弭 - 漢字私註
説文解字
- 弭
弓無緣、可以解轡紛者。从弓耳聲。
- 十二・弓部
- 𢏱
弭或从兒。
- 段注に
兒聲也。
といふ。
康煕字典
- 部・劃數
- 弓部・六劃
- 古文
- 𢏱
『唐韻』綿婢切『集韻』『韻會』母婢切『正韻』莫禮切、𠀤音敉。『說文』弓無緣、可以解轡紛者。『爾雅・釋器』有緣者謂之弓、無緣者謂之弭。《註》今之角弓也。《疏》李巡曰、骨飾兩頭曰弓、不以骨飾兩頭曰弭。孫炎曰、緣謂繳束而漆之、弭謂不以繳束骨飾兩頭者也。『釋名』弓末謂之弭、以骨爲之、滑弭弭也。『詩・小雅』象弭、魚服。《傳》象弭、弓反末也。《疏》弭者、弓弰之名、以象骨爲之、是弓之末弭、弛之則反曲、故云象弭爲弓反末也。
又『廣韻』息也。『玉篇』止也。『左傳・襄二十五年』自今以往兵、其少弭矣。
又『玉篇』忘也。『詩・小雅』心之憂矣、不可弭忘。《箋》我念之憂、不能忘也。
又『玉篇』安也。『史記・田完世家』夫治國家、而弭人民者、無若乎五音。
又『玉篇』滅也。『後漢・趙壹傳』下則抗論當世、消弭時災。
又按也、低也。『屈原・離騷』吾令羲和弭節兮。《註》弭、按也。『司馬相如・子虛賦』弭節裴回。《註》司馬彪云、弭、猶低也。
又地名。『左傳・莊二十一年』春胥命于弭。《註》弭、鄭地。
又『釋名』納弭也。弭弭、兩致之言也。
- 部・劃數
- 弓部・八劃
『集韻』弭古作𢏱。註詳六畫。
音訓
- 音
- ビ(漢) ミ(呉) 〈『廣韻・上聲・紙・渳』綿婢切〉
- 訓
- ゆはず。やむ(弭息)。やめる。とどめる。わすれる(弭忘)。やすんずる。
解字
白川
『説文解字』に弓に緣無く、以て轡の紛れたるを解くべき者なり
とし、耳聲とするが聲異なる。
『説文解字』の重文𢏱は兒に從ふ。兒は虹蜺の蜺の初文で、兩端に龍首のある形。それを弓弭に見立てた意象の字であらう。
『説文解字』にいふ緣は、弓弭を漆で固定したもの。弭は骨や象牙で作つて裝著するもの。金文の賜與に「象弭」といふ例が多い。弭は御者が馬を御するときに使ふことが多く、それで『楚辭・離騷』に吾令羲和弭節兮
(吾、羲和をして節を弭めしむ)のやうに用ゐる。
藤堂
弓と耳の會意で、弓の端に耳狀の引つ掛け金具をつけて弦を止めること。
轉じて、末端、そこまでで止める、などの意となる。
もと彌と同じだが、のち彌は端から端までわたる意に專用された。
漢字多功能字庫
金文は弓と耳に從ひ、弓は形符、耳は聲符。弭は弓の末端の彎曲してゐる所、弓弭。
金文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐる。師湯父鼎
象弭、矢臸(箭)
。象弭は象牙で造られた弓弭のこと。『詩・小雅・采薇』四牡翼翼、象弭魚服。
毛亨《傳》象弭、弓反末也、所以解結也。
鄭玄《箋》弭、弓反末彆者、以象骨為之。
孔穎達《疏》に孫炎曰く弭、弓稍之名、以象骨為之、是弓之末。
と引く。 - 國名に用ゐる。弭弔盨
弭弔(叔)乍(旅)盨。
屬性
- 弭
- U+5F2D
- JIS: 1-55-25
- 𢏱
- U+223F1
関聯字
弭聲の字
- 麛
- 㥝
- 渳