腥 - 漢字私註
説文解字
- 腥
星見食豕、令肉中生小息肉也。从肉从星、星亦聲。
- 段注に
息當作瘜。『𤕫部』曰、瘜、寄肉也。星見時飼豕。每致此疾。『〔周禮・天官〕内饔』曰、豕盲眡而交睫腥。盲眡、『〔禮〕内則』作望視。《鄭云》腥當爲星。聲之誤也。肉有如米者似星。注内則同。按鄭意腥爲腥孰字。豕不可食者當作星。與經傳及今俗用字皆合。許則謂腥孰字正作胜。腥專謂豕不可食者。與鄭絕異。『爾雅〔釋器〕』米者謂之糪。《郭云》飯中有腥。其用字與許同也。
といふ。 - 四・肉部
康煕字典
- 部・劃數
- 肉部九劃
『玉篇』桑丁切『廣韻』『集韻』桑經切、𠀤音星。『說文』星見食豕、令肉中生小息肉也。『廣韻』豕息肉、肉中似米。『周禮・天官・內饔』豕肓眡而交睫腥。《註》肉有如米者、似星。
又凡膏亦曰腥。『周禮・天官・庖人』秋行犢麛膳膏腥。《註》膏腥、雞膏也。
又臭也。『禮・月令』仲秋之月、其臭腥。『史記・晉世家』犯肉腥臊、何足食。
又穢也。『書・酒誥』庶羣自酒、腥聞在上。
又『正韻』凡肉未熟曰腥。『論語』君賜腥、必熟而薦之。『史記・禮書』俎上腥魚。《註》鄭曰、大饗祫祭先王、以腥魚爲俎實、不臑熟之也。
又『唐韻』蘇佞切『集韻』『韻會』新佞切、𠀤音性。義同。
『集韻』或作胜。
音訓
- 音
- セイ(漢) シャウ(呉) 〈『廣韻・下平聲・靑・星』桑經切〉[xīng]{sing1/seng1}
- 訓
- なまぐさい
解字
白川
形聲。聲符は星。
『説文解字』に星の見はるる食豕なり。肉中をして小息肉を生ぜしむるなり。肉星に從ひ、星は亦聲なり。
とあり、小息肉とは小さなつき肉をいふ。(補註: 寡聞にして「つき肉」の指すところを知らず。『字通』には訓義として、あまじし、つきにくを竝べてゐる。Web上の中文辭書によれば息肉はポリープの意。)
『周禮・天官・庖人』(上揭)に膏腥を膳す
とあり、脂肪の多い生肉をいひ、臭氣の強いもの。
『書・酒誥』に腥聞在上
(腥聞、上に在り)のやうに、古くから腥臭の意に用ゐる。霜降り肉は、星に從ふことからの轉義であらう。
藤堂
漢字多功能字庫
肉に從ひ星聲。本義は豚肉の中の米粒のやうな息肉(ポリープ)。『説文解字』では夜に星が出たときに豚に餌をやると豚にポリープが出來ると考へてをり、故に誤つて腥の從ふところの星がまた義を表すとする。『玉篇・肉部』腥、豕息肉。
『廣韻・徑韻』腥、豕息肉、肉中似米。
腥を多く胜と同じく用ゐ、生肉を表す。
- 『論語・鄉黨』
君賜腥、必熟而薦之。
邢昺疏君賜已生肉、必烹熟而薦其先祖。
- 『禮記・祭義』
爓祭、祭腥而退、敬之至也。
またなまぐさい臭ひを表す。
- 『山海經・海外北經』
禹殺相柳、其血腥、不可以樹穀種。
- 『荀子・榮辱』
口辨酸鹹甘苦、鼻辨芬芳腥臊。
また特に魚の生臭さを指す。
- 『呂氏春秋・本味』
夫三群之蟲、水居者腥、肉玃者臊、草食者羶、臭惡猶美、皆有所以。
- 唐・白居易〈即事寄微之〉
衣縫紕纇黃絲絹、飯下腥鹹白小魚。
また借りて魚を指す。韓愈〈答張徹〉乘枯摘野艷、沉細抽潛腥。
屬性
- 腥
- U+8165
- JIS: 1-71-9