戌 - 漢字私註
説文解字
滅也。九月、陽气微、萬物畢成、陽下入地也。五行、土生於戊、盛於戌。从戊含一。凡戌之屬皆从戌。辛聿切。
- 十四・戌部
説文解字注
烕也。九月昜气微。萬物畢成。昜下入地也。烕大徐作滅。非。《火部》曰、烕、滅也。本『毛詩・傳』火死於戌。陽氣至戌而盡。故烕从火戌。此以烕釋戌之恉也。『〔史記〕律書』曰、戌者、萬物盡滅。『淮南・天文訓』戌者、滅也。『〔漢書〕律曆志』畢入於戌。『釋名〔釋天〕』戌、恤也。物當收斂矜恤之也。九月於卦爲剝。五陰方盛。一陽將盡。陽下入地。故其字从土中含一。五行土生於戊。盛於戌。戊午合德。『天文訓』曰、土生於午、壯於戌、死於寅。从戊一。戊者、中宫。亦土也。一者、一陽也。戍中含一會意也。一亦聲。辛聿切。十二部。凡戌之屬皆从戌。
康煕字典
- 部・劃數
- 戈部・二劃
『唐韻』辛聿切『集韻』『韻會』『正韻』雪律切、𠀤音恤。九月辰名也。『說文』滅也。九月陽氣微、萬物畢成、陽下入地也。五行、土生於戊、盛於戌、从戊含一。『前漢・律歷志』畢入於戌。『爾雅・釋天』歲在戌曰閹茂。
音訓
- 音
- ジュツ(慣) シュツ(漢) 〈『廣韻・入聲・術・卹』辛聿切〉[xū]{seot1}
- 訓
- いぬ
解字
白川
象形。戉の刃部を主とする形。
『説文解字』に滅ぶるなり。九月、陽气微にして、萬物畢く成り、陽下りて地に入るなり。五行、土は戊に生じ、戌に盛んなり。戊の一を含むに從ふ。
といふ。後の字形によつて五行説に附會したもの。
卜文、金文の字形は、斧鉞の象。剝削に用ゐる器。
段注に一は亦聲なり
とするが、聲も合はず、卜文には一に從ふ字形はない。
十二支の名に用ゐるものはすべて假借。字の本義とは關係のない用法。
藤堂
一印と戈の會意。もと刃物で作物を刈つて一纏めに締め括り、收穫すること。のち率と同系。
十二支の名となつたため、原義は忘れられた。
落合
武器の一種である鉞の象形。構造としては戈に似てゐるが、幅の廣い刃物を取り附けたものであり、切ることを目的とした武器。
甲骨文での用義は次のとほり。殆どが十二支としての用法。
- 十二支の十一番目。《英藏》886・驗辭
三日乙酉夕垔丙戌、允有來入齒。
- 地名またはその長。《合集》22063
…弗以戌。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、斧鉞の一種の武器に象る。假借して十二支となす。金文は斧の柄を象る縱筆が彎曲してゐる。
甲骨文、金文では用ゐて十二支となす。
- 《合集》13525
甲戌卜
。 - 康鼎
唯三月初吉甲戌
。
屬性
- 戌
- U+620C
- JIS: 1-56-92
關聯字
戌に從ふ字
漢字私註部別一覽・戉部・戌枝に蒐める。
其の他
- 戍
- 別字。