
目𡇡: 莫六切。『說文』人眼。象形。重、童子也。古作𡇡。文二十一。
- 『康煕字典』上揭。
解字
目の象形。當初は橫向きにつくつた。縱向きにした字は臣。
後に縱向きにつくるやうになつた。
白川
象形。目の形に象る。
『説文解字』に童子(瞳)を重ぬるなり
、すなはち重瞳子であるといふ。『尚書大傳』に舜を重瞳子とし、『史記・項羽紀』に項羽も重瞳子で、その末裔であらうかといふ。
古くは目は橫長の形に記した。
目を動詞にして、目撃、目送のやうに用ゐる。また眉目は最も目立つところであるから、標目、要目のやうにいふ。
藤堂
象形。目を描いたもので、瞼に覆はれてゐる目のこと。
落合
象形。目の形に象り、中央の部分が瞳に當たる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- め。眼球。《合集》456
貞、王其疾目。
- 見ること。偵察の意で用ゐられる。《合集》6194
貞、呼目𢀛方。
- 地名またはその長。領主は子目とも稱される。また殷金文の圖象記號にも見える。《殷墟花園莊東地甲骨》446
丙卜、五日、子目既疾。
- 敵對勢力の名。羌目も同一勢力かも知れない。羌目は貢納の記述に一例のみ見える。《合集》6946
貞、呼雀征目。
- 祭祀名。
戊午卜、燎目、求雨。
字の要素としては見ることに關係する字に使はれることが多い。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、人の目に象り、金文には目の形を縱にするものがある。本義は眼睛。戰國文字は商周文字を承け、一般に目を縱にする。また《古陶文彙編》所收の目字の字形は『説文解字』古文の承けるところ。『説文解字』に重童子也
とする。按ずるに傳世古書では,舜、禹、項羽、王莽などがそれぞれの目に二つの瞳孔がある重童子であるとされるが、目字の本義と重童子に關係はない。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、眼睛を指す。《合集》165正
王其疒目
は、王の目に疾あることをいふ。 - 動詞に用ゐ、目で見ること、窺ふことをいふ。《合集》6195
乎(呼)目𢀛方
は、𢀛國を探り伺ふことを命ずる。 - 人名や方國名に用ゐる。
金文では族氏名に用ゐる。目爵、屰目父癸爵など。
傳世古籍では、目、見るの意のほか、次のやうに用ゐる。
- 漁網の網目を指す。『韓非子・外儲說右下』
善張網者、引其綱,不一一攝萬目而後得。
- 細目、要目などの意を派生する。
- 『小爾雅・廣詁』
目、要也。
- 『論語・顏淵』
顏淵曰、請問其目。
- 『小爾雅・廣詁』
屬性
- 目
- U+76EE
- JIS: 1-44-60
- 當用漢字・常用漢字
- 𥃦
- U+250E6
- 𥆤
- U+251A4
- 𡇡
- U+211E1
関聯字
目に從ふ字を漢字私註部別一覽・目部に蒐める。