説文解字私註 㕯部
㕯部
吶
- 説文解字
- 㕯
言之訥也。从口从內。凡㕯之屬皆从㕯。
- 康煕字典
- 口部四劃
『集韻』『正韻』𠀤奴骨切。與訥同。『集韻』或作詘。『玉篇』遲鈍也。『集韻』言難也。『禮・檀弓』其言吶吶然、如不出諸其口。『前漢・李廣傳』吶口少言。《註》吶、亦訥字。『鮑宣傳』吶鈍于辭。
『集韻』如劣切『韻會』『正韻』儒劣切、𠀤音𤑔。『集韻』言緩也。或書作㕯。
『廣韻』『集韻』𠀤女劣切、音笍。『廣韻』嗗吶、聲不出。『集韻』或書作㕯。
『集韻』『韻會』𠀤女律切、音柮。語不明。○按㕯吶二字、音義略同。然玉篇、廣韻、㕯吶俱分載、不言吶同㕯、惟集韻如劣、女劣二切、㕯、吶無異。㕯字作内下口。
- 康煕字典・㕯
- 口部四劃
『唐韻』『集韻』女滑切『韻會』女刮切、𠀤音豽。『說文』言之訥也。『玉篇』下聲也、言不出口也。『廣韻』言逆下也。
『廣韻』內骨也。『集韻』奴骨切、𠀤音訥。『廣韻』㕯口。
『廣韻』『集韻』𠀤如劣切、音𤑔。『廣韻』言遲聲。『集韻』同吶。
『集韻』女劣切、音笍。亦與吶同。
- 簡体字
- 呐
- 音
- トツ。ドツ。
- 訓
- どもる。くちごもる。
矞
- 説文解字
以錐有所穿也。从矛从㕯。一曰滿有所出也。
- 康煕字典
- 矛部七劃
『唐韻』餘律切『集韻』允律切『韻會』『正韻』以律切、𠀤音聿。『說文』以錐有所穿也。从矛从㕯。一曰滿有所出也。
『揚子・太𤣥經』物登明堂、矞矞皇皇。《註》矞矞、物長春風之聲貌也。
矞似、人名。『左傳・文十年』楚范巫矞似。《註》范邑之巫也。
矞雲、瑞雲也。『前漢・董仲舒雨雹對』雲五色爲慶、三色成矞。『埤雅』或曰二色爲矞、外赤內靑謂之矞雲。矞同霱。
矞皇、神名。『前漢・司馬相如・大人賦』前長離而後矞皇。『史記』作潏湟。
『五音集韻』况必切、熏入聲。『玉篇』飛貌。『類篇』驚遽貌。『禮・禮運』鳳以爲畜、故鳥不矞。《註》矞又作獝、驚飛也。『左思・吳都賦』驫駥飍矞。《註》衆馬走貌。矞同獝。『集韻』或作𥎕䎉。
『集韻』古穴切、音玦。權詐也。『荀子・非十二子篇』矞宇嵬瑣。《註》矞同譎。
- 音
- (1) イツ
- (2) キツ
- (3) ケツ
- 訓
- (1) うがつ
- (3) いつはる
- 解字(白川)
- 矛と冏の會意。冏は臺座。矛を臺座に立てて武夷を示し、巡撫査察することを遹正といふ。商も辛を冏上に立てて刑罰權を示し、同構の字。
- 解字(藤堂)
- 矛と冏(穴)の會意。
商
- 説文解字
从外知内也。从㕯、章省聲。
- 𡃬
古文商。
- 𠾃
亦古文商。
- 𡅟
籒文商。
- 康煕字典
- 《古文》𡅟𠾃𡂦𠿧𡃬𡄚𠹧𧶜
- 口部八劃
『唐韻』式陽切『集韻』『韻會』『正韻』尸羊切、𠀤音觴。『說文』从外知內也。从㕯、章省聲。『廣韻』度也。『易・兌卦』九四、商兌未寧。《註》商、商量、裁制之謂也。『禮・曲禮』槀魚曰商祭。《註》商猶量也。《疏》祭用乾魚、量度燥濕、得中而用之也。
『玉篇』五音、金音也。『禮・月令』其音商。《註》商數七十二、屬金者以其濁次宮、臣之象也。秋氣和、則商聲調。『前漢・律歷志』商之爲言章也、物成孰、可章度也。『白虎通』商者、强也。『梁元帝・纂要』秋曰素商、亦曰高商。
『說文〔六・貝部・𧶜〕』行賈也。『易・復卦』商旅不行。『周禮・天官・大宰』九職、六曰商賈、阜通貨賄。《註》行曰商、處曰賈。『廣韻』本作𧶜。俗作啇、非。
『集韻』刻也。『詩・齊風・東方未明疏』尚書緯謂刻爲商。『儀禮・士昏禮註』鄭目錄云、日入三商爲昏。《疏》馬氏云、日未出、日沒後、皆二刻半、云三商者、據整數言也。『正字通』商、乃漏箭所刻之處。古以刻鐫爲商、所云商金、商銀是也。刻漏者、刻其痕以驗水也。
『廣韻』張也、又降也、又常也。
國名。『詩・商頌譜』商者、契所封之地。《疏》鄭以湯取契之所封以爲代號也、服虔王肅則不然。襄九年左傳曰:閼伯居商、丘相土因之。服虔云、相土契之孫居商丘、湯以爲號。又書序王肅註亦云、然契之封商見於書傳史記中、𠋫其文甚明。經典之言商者、皆單謂之商、未有稱商丘者、又相土之于殷室、非王迹所因、何當取其所居、以爲代號也。
地名。『左傳・僖二十五年』楚𩰚克屈禦寇、以申息之師戍商密。又『春秋・襄二十一年』會于商任。又『戰國策』高商之戰。又州名。『廣韻』卽古商國、後魏置洛州、周爲商州、取商於地爲名。『戰國策』衞鞅亡魏入秦、孝公以爲相、封之於商、號曰商君。『史記・張儀傳』臣請獻商於之地六百里。《註》商州有古商城、其西二百餘里有古於城。
商陵、漢侯國、在臨淮。見『史記・惠景閒侯者年表』。
姓。『史記・仲尼弟子傳』商瞿商澤。
『諡法』昭功寧民曰商。
與謫通。『荀子・儒效篇』謫德而定次。《註》謫與商同。
『集韻』諸良切、音章。度也。『書・費誓』我商賚汝。『釋文』商如字、徐音章。
- 音
- シャウ
- 訓
- あきなふ。はかる。
- 解字(白川)
- 辛と臺座の形と口の會意。辛は把手のある大きな辛器で、入墨に用ゐる。臺座にこれを樹て、その前に、神に祈る祝詞の器を置く。神に商ることを原義とする。遹の從ふところの矞と似る。説文解字に商搉すること、推測の意とするが、神意を問ふことを原義とする。古くは賞の意に用ゐ、商の下に貝を加へた。𧶜はその略字であらう。賞は報償として與へられることが多く、また償の意となる。商をその義に用ゐ、つひに商賣の意となる。商賣の意は最も後起の義である。
- 解字(藤堂)
- 高い臺の形に從ひ、章の略體を音符とする。平原の中の明るい高臺。殷人は高臺に聚落をつくり、商と自稱した。滅びた後、一部が工藝品を行商し、支那に商業が始まつたので、行商人の意となつた。
- 解字(落合)
- 甲骨文は、丙の上に䇂、辛、あるいは冠の形などを加へたもの。既に口を加へた字體もある。初期には多く冠の形に從ひ、中期に䇂に從ふ形が主に用ゐられ、辛に從ふ形は後期に出現したので、冠の形に從ふ字が原義を反映してゐると考へられる。冠の形は尊貴の象徴であり、王宮が原義であらう。殷都の名として用ゐられる。
- また、假借して下賜を表し、その意味では賞の初文。
- 解字(漢字多功能字庫)
- 本義は不詳。
- 一説に、丙と辛に從ひ、丙は高臺の形、辛は薪の省形、薪を高臺の上で燃やす意、大火星を祀る祭の意。後に商賈の商を表すために借りる、といふ。
- 一説に、酒器を象るといふ。甲骨文、金文の商字は、一般的な書き方の外、兩脇に星を象る二個或は四個の圓圈を加へ、參宿とは相見えない商、即ち心宿二、別名大火星(補註: アンタレス)に專用する字があるが、商を酒器とする説では、大火星を表すことの説明がつかない。
- 甲骨文では人名に用ゐ、また地名に用ゐて殷の王都を指す。
- 金文では國邑名に用ゐる。大邑商の一語で商國を指す。また人名に用ゐる。また樂律名に用ゐ、五音の一となす。また、字を用ゐて賞となし、賞賜を指す。
- 戰國竹簡では國邑名に用ゐる。また樂律名に用ゐる。
- 漢帛書では用ゐて猖となし、猖獗を指す。
- 表
- 當用漢字・常用漢字