穴拔け日記 (平成18年3月)

3月31日 (金)

暦日天候地象

舊上巳。

私事・獨語

今日限りで學籍遺失。といふことで一日殘務處理に追はれてゐた。

週が空けたら食ふために勤勞といふものをしなければならない訣だが、面倒なことこの上ない。兔角この世は住み難く出來てゐると思つてうんざりする。

とはいへ、あまりうんざりすることばかり考へてゐても仕方ないので、適當に仕事をしてそこそこ快適な快樂主義的生活をしたいと念ずることにする。あくまでストイックな生き方はしない。つふか、多分絶對無理。無理なことは始めからしない方が身のためである。

世間

3月30日 (木)

私事・獨語

論文誌に投稿する論文の直しも最終盤。投稿するのにタイトルとアブストラクトをまづ web で登録、といふところからタイトル確定のために助教授に方針のお伺ひを立て、教授のところに持つて行つたら1週間以上前に助教授にひつくり返された當初のタイトルがよからうと言はれ、助教授のところに再び持つて行つたらそれぢやさうするかと呟かれ、助手の所に斯く斯く然々と言ひに行つたら最初のでいいんぢやないと返され、嗚呼なんかやれやれな氣分となりぬ。

その後は最後の手直しを着々とやり、書類を揃へ、なんとか今日中に投稿完了。採録されても蹴られても、此の先の俺の一生にどれだけの意味があるのかは怪しいものだが、折角骨折つて書いたので、出來ることなら採録して貰へれば有り難いと切に思ふ。

世間

3月29日 (水)

暦日天候地象

舊暦彌生朔日。

私事・獨語

次の住處探し、取り敢へず街の樣子見だけしてくる積りが、物件決めて手を附けて來たり。まあ、いいんだか惡いんだか知らないが、ことが進むときはかういふものだらう。

3月28日 (火)

世間

3月27日 (月)

世間

3月26日 (日)

勇者、待てども來ず (8)

ブラヴァントの魔王サタネル十一世の果し状を受け取つたカディール政府の面々は、喜色を顏に浮かべてゐた。といふのも、此方からブラヴァントに侵攻し、魔王を討たうとしてゐた所に、魔王の側からアレス達と直接對決を申し入れて來たからである。

「早速、アレス・マグリスらをして、ブラヴァントに向はしめよ」

「仰せのままに」

かくして、國王ゲオルグ・ヨハン三世はすぐさま魔王の誘ひに乘ることを決し、國防相も簡單にそれを追認したのだつた。そして、その場にいた諸大臣も、これに異を唱へるものはゐなかつた。

一ヶ月後、ブラヴァントの魔王の城館。

「勇者は今日も來なかつたな」

「左樣でございますな」

「果し状が屆いてゐないのだらうか」

「報告では、勇者ら三名に渡しただけでなく、その場で御意を口頭で懇切叮嚀に傳へたといふことですが」

「ではなぜだ。なぜ來ない」

「流石の勇者も大魔王樣には畏れを爲してゐるのかと」

魔王は、ここ數日、毎晩の樣に、側近に對して、勇者が姿を見せないことについて問ひ質してゐた。果し状を受け取つたからには、すぐさまやつて來るものとばかり思つてゐたからである。側近の言ひとは異なり、魔王は、假にも勇者が、自分を畏れてやつて來ないとは思つてゐない。別の理由があるに違ひないと苛立ちを強めてゐた。

更に一ヶ月後の夜。この日も、やはりアレス達の姿はブラヴァントで見られなかつた。魔王の苛立ちが募るのに畏れを爲した側近は、翌日に幹部を集めて勇者に關する情報を上申させて對策を考へたらどうか、と意見を具申した。魔王は、他にいい考へも浮かばず、その意見を容れて、翌朝一番に幹部に直ちに集合する樣にと使者を放つた。

ブラヴァントの幹部達は、晝前頃にぞろぞろと魔王の城館に參集した。

「急に呼ばれたが、何の用だらう」

「さて、またカディールに遠征をする氣になつたのだらうか」

「おいおい、それは困る。相手はいよいよ勢力を増してゐるといふぢやないか。大魔王樣はご存じないのか」

「さて、どうだか」

參集した惡魔達が好き勝手に私語をしてゐるところに、魔王が姿を現した。惡魔達は私語を止めて、その場に平伏した。

惡魔達が平伏してゐるのを見て滿足した魔王は、玉座に着くと、呼び出した趣旨を説明し、勇者に關する情報を上申する樣促した。

「何でもよい。最近の勇者どもの樣子を知る者は、前に進み出て申せ」

惡魔達は顏を上げると、互ひの顏を見合はせた。彼等にとつて周知の事實が、どうやら魔王には達してゐないらしい。それを自分の口で奏上するのは、皆、出來れば遠慮したかつた。さう言ふ訣で、重苦しい沈默の時間が暫く續いたのであつた。

(多分續く)

3月25日 (土)

私事・獨語

午前から晝過ぎにかけては書籍、資料類の整理。中身を確認するのに時間が取られ、埃を掃ふのに手間を取られ、大概厭になる。

夕刻に差掛かつて後はFF12に興じて……取り敢へず王女殿下を救出した邊りまで。昔に比べたら隨分ちんたらやつてゐる氣がするが、制約が多い以上止むを得まい。まあ、ぼちぼち氣長にやるとする。

世間

3月24日 (金)

私事・獨語

取り敢へず動けるやうになつたので學校に行く。今日は卒業式。故に雰圍氣は總じて陽であつた。

祝福の辭を安賣りしたり、デジカメで寫眞を撮つたりしながらも、竝行してプログラムに手入れをしてゐた。處理速度は上がつたが、なんだか擧動が少し怪しくなつたのが氣に入らない。

歸宅後をかしくなつた部分を特定して直した。やつぱりエンバグしてゐた。まあ、よくあること、と居直る。

3月23日 (木)

私事・獨語

引き續きバタンキュー。しかし臥せてゐるのも暇や。

世間

3月22日 (水)

私事・獨語

追ひコンとて飲みに行き、氣分良く飲んで前囘のやうに潰れる樣なこともなかつたまでは大いに結構であつたが、歸りの電車の中で惡寒を覺え歸宅後檢温すれば、吾が體温は攝氏38.1度と出ていきなり奈落の底に顛落した氣分。

要は「バタンキュー」である。

3月21日 (火) : 春分

暦日天候地象

春分 (3時26分)。

私事・獨語

なんか狡い商賣といへばさうなのだが、餘りに壯大な莫迦さ加減に逆に乘せられて買つてしまつた火星の土地の權利書が屆いた。

世間

3月20日 (月)

購入

荒川弘『鋼の錬金術師 13』、今井神『NEEDLESS 4』、そして、今號限り休刊の C MAGAZINE 4月號。

3月19日 (日)

私事・獨語

風邪? 花粉症? ともかく喉の調子がなほ惡いといふ感じで始まつた日曜日。

朝方PCを弄つた後晝前まで眠りこけてゐた。晝からはWBCをTV觀戰。いや、いい試合であつた。

その後はFF12を晩飯までやつてゐた。取り敢へず、何時になつたら地上に出られるの? と思ひながら地下を彷徨つてゐた。未だ彷徨つてゐる途中。

世間

勇者、待てども來ず (7)

魔王サタネル十一世の命により、惡魔達は思ひ思ひにカディールの町や、軍の宿營地などを襲つた。しかし、魔王が期待したほどの成果は上がらなかつた。

カディール軍は、魔王がアレスにかかずらつてゐる間に、對惡魔用の要員を確保することに注力し、アレス一行のやうな高い能力を持つ小規模部隊を多數準備し、各所に配置を進めてゐた。惡魔達はその周到な準備を前にして、大いに途惑ひ、思ひの外手古摺つたのである。

そして、惡魔達にとつて更に惡いことには、アレス一行が城砦の奪還や洞窟への侵入・破壞を止め、惡魔達の前に前觸れもなく突然現れることであつた。今や、アレス達は、本來の能力とは無關係に、惡魔達にとつて觸れてはならない惡鬼のやうなものとなつてゐた。魔王が、勇者には手を出すなと觸れたこともあつて、アレス一行の出現は、それだけで惡魔の部隊を撃退するものとなつてゐたのである。

結局、魔王は、二週間目になつて、攻撃中止の命令を出さざるを得ない状況に追ひ込まれたのであつた。戰果が乏しい割に損害が大きく、軍首腦部から散々突き上げられたためである。惡魔達は、すごすごと引き上げ、取り敢へず確保してゐる占領地を防衞する體勢に戻つた。

ブラヴァントの惡魔とは對照的に、カディール國王周邊は、ここで一氣に逆襲するべきとの強硬論が出始めてゐた。

「殘る敵占領地の開放は時間の問題だ。その後、どうするべきか、そろそろ檢討するべきではあるまいか」

「ブラヴァントの連中は、アレス・マグリスらを異常に恐れてゐるやうだ。これを使はない手はあるまい」

軍參謀部では早速のやうに逆襲作戰が軍議の議題に上つた。そして、數時間の議論の後、逆襲作戰についての基本方針が決定された。一つは、對惡魔用に訓練した戰鬪集團を逐次投入して占領地を擴げること。もう一つは、魔王居城までの最短經路をアレス達を中心とした部隊で切り開き、最終的に敵を降伏させることである。

この決定はその日の内に國王に奏上され、翌日には基本方針について裁可が下りた。更に、對惡魔用部隊を増やすやう沙汰があつた。他ならぬ國王ゲオルグ・ヨハン三世その人が、逆襲を主張する強硬派の一人であつたのである。

意氣上がるカディール軍とは對照的に、魔王の意氣は消沈してゐた。世界征服をする積りが、最初の一國を落すのに時間は容赦なく過ぎ、しかも見込みがだんだんなくなつてくる始末。部下の嫌氣も傳はつてくる。

かくなる上は、己が勇者と相對するほかあるまいと覺悟を決めた魔王は、果し状をカディール政府と、勇者アレス本人に宛てて出すことにした。

(多分續く)

3月18日 (土)

私事・獨語

休日にミーティング。話聞きながら私物PCで全く關係ないプログラムのデバッグをしてゐたけど。

終つた後歸省。なんだか喉のあたりの感じがをかしいのが厭。

世間

3月16日 (木)

購入

FF12。歸宅後1時間半程やつたけど、全然進んでゐる氣がしない。參つたといふか何といふか。

3月15日 (水)

私事・獨語

資料のまとめをやつてゐたら終つた感じの一日。教官が出拂つてゐたので、論文の直しを遣る積りは肩透しで了。

購入

おかゆまさき『撲殺天使ドクロちゃん 7』、綱島志朗『JINKI:EXTEND 8』。

3月14日 (火)

私事・獨語

歸阪。

3月13日 (月)

私事・獨語

朝は健康診斷受けに醫者。晝からはあちこち行つた後祖父宅。

3月11日 (土)

私事・獨語

歸省。

世間

3月9日 (木)

購入

ポーション。箱入り特殊仕樣版が置いてなかつたので通常版だが。

私事・獨語

バグの嵐との挌鬪の末、なんとか實驗を終了に持ち込み、取り敢へず論文に反映させて、助教授に手渡した。後は殘された時間内にどこまで書き直しをさせられるのか、そして、出した結果今度こそ採録されるのか、またしても落されるのか、といふところ。

取り敢へず一仕事終へて充實した樣な、然れども草臥れきつたやうな、何とも言へない氣分である。

世間

3月8日 (水)

世間

3月7日 (火)

私事・獨語

バグが出る出るどこまでも。實驗を進めようとデータを入れる度に見つけてゐるやうな氣がする。バグぢやなくても、適切とは言へないやうなエラーメッセージとか。さう言ふ訣で、バグは取れるが實驗は餘り捗らない。

更に問題なのは、實驗で出てくる結果が今一つ面白くないといふか、パッとしない結果なのがなんともかんとも。

3月6日 (月) : 啓蟄

暦日天候地象

啓蟄 (2時29分)。

私事・獨語

なんだか遣る氣なしモード。

3月4日 (土)

私事・獨語

朝、所用で外出。

午からは後囘しになつてゐたものを觀たり聽いたり。その後は何するか考へつつウェブ巡廻してゐたら結構な時間を喰つてしまつた。

購入

藤崎竜『封神演義完全版17』。

3月3日 (金) : 上巳

私事・獨語

研究室の OG の方が來られるとて、梅田で飲み。イタリア料理屋でワインを美味しく頂いた。話も彈んで結構なひとときであつた。

3月2日 (木)

世間

勇者、待てども來ず (6)

罵りの言葉が刻まれた冰漬けのビューネの首を前にして怒つてゐる魔王を餘所に、惡魔達は内心考へた。ビューネ程の大惡魔までもが斃されるとなると、自分達の出る幕などない。下手に勇者などに挑戰したら、まづ間違ひなく殺される。かと言つて、魔王も怖い。

長い沈默の後、ある惡魔が恐る恐る魔王に奏上した。

「大魔王樣、勇者は魔道士を從へてゐるやうで御座います。かの者どもは、決して我等に長じてゐるのではなく、羂を設けて我等を潰す算段かと愚考致します」

「ではどうすればよい」

「此方からは出向かず、逆に誘き寄せて、此方の有利な場所で鬪へばいいのではないでせうか」

「成程。そちの言ふことは一理ある。では、者どもに通達せよ。今守つてゐる箇所の守りを固くし、勇者らが來た場合に備へて仕掛けを施し、決してこちらから出掛けて手を出すべからず、と。守る箇所のない者は、適當に振り分けよ」

「かしこまりまして御座います」

かくして、魔王と配下の惡魔達は、防戰第一主義を採ることにしたのだつた。

方針轉換から數月、状況は依然として魔王にとつて餘り芳しいとは言へなかつた。確かに犧牲は以前より大幅に減つた。野外で勇者アレスとその一行に挑むことを嚴禁したため、勇者一行の惡魔狩りの準備が功を奏さなかつたからである。

しかし、勇者一行は、惡魔側からの攻撃を待つことが無駄だと知ると、大膽にも惡魔の守る城砦や洞窟へ積極的に出向いて惡魔を狩り始めた。惡魔側も羂を仕掛け、多くの魔獸や惡靈を部署して防禦を固めてゐたが、勇者一行は決して無理をすることなく、まづは着實に羂を解除し、多くの魔物を一匹一匹始末し、最後には城砦や洞窟を統括する惡魔を狩つてしまふのであつた。以前より狩られる惡魔の數こそ激減したものの、勇者一行を斃すといふ魔王の悲願の成就には到底近づいたとは言へなかつた。魔王サタネル十一世には、それがとても齒痒く思へた。

魔王は、更に手を打つ必要を感じ、配下を集めた。

「なぜ、勇者どもは我等の領分に平然と入つて來るのだ。あれをなんとかせよ」

「畏れながら申し上げます。勇者どもは、我等の施した羂を地道に解除、突破し、我等の地の利を奪ふかのやうに、ときに城砦や洞窟を破壞することすら憚ることがないのであります」

「洞窟は兔も角、城砦は元々人間どもがつくつたものではないか。それをも破壞してゐるといふのか」

魔王は、勇者一行の行動があまりに功利的で見境ないことに苛立つた。彼の想念する勇者とは、勝利のためなら何でもする存在ではなく、あくまで一定の規律を守り、その中で自分達と鬪ふ者であつた。今の報告の通りなら、勇者一行は、騎士道精神を持ち合はせない下劣な戰鬪者の集まりといふことになる。

魔王の、彼一流の美學から來る節度も、遂に限界に達した。本來、手段を選ばず人間どもを殺戮すれば、勇者を敢へて相手にしなくとも事は濟むのである。しかし、魔王はあくまで偉大な魔王を任じてゐたかつた。さうであるなら、非道なことはなるべく愼むべきであり、人間側の精神的支柱である勇者を斃すことで、他の人間を屍にすることなく屈服させるのが望ましいと思つてゐたのである。勇者が人間達の精神的支柱といふ認識が既に大きな間違ひであつたが、魔王はそれには氣附いてゐなかつた。そればかりか、勇者一行の「無節操」は、つまるところ人間全體が下劣であることの現れであると思ふに至つたのである。

「かくなる上は、こちらも不本意ながら手段を選ばず、人間どもに我等の恐ろしさを知らしめねばならぬ。勇者は放つておいて、カディール軍を蹴散らし、二度と我等に反攻しようなどと夢にも思はぬやう、徹底的に叩き潰せ」

この言葉に多くの惡魔は歡喜の聲で應へたが、一部は、今更何を言ふのかと、冷淡に思ふのであつた。

(多分續く)

3月1日 (水)

暦日天候地象

私事・獨語

氣が乘らないので實驗は放置して、プログラムの改造をやつてゐたら、思ひの外速度が上がつて、今まで何してたんだか、といふ氣分。多少は效果が期待できるとは思つてゐたが、豫想外に效いて素直に喜んでいいのか惡いのか却つて分らなくなつた。

世間

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