説文解字私註 是部

是部

説文解字
是昰直也。从。凡是之屬皆从是。
𣆞 籒文是从古文正。
康煕字典
日部五劃
《古文》𣆞
『唐韻』承紙切『集韻』『韻會』上紙切、𠀤音姼。『說文』作昰。直也。从日正。『釋名』是、嗜也、人嗜樂之也。『玉篇』是、是非也。『禮・曲禮』夫禮者、所以定親疎、決嫌疑、別同異、明是非也。
『博雅』是、此也。『易・乾卦』不見是而無悶。『又』是故居上位而不驕。
姓。『姓氏急就篇』是氏、吳有是儀、唐有是光。
『集韻』田黎切、音題。『公羊傳・僖十六年』是月者何、僅逮是月也。《註》是、月邊也。魯人語也。『釋文』是、如字。一音徒兮反。
通。『前漢・地理志』氏爲莊公。《註》氏、與是同。古通用。
『韻補』叶市之切。『蔡邕・釋誨』予惟悼哉、害其若是。天高地厚、跼而蹐之。
ゼ。シ。
ただしい。よい。これ。この。
解字(白川)
匙を象り、匙の初文。日の部分は先端の杓の所、下部は柄。非も非櫛すきぐしの象で、是非の意に用ゐるのは共に假借。
解字(藤堂)
眞つ直ぐな匙の形との會意。止は眞つ直ぐ進むことを示す。また音を借りて近稱の指示詞を表す。
解字(漢字多功能字庫)
金文はに從ひ聲。字形の本義は不明。早くから虛詞に借用された。後期金文に日と正に從ふものもあり、小篆はこれを承ける。早を湯匙の象とし、是を匙の初文とする説もある。
金文では指示代名詞や結構助詞に用ゐる。
春秋玉石文字では氏の通假字となし、族氏を表す。
戰國竹簡では氏の通假字となす。
繫詞(コピュラ)としての用法が最も早く現はれるのは戰國時代である。後漢で段々多く見えるやうになり、佛經導入以後、全面的に行はれるやうになつた。
當用漢字・常用漢字

説文解字
是也。从韋聲。『春秋傳』曰、犯五不韙。
籒文韙从心。
康煕字典
韋部九劃
『唐韻』于鬼切『集韻』『韻會』羽鬼切、𠀤音偉。『說文』是也。从是、韋聲。『左傳・隱十一年』犯五不韙。『前漢・敘傳』昭韙見戒。《註》張晏曰、是也。明其是者、戒其非也。『後漢・荀爽傳』五韙咸備。『集韻』通作愇。
簡体字
よい。ただしい。
解字(白川)
聲符は韋。韋に圍、違の系統と、韋皮系統とがあるが、韙は煒、韡、偉と同じく、韋皮の美しい意を承ける字であらう。
解字(藤堂)
是と韋の會意、韋は亦た音符。韋は柔らかい、角が立たないの意。

説文解字
是少也。尟俱存也。从。賈侍中說。
康煕字典
小部十劃
『廣韻』『集韻』息淺切『韻會』『正韻』蘇典切、𠀤音燹。『說文』少也。从是少。『徐曰』是亦正也。正者、少則尟也。今人借用字、經傳𠀤从鮮。
『集韻』或作
セン
すくない

補遺

説文解字
の重文
康煕字典
心部九劃
『廣韻』于鬼切『集韻』羽鬼切、𠀤音偉。恨也。『班固・幽通賦』豈不餘身之足殉、愇世業之可懷。通作韙。
うらむ