説文解字私註 㢟部
㢟部
- 文二
㢟
- 説文解字
安步㢟㢟也。从廴从止。凡㢟之屬皆从㢟。
- 康煕字典
- 廴部三劃
『唐韻』丑連切『集韻』抽延切、𠀤音梴。『說文』安步㢟㢟也。
『集韻』丑展切、音囅。義同。
- 音
- テン
- 解字(白川)
- 廴部に屬する廷、建はみな中廷に關する字で、廴はその儀場を區劃する形。步行に關する字ではない。㢟は中廷で靜かに行動する意。
しづかにあるくの意。
延
- 説文解字
長行也。从㢟丿聲。
- 康煕字典
- 廴部四劃
『唐韻』以然切『集韻』『韻會』『正韻』夷然切、𠀤音綖。『說文』長行也。
『廣韻』進也。『禮・射義』孔子使子路執弓矢出延射。『儀禮・覲禮』𢷤者延之曰升。《註》從後詔禮曰延。延、進也。
『爾雅・釋詁』長也。『揚子・方言』延永、長也。凡施於年者謂之延、施於衆長謂之永。『班固・西京賦』歷十二之延祚。
『廣韻』遠也。『史記・蒙恬傳』延袤萬餘里。
『爾雅・釋詁』𨻰也。《疏》鋪𨻰也。
『正韻』納也。『前漢・公孫弘傳』弘起客館、開東閣、以延賢人。
『集韻』及也。『書・大禹謨』賞延于世。
『廣韻』稅也、言也。
『韻會』遷延也、淹久貌。『左傳・襄十四年』晉人謂之遷延之役。《註》遷延、却退也。『張衡・西京賦』遷延邪睨。《註》李善曰、遷延、引身也。
盤屈曰宛延。『揚雄・甘泉賦』颺翠氣之宛延。《註》宛延、長曲貌。
『爾雅・釋詁』閒也。《疏》謂閒𨻶。今墓道也。『左傳・隱元年隧而相見註』隧若今延道。
『韻會』州名。漢高奴縣、後魏置延州。
地名。『左傳・隱元年』至於廩延。《註》廩延、鄭邑。𨻰留酸棗縣北有延津。又『昭二十七年』延州來季子聘於上國。《註》季子本封延陵、後復封州來、故曰延州來。又『前漢・地理志』張掖郡有居延縣。《註》居延澤在東北、古文以爲流沙。
姓。『後漢・延篤傳』篤、南陽人、爲京兆尹。
『集韻』以淺切、音演。冕上覆也。『禮・玉藻』天子玉藻十有二旒、前後邃延。『集韻』或作綖。
『廣韻』于線切『集韻』『韻會』延面切、𠀤音羨。『集韻』延、及也。『張衡・西京賦』重閨幽闥、轉相踰延。望䆗窱以逕庭、渺不知其所返。《註》延言互相周通。
- 音
- エン
- 訓
- のびる。ひく。
- (國訓) のべ
- 解字(白川)
- 乏と廴の會意。乏は死者。廴は廷のやうな儀禮の場所。恐らく墓室に通ずる羨道の意で、羨の本字。羨は假借字であらう。故に長延の意がある。
- 解字(藤堂)
- 止(足)と廴(ひく)と丿(のばす)の會意で、長く引きのばして進むこと。
- 解字(落合)
- 甲骨文は彳と止の會意、𢓊につくり、延長して進むことを意味する。行に從ふ異體字もある。西周金文以後に彳が廴に變形し、篆文で止に丿を加へた。
- 解字(漢字多功能字庫)
- 甲骨文や早期金文は彳と止に從ひ、步行の意。彳は行の省文で、道路を象る。止が行の中にあり、恐らく人が路上を行くことを表す。本義は遠くへ行くこと。
- 甲骨文や金文は𢓊につくる。戰國末期に初めて丿を加へた延の形が見える。㢟は延の古字に當り、典籍ではみな延につくる。
- 春秋晩期に彳が段々伸ばされ、或は∟形に結合し、或は∟に從ふ。廴は彳に從ひ∟の形に至つたと見ることができる。延の廴と、建や廷の廴とは起源や意義が異なる。
- 卜辭では步行、連綿の義を有す。金文では人名に用ゐ、また、進むの意となす。また、長久の義を有す。また、誕となし、發語の詞とする。また、肆や延は卜辭ではずつと續くことを表し、古典の中ではいづれも陳の義を有す。
- 表
- 當用漢字・常用漢字