説文解字私註 釆部

釆 辨別也。象獸指爪分別也。凡釆之屬皆从釆。讀若辨。
𠂠 古文釆。
獸足謂之番。从釆。田、象其掌。
𨆌 番或从足从煩。
𥸨 古文番。
悉也。知宷諦也。从宀从釆。徐鍇曰、宀、覆也。釆、別也。包覆而深別之。宷、悉也。
篆文宷从番。
詳盡也。从心从釆。
𢝕 古文悉。
解也。从釆。釆、取其分別物也。从睪聲。

釆部 舊版

説文解字
獸足謂之番。从。田、象其掌。
𨆌 番或从足从煩。
𥸨 古文番。
康煕字典
田部
《古文》𥸨𥻫
『廣韻』附袁切『集韻』符袁切、𠀤音煩。『說文』獸足謂之番、从釆、田象其掌。或作𨆌
『廣韻』『集韻』『韻會』孚袁切『正韻』孚艱切、𠀤音翻。數也、遞也。『前漢・武帝紀』賢良直宿東番。
山名。『山海經』番條之山、無草木、多沙。
『集韻』蒲波切『正韻』蒲禾切、𠀤音婆。鄱陽豫章縣。『史記・伍子胥傳』闔閭使太子夫差將兵伐楚、取番。《註》索隱曰、蓋鄱陽也。
番吾、趙地。『戰國策』秦甲涉河、踰漳據番吾、則兵必戰於邯鄲之下矣。『釋文』番、音婆。又音蒲。亦音盤。『括地志』蒲吾、故東今之眞定府平山縣、卽漢番吾。番、當音蒲。
姓。『史記・河渠書』河東守番係。《註》番、音婆。又音潘。詩小雅云、番維司徒。番、氏也。『前漢・高帝紀』故衡山王吳芮與子二人、兄子一人、從百粵之兵、以佐諸侯誅暴秦、有大功、諸侯立以爲王項羽侵奪之地、謂之番君。『釋文』番、音蒲何反。『正字通』姓譜、潘姓爲周文王畢公之後、食采於潘、因氏。讀判平聲。番姓爲吳芮封番君、支孫因氏、讀婆。字彙番姓亦音潘、合潘番二姓爲一音。誤。
『廣韻』普官切『集韻』『韻會』鋪官切、𠀤音潘。番禺、南海地名。『史記・貨殖傳』番禺、亦其一都會也。珠璣、犀、瑇瑁、果布之湊。『左思・蜀都賦』蒟醬流味於番禺之鄕。『釋文』番、音潘。《註》西北牂牁江廣數里、出番禺城下。
『廣韻』薄官切『集韻』蒲官切、𠀤音槃。番和、縣名。在張掖郡。見『前漢・地理志』。又『後漢・來歙傳』歙從番須回中徑至略陽。《註》番、音盤。番須、回中、𠀤地名。
『廣韻』博禾切『集韻』『韻會』逋禾切『正韻』補禾切、𠀤音波。『爾雅・釋訓』番番、勇也。『書・秦誓』番番良士。《傳》武勇番番之良士。『詩・大雅』申伯番番。《傳》番番、武勇貌。
『廣韻』『集韻』𠀤補過切、音播。獸足。
『集韻』孚萬切『韻會』甫患切、𠀤音販。與音翻義同。『杜甫詩』會須上番看成竹。『獨孤及詩』舊日霜毛一番新、別時芳草兩回春。
『集韻』普半切、音判。縣名。在上谷。本亦作
『史記・扁鵲倉公傳』切之得番隂脈、番隂脈入虛裏乗肺脈。《註》番音芳遠反。
(1) バン
(2) ハン
(3) ハ
(1) かず。たび。かはる。ゑびす。
(3) しろい
(國訓) みはり。つがひ。
解字(白川)
獸の掌の象。古文(𥸨)がその原始象形の字。輕捷に動くものであるから、『書・秦誓』番番良士のやうに用ゐ、また交替、順次の意となる。二人交替の意より、二面に渡る留金を蝶番のやうにいふ。
解字(藤堂)
*形に開き散るさまと田の會意。さつと種を田に播くこと。播の原字。轉じて、さつと開いては閉ぢる動作を數へることばとなる。
解字(漢字多功能字庫)
金文は田に從ひ聲。構形初義に定論はない。一説に、釆は種子を手に握り播種するの形、播の古字で、番は田に種を播くを象るといふ。
當用漢字・常用漢字

説文解字
悉也。知宷諦也。从宀从。徐鍇曰、宀、覆也。釆、別也。包覆而深別之。宷、悉也。
篆文宷从番。
康煕字典
宀部十二劃
《古文》宷
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤式荏切、音嬸。『說文』悉也。本作宷、从宀从釆。『徐鉉曰』宀、覆也。釆、別也。能包覆而深別之也。今从篆作審。『增韻』詳也、熟究也。『書・說命』乃審厥象、俾以形旁、求于天下。『中庸』審問之。『禮・樂記』審聲以知音、審音以知樂、審樂以知政、而治道備矣。
『禮・月令』審卦吉凶。《註》謂省錄也。
『莊子・徐無鬼』水之守土也審、影之守人也審、物之守物也審。《註》郭象曰、無意、則止於分、所以爲審。循本曰、言此理相守、未嘗相離、如水之守土、影之守人、物之守物、審定而不移也。
凡鞫事曰審。『書・呂𠛬』其審克之。
束也。『周禮・地官・羽人』十羽爲審。《註》古人徵羽爲旌旄之飾、弓箭之用。審、一束也。
姓。漢審食其。『正字通』漢郞中審忠、靈帝時上書論曹節等罪惡。
『韻會』與盤同、水盤旋也。『莊子・應帝王』止水之審爲淵。《註》審音盤。𥳑文云、蟠、聚也。
つまびらか。つまびらかにする。あきらか。きはめる。ただす。まことに。
解字(白川)
正字は宷。廟中に釆、番を供する形で、犧牲として用ゐるものには、その角、蹄、毛色など詳審な吟味を加へた。犧牲を愼重に扱ふことから、詳審、審定の意となつた。
解字(藤堂)
宀とで、家の中に散らばつた細かい米粒を念入りに調べるさまを表す。
解字(漢字多功能字庫)
金文は宀と米と口に從ふ。睡虎地秦簡、馬王堆漢帛書の下部は日に從ふ。構形初義不明。小篆に至つて米は釆に變はり、口は田に變はつた。
當用漢字・常用漢字

説文解字
詳盡也。从心从
𢝕 古文悉。
康煕字典
心部七劃
《古文》𢚊𢝕怸
『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤息七切、音膝。詳盡也、諳究也。知也。
姓。
『六書總要』从心釆、會意。釆、古辨字。取明析之義。與采字不同。
シツ
つくす。ことごとく。
解字(白川)
審は獸掌を宗廟に供へる意。犧牲の毛色、角皮、蹄爪に至るまで損傷がないか確かめて用ゐたので、詳審の意となつた。心臟を供することをといひ、臟器の完全なものも、神意を安んずるものとされた。悉は獸爪の釆と、心臟の象に從ひ、獸爪を以て内藏を披き取る意であらう。
解字(藤堂)
と心の會意。細かく分けた隅々まで心を屆かせることを示す。
人名用漢字

説文解字
解也。从。釆、取其分別物也。从睪聲。
康煕字典
釆部十三劃
『唐韻』賞職切『集韻』『韻會』施隻切、𠀤音適。『說文』解也。从釆、釆取其分別物也。『左傳・襄二十九年』春王正月、公在楚、釋不朝正于廟也。《註》釋、解也。《疏》解釋公所以不得親自朝正也。『吳語』乃使行人奚斯釋言於齊。《註》釋、解也。以言自解。
『廣韻』捨也。『前漢・食貨志』今農事棄捐、而采銅者日蕃、釋其耒耨、冶鎔炊炭。『管子・霸形篇』釋實而攻虛、釋堅而攻膬、釋難而攻易。
消也、散也。『前漢・景十三王傳』骨肉冰釋。《註》師古曰、冰釋、言消散也。『淮南子・俶眞訓』北方有不釋之冰。
放也。『書・多方』開釋無辜、亦克用勸。《傳》開放無罪之人。『左傳・哀八年』請釋子服何於吳。
『爾雅・釋詁』釋、服也。《疏》釋者、釋去恨怨而服也。
『書・大禹謨』釋兹在兹。《傳》釋、廢也。
『禮・王制』出征、執有罪反、釋奠于學、以訊馘告。《註》釋菜奠幣、禮先師也。
『禮・禮器』禮釋回、增美質。《註》釋、猶去也。回、邪辟也。
『儀禮・士虞禮』舉魚腊俎、俎釋三个。《註》釋、猶遺也。
『書・伊訓』若虞機張、往省括于度則釋。《疏》釋弦發矢。
潤也。『禮・內則』欲濡肉、則釋而煎之以醢。《疏》欲得濡肉、則以水潤釋而煎之以醢也。
『詩・大雅』釋之叟叟。《傳》釋、淅米也。
釋迦、佛號。今僧家皆稱釋氏。『支遁・詠人日詩』釋迦乗虛會。『梁昭明・東齋聽講』昔聞孔道貴、今覩釋花珍。
姓。
『韻會』或作。『詩・周頌』其耕澤澤。《註》言土解也。『周禮・冬官考工記』水有時以澤。
『集韻』亦作。通作。『史記・魏世家』與其以秦醳衞、不如以魏醳衞。
『字彙補』羊益切、音亦。悅也。『六書正譌』別作、非。『嵆康・琴賦』康樂者聞之、則欨愉懽釋。
『韻補』叶施灼切、音爍。『楚辭・九章』凌陽侯之泛濫兮、忽翺翔之焉薄。心絓結而不解兮、思蹇產而不釋。
簡体字
シャク。セキ。
とく。すてる。きえる。とける。はなつ。ゆるす。さる。おく。
解字(白川)
と睪の會意。睪は獸屍の象。獸爪(釆)を以て獸屍を裂くことを釋といふ。解きほぐす意。解は牛角を解く意、合はせて解釋といふ。それよりすべて結體のあるものを解き、紛亂を解き、鬱結を除くことをいふ。
解字(藤堂)
と睪の會意、睪は亦た聲符。睪は目と幸(刑具)から成り、手枷を嵌めた罪人を一人づつ竝べて面通しすること。釋は釆(ばらばらに分ける)と睪で、しこりをばらばらに解し、一つづつ分けて一本の線に連ねること。
當用漢字・常用漢字
《漢字表字體》釈