説文解字私註 廴部

廴 長行也。从彳引之。凡廴之屬皆从廴。
廷 朝中也。从廴𡈼聲。
𢌛
行也。从廴正聲。
立朝律也。从聿从廴。

舊版

𢌛

説文解字
行也。从聲。
康煕字典
廴部四劃
『集韻』諸盈切、音征。『說文』行也。○按『前漢・功臣表』武帝征和紀年皆書作𢌛和。顏師古曰、𢌛亦征字也。

説文解字
立朝律也。从
康煕字典
廴部六劃
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤居萬切、犍去聲。『說文』立朝律也。『書・洪範』建用皇極。
『玉篇』豎立也。『韻會』置也。『易・比卦』先王以建萬國、親諸侯。
『廣韻』木名。在弱水、直上百仞、無枝。
星名。『禮・月令』仲春之月、旦建星中。《註》建星在斗上。『史記・天官書』建星者、旗也。《註》建六星在斗北、臨黃道、天之都關也。
州名。『韻會』本吳建安郡、唐立建州。
姓。『廣韻』楚王子建之後。『前漢・元后傳』有建公。
『集韻』『韻會』𠀤紀偃切、犍上聲。『集韻』覆也。『史記・高帝紀』猶居高屋之上、建瓴水也。《註》居高屋而翻瓴水、言向下之勢易也。
通。『禮・樂記』倒載干戈、包之以虎皮、名之曰建櫜。《註》建、讀爲鍵。
ケン。コン。
解字(白川)
は墨繩、は金文の字形に辵につくり、行路を定める意。の金文の形は乚に從ひ、區劃の内を示す形。辵に從ふ形ならば建都、乚に從ふ形ならば宮廷の設營である。設營には先づ方位を定め區劃を施した。
解字(藤堂)
は筆を眞つ直ぐ手で立てたさま。建は聿と(すすむ)の會意で、身體を眞つ直ぐ立てて堂々と步くこと。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、金文は、と∟に從ふ。∟は小篆でに變はつた。手で木の柱を持ち、樹立するさまを象る。本義は樹立すること。甲骨文や早期金文は、又に從はず人に從ひ、一人が木柱を持ち庭隅内に樹立するを象り、建立の義を示す。正しく樹て終へるためには、往々にして人が柱を助け支へる必要があり、故に人に從ふ。また土に從ふ建字があり、物を土の上に立てる意であらう。後期金文はに從ふ字に改まり、手の形(又)を以て人の省となし、手で以て建てる動作を強調してゐる。手の形と木柱を合はせると、字に良く似た形となる。尹、聿の二つの形は古文字では往々にして分けられない。建字が後に聿に從つて書かれる所以である。建の從ふ聿は本來手で木柱を持つことを表し、筆を持ち書寫することを表す聿字とは起源も意義も異なる。
卜辭では地名に用ゐる。金文では、早期の氏族徽號、人名などを除き、建立の意を表す。
當用漢字・常用漢字