䖵 - 漢字私註
説文解字
蟲之緫名也。从二虫。凡䖵之屬皆从䖵。讀若昆。
- 十三・䖵部
康煕字典
- 部・劃數
- 虫部・六劃
『唐韻』古渾切『韻會』公渾切、𠀤音昆。『說文』蟲之總名也、从二虫、凡䖵之類皆从䖵。『長箋』二虫與沝、屾、斦、誩同義、有昆弟之象。古人造字有取于象形者、則從二虫同體作䖵。虫䖵蟲三部、若無可分體者。詳略爾。
又『韻會』通昆、『詩』草木昆蟲。師古曰、衆也。又鄭玄曰、昆蟲、明蟲也、明蟲得陽則生、得隂則藏。『禮・祭統』昆蟲之異。《註》溫生寒死之蟲也。
『集韻』亦作蜫。
- 部・劃數
- 虫部八劃
『唐韻』古渾切、音昆。同䖵。詳䖵字註。
音訓
- 音
- コン(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・䰟・昆』古渾切〉[kūn]
- 訓
- むし
解字
白川
虫二つの會意。
『説文解字』に昆蟲の意とする。昆蟲は節足類であるが、虫系統の字はすべて爬蟲類あるいは環形動物の類であるから、昆、䖵はその類を異にするものであらう。
卜辭に䖵を祀る儀禮が多く見え、農作の神とされたやうである。本邦の「やと(谷)神」のやうなものであらう。(參: 夜刀神)
藤堂
二虫の會意。
落合
蟲の甲骨文を䖵につくる。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は二虫に從ふ。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 神祇名に用ゐる。《合集》14703
壬辰卜、翼(翌)甲午、尞(燎)于䖵、羊、㞢(有)豕。
- 族名あるいは地名を表す。
- 《合集》7010
庚午卜、缶弗𢦔䖵……
- 《合集》10951
丁未卜、王其逐才(在)䖵鹿、隻(獲)。
- 《合集》7010
金文では疑ふらくは虫と同じく用ゐ、蛇類を表す。魚顛匕曰[𢓊口](誕)又(有)䖵匕、述(墜)王魚[鼎頁](鼎)。
匕の形は蛇に似てをり、䖵を以て喩へる。(參: 《金文形義通解》)
『説文解字』は蟲類の總稱、昆蟲の昆の本字とする。
《睡虎地秦簡・秦律十八種》簡2早〈旱〉及暴風雨、水潦、𧈸(螽)、羣它物傷稼者、亦輒言其頃數。
整理者は螽(音中)、蝗蟲。䖵(音昆)、蟲類總稱、這裡指其他害蟲。羣它物、等物。
とする。全句を飜譯すると、旱災、冠水、蝗、その他害蟲などの災害が禾稼(穀物)を損傷し、災ひを受けた數を報告せねばならない、の意。
䖵を偏旁に用ゐるとき、その意義は虫あるいは蟲と同じ。(參: 季旭昇)
屬性
- 䖵
- U+45B5
- 蜫
- U+872B
関聯字
䖵に從ふ字
説文解字・䖵部など。