丯 - 漢字私註
説文解字
艸蔡也。象艸生之𢿱亂也。凡丯之屬皆从丯。讀若介。古拜切。
- 四・丯部
説文解字注
艸蔡也。《艸部》曰、蔡、艸丯也。曡韵互訓。『孟子〔離婁下〕』曰、君之視臣如土芥。趙云、芥、草芥也。『左傳〔哀元年〕』以民爲土芥。《杜注》同。『方言〔三〕』「蘇、芥、草也。江淮南楚之閒曰蘇、自關而西或曰草、或曰芥。南楚江湘之閒謂之莽。」按凡言艸芥皆丯之假借也。芥行而丯廢矣。
象艸生之散亂也。散當作𢽳。『外傳』曰、道茀不可行。中直象道、三象茀。
凡丯之屬皆从丯。讀若介。古拜切。十五部。
康煕字典
- 部・劃數
- 丨部・三劃
『廣韻』古拜切『集韻』居拜切、𠀤音介。『說文』艸蔡也。象艸生散亂。凡丯之屬皆从丯。
○按『說文』丯與𡕗別。𡕗、相遮要害也、讀若害。『字彙』誤以丯爲𡕗、移『說文』𡕗訓入丯註、非。
音訓義
- 音
- カイ(漢) ケ(呉)⦅一⦆
- ライ(推)⦅二⦆
- 官話
- jiè⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・去聲・怪・誡』古拜切
- 『集韻・去聲上・怪第十六・戒』居拜切
- 『五音集韻・去聲卷第十・怪第十三・見・二誡』古隘切
- 聲母
- 見母(牙音・全清)
- 官話
- jiè
- 日本語音
- カイ(漢)
- 義
- 艸蔡也。(『説文解字』)
- 草介。(『廣韻』)
- 散切りにした草。散亂した草。芥に同じ。(藤堂)
⦅二⦆
- 反切
- 『集韻・去聲上・隊第十八・纇』盧對切
- 『五音集韻・去聲卷第十・隊第十四・來・一纇』盧對切
- 聲母
- 來母(半舌音・次濁)
- 日本語音
- ライ(推)
- 義
- 草亂也。(『集韻』)
解字
白川
象形。斜線を刻してこれを兩半とし、約束のしるしとする。刀を加へた㓞は、契約の契の初文。
『説文解字』に艸蔡なり
と草の散亂する形とするが、㓞、契、𣸲、絜の系統の字。
藤堂
指示。ぎざぎざの刻み目をつけることを示す。契の原字。
落合
象形。物體に傷をつけた形。甲骨文では、單獨では祭祀名としてのみ見える。《合集》346貞沚馘其作丯。八月。
漢語多功能字庫
丯は一串の玉の形に象り、單獨の一串の玉の意を表し、また單獨の一塊の玉を指す。丯と玉はもと「一形兩用」で、後に分化して違ふ字形となつた。主な區別は、丯の縱劃の上下は頭が出てをり、玉の縱劃の上下は頭が出ない。殷墟花園莊東地甲骨に玉と同じ形の丯がある。《花東》275+517丁唯多丯臣令比伯[口戈]伐卲。
「丯臣」は「介臣」のことで、副の地位の臣を表す(姚萱)。
金文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、商代晚期の亞雟作祖丁簋に
玉十丯
とあり、單獨の十串あるいは十件(十個)の玉のこと(姚萱)。 - あるいは縱劃の頂端の左側に一斜劃を加へる。
- 戰國・鷹節
右丯
は讀んで「右契」となす。契は符券の書契で、鷹節の作用と相同じく、左右兩半がぴつたり合ふことを以て信憑性があるとする(李家浩)。
- 戰國・鷹節
丯と丰は形も義も別々で、混同すべからず。
屬性
- 丯
- U+4E2F
- JIS: 1-14-5
- JIS X 0212: 16-12
關聯字
丯に從ふ字
漢字私註部別一覽・丯部に蒐める。
其の他
- 丰
- 別字。