穴拔け日記 (28.8.8)
皇室事項
3日、宰相の内奏。
3日午後5時35分、於宮中、國務大臣金田勝年、同松野博一、同山本有二、同世耕弘成、同山本公一、同稲田朋美、同今村雅弘、同松本純、同鶴保庸介、同山本幸三及び内閣官房副長官野上浩太郎の認證官任命式。
兩陛下には、4日、離任する駐日ルーマニア大使夫妻を御引見。
5日午前11時45分、於宮中、復興副大臣橘慶一郎、同長沢広明、内閣府副大臣石原宏高、同越智隆雄、同松本洋平、綜務副大臣原田憲治、綜務副大臣兼内閣府副大臣赤間二郎、外務副大臣岸信夫、同薗浦健太郎、財務副大臣大塚拓、同木原稔、文部科學副大臣兼内閣府副大臣水落敏栄、厚生勞働副大臣橋本岳、同古屋範子、農林水産副大臣磯崎陽輔、經濟産業副大臣松村祥史、國土交通副大臣田中良生、國土交通副大臣兼内閣府副大臣兼復興副大臣末松信介、環境副大臣関芳弘、環境副大臣兼内閣府副大臣伊藤忠彦の認證官任命式。
常陸宮妃には、7日、御退院。
皇室事項
8日、主上におかせられては、ビデオメッセージの形で、「象徴としてのお務めについて」の叡慮を賜つた。畏れ多きことかな。
拜聞して思つたことであるが、まづ、主上は非常に生眞面目であらせられるといふことを改めて心に致した。天皇の果たすべきお務めについて眞劍なのは當然であるとしても、極めて嚴格にお考へあそばされてゐることを強く感じ、ただただ恐懼するより外ない。
また、昭和天皇の前例について重く受け止められてゐることを心に致した。國民生活に對する影響に言及されたことは、畏れながらそこまで意外には感じなかつたのだが、大喪に掛かる行事と即位儀式に掛かるものが重なつたり續いたりすることについての御憂慮は、仰せを聞くまで全く念頭になかつただけに、確かに御指摘の通りであらうと思はざるを得なかつた。
そのやうな叡旨を賜つて、考へ込んだことは、思つてゐたよりも率直ではつきりした言葉を發せられたことである。個人的には昭和憲法など投げ棄ててしまへと思つてゐるが、それはそれとして、ここまではつきり退位を示唆されたことが、果たして憲法に牴觸しないのかどうか、考へざるを得なかつた。同時に、かういふ變則的な形でしか叡慮を伺ふこともできないといふのは、やはりまづいのではないかとも思つた。昭和憲法の「天皇は國政に關する權能を有しない」といふ規定は再考せらるべきものだと思慮する。今回、このやうな形で叡慮が示され、其れに對して多くの國民が反應した樣子を見る限り、天皇を完全に非政治化することには無理があると斷ぜざるを得ない。
内閣及び宮内廳には、叡慮が明らかになつた以上、これを是とするか非とするかはともかく、必要とならう色々の對策を着實に實施し、以て宸襟を安んじ奉ることを期待したい。
世間
叡慮が示されたことを受け、宰相は所感を發表。衆参兩院の議長もそれぞれ謹話を發表。