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蘭の会 三周年記念 連載コラム

新 サルでもわかるレトリカル 会員番号000b 佐々宝砂



■ 第13回 書けないときもありまさぁ
いやま、記念すべき第十三回だというのに(怪奇詩人にとっちゃ13はラッキーナンバーですからね)、実にろくでもないタイトルです。みなさま予測されてると思いますが、筆者佐々宝砂は半年くらいまえからたいへんこっぴどいスランプに陥っております。サルレトも半年くらい前の分からテンションがおちまくっております。あかんですね。あかんとは思うのですが、書けないときは書けないのです。しつこい話ですが、「書けないときは書けない」という言い方はトートロジーであります。毎度こんな書き方をしてれば、いいかげんトートロジーという手法(だけ)はきっちり覚えられたのではないかなと思います。それにしても投げやりだぞ、私。

たくさん書ける時期というのは、人により違いますが、たいていは書き始めたばかりのころです。詩というものを書きはじめて、いくらか感想ももらって、書きたいこともたくさんあって、スランプってなに?という感じでどかどか書ける。それはとてもしあわせな体験ではあるので、そういう時期の人はこんなの読んでないでどかすか書いて下さい。レトリックってなになんて考えなくてもいいです。書けるだけ書いて、あとで構成や見せ方を考えたらいいのです。そういう時期はほんとにしあわせな時期です。恋のはじまりみたいなものかもしれません。問題はそのあとです。詩の書き方に慣れてきて、「書こうと思えば詩らしきものならすぐ書ける」という状況になったころ。恋愛でいうと「まあまだ好き。愛されてもいる。でも慣れてきてときめかない。刺激がほしい」という状態でまさに倦怠期です。私は自慢じゃないけど詩を書いて20年近くになるので(ほんまに自慢ではないです)、もう最初のときめきなんか忘却の彼方です。書こうと思えば書けると豪語しつつ、実は年中ドスランプです。

しかし昔のことを思いだして書いてみます。書きはじめて間もないころの「書けない」理由は、おおむね二種類あるでしょう。ひとつは「何を書いたらいいかわからない」。難しい問いのようで、これは答が簡単です。だって、詩は、何を書いてもいいんですからね。ネタがなきゃ外を散歩してくりゃひとまず夜空や青空や雨空が見えるはずですから、その空のことでも書けばいいです。もうひとつは「書き方がわからない」。これは前の問いほど簡単ではないのですが、レトリックを勉強すればちっとは解決できます。きちっとした書き方を学びたければ、かっちりした定型を覚えたらいいと思います。

で。問題の倦怠期突入・・・したらどうしたらいいか。実は私もわかりません。わかりませんが、まずはスランプの原因を探るべきでしょう。これまでの私の経験では、「書く気力がなくなった」←「気力が充実すれば書けるようになる」、「単に書けない時期」←「時期が過ぎれば書けるようになる」、「方向性が定まらない」←「方向が見えれば書けるようになる」などというパターンがありました。いずれもその最中はしんどいですが、問題が解決すれば書けるようになります。いま私が書けないのは、「書くのが怖い」というだらしない理由によるものです。このことについては次回にも書きます。

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会員随時募集中/著作権は作者に帰属する/最終更新日2006-02-14 (Tue)/サイトデザイン 芳賀梨花子

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