説文解字私註 可部

可部

可 𦘫也。从口丂、丂亦聲。凡可之屬皆从可。
奇 異也。一曰不耦。从大从可。
可也。从可加聲。『詩』曰、哿矣富人。
聲也。从二可。古文以爲謌字。

新附

不可也。从反可。

舊版

説文解字
可也。从加聲。『詩〔小雅・正月〕』曰、哿矣富人。
康煕字典
口部七劃
『唐韻』古我切『集韻』『韻會』賈我切『正韻』嘉我切、𠀤音舸。『說文』可也。从可加聲。『詩・小雅』哿矣富人、哀此惸獨。『又』哿矣能言。
『玉篇』嘉也。
『韻補』叶居何切、音哥。『揚子・太玄經』瞢首時䰈䰈、不獲其嘉、男子折笄、婦人易哿。《註》珈假借作哿、婦人首飾也。嘉亦居何切。
よい
解字(白川)
聲符は加。『詩・小雅・正月』かな、富める人の下句に哀し、此の惸獨(身よりのない人)とあり、哿と哀と對文。と聲義の通ずる字である。
解字(藤堂)
會意、(まあよい)は亦た音符。

説文解字
聲也。从二。古文以爲謌字。
康煕字典
口部七劃
『唐韻』古俄切『集韻』『韻會』『正韻』居何切、𠀤音牁。『說文』聲也。从二可、古文以爲謌字。『廣韻』古歌字。『前漢・藝文志』哥永言。『唐書・劉禹錫傳』屈原作九哥。
『廣韻』今呼爲兄。『韻會』潁川語、小曰哥、今人以配姐字、爲兄弟之稱。
哥舒、複姓。
うた。うたふ。こゑ。あに。
解字(白川)
を上下に重ねた形の會意字。可は祝禱を收めた器を柯枝で毆ち、その成就を求めて呵責を加へる意。そのとき發する聲を呵といひ、その聲調を哥、謌といふ。謌は歌の初文。
解字(藤堂)
を二つ重ねた會意字、可は亦た音符。可は鉤型に曲がる意を含む。喉をしめ、息を屈曲させて聲を出すこと。歌の原字。

新附(舊版)

説文解字
不可也。从反
康煕字典
口部二劃
『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤普火切、音頗。『說文』不可也。从反可。『後漢・呂布傳』大耳兒最叵信。
『正字通』叵耐、不可耐也。
遂也。『後漢・隗囂傳』帝知其終不爲用、叵欲討之。《註》叵、猶遂也。又『班超傳』超欲因此叵平諸國。
叵羅、酒巵。『北史・祖珽傳』神武宴僚屬、于坐失金叵羅、竇太令飮酒者皆脫帽、于珽髻上得之。
かたい。ない。つひに。
解字(藤堂)
指示。字を左右逆に書いて不可の意を表したもの。不可が約まつて一音節となつた言葉。