龐 - 漢字私註
説文解字
- 龐
高屋也。从广龍聲。
- 九・广部
康煕字典
- 部・劃數
- 龍部三劃
『廣韻』薄江切『集韻』『韻會』皮江切、𠀤音胮。『說文』高屋也。
又雜亂貌。『書・周官』不和政龐。
又姓。周畢公高後、封於龐、因氏焉。
又『集韻』『韻會』𠀤盧東切、音籠。『集韻』充實也。『詩・小雅』四牡龐龐。『前漢・司馬相如傳』湛恩龐洪。
又地名。『前漢・地理志』九眞郡都龐。
又『集韻』力鍾切『韻會』『正韻』盧容切、𠀤音龍。義同。
又『集韻』蒲蒙切、音蓬。充牣也。
異體字
或體。
簡体字。
音訓・用義
- 音
- (1) ハウ
- (2) ロウ
- 訓
- (1) たかどの。みだれる。
ロウの音は充實の義に用ゐる。
解字
白川
广と龍の會意。龍は古代の呪儀に用ゐられたものらしく、金文に龔、[龏兄]など、龍形のものを捧げる形の字がある。
説文解字に龍聲とするが、寵と同じく會意とすべき。みな龍の呪儀を行ふところで、龐大、尊寵の意となるのであらう。
藤堂
广(覆ふ)と音符龍の會意兼形聲。龍を覆ふほど大きいことを表す。
落合
形聲。广に從ひ龍聲。大きな建築物を表す。龍は大きいことを示す亦聲の部分とされる。
異體字に入や龏に從ふものなどもある。
甲骨文では地名の用法のみ見える。《英國所藏甲骨集》151乙酉卜爭貞、勿呼婦好先廾人于龐。
漢字多功能字庫
广に從ひ龍聲。广は三面に壁のある房屋を象り、龐の義符、一般に房屋を指す。本義は高大な房屋、後に高大の義を派生する。
甲骨文はあるいは廾を加へ、廾と龍は組み合はさつて龔となり、それが聲符となる。簡化字は庞。段注に高屋也。謂屋之高者也、故字从广。引伸之、爲凡高大之偁。『小雅』四牡龐龐。傳曰、龐龐、充實也。从广、龍聲。
龐は金文に見えない。甲骨文では人名に用ゐる。《合集》19527龐㞢(有)蠱
の、㞢は有を表し、蠱は災害を表し、全句で龐といふ名の人に災禍があることをいふ。また地名に用ゐる。《合集》7358余于龐次
の、余は一人稱代名詞で、我あるいは我々を表し、次は部隊が駐留することを表し、全句で我々の部隊は龐の地に駐留することを表す。
漢印文字では多く姓氏に用ゐる。《漢印文字徵》龐比干
。
屬性
- 龐
- U+9F90
- JIS: 1-94-86
- 龎
- U+9F8E
- 庞
- U+5E9E