林 - 漢字私註
説文解字
平土有叢木曰林。从二木。凡林之屬皆从林。
- 六・林部
康煕字典
- 部・劃數
- 木部四劃
『唐韻』力尋切『集韻』『韻會』犂針切『正韻』犂沈切、𠀤音臨。『說文』平土有叢木曰林。徐曰、叢木、故从二木。平土、故二木齊。『詩・小雅』依彼平林。
又野外謂之林。『詩・周南』施于中林。
又山木曰林。『穀梁傳・僖十四年』林屬于山爲麓。
又『周禮・地官・林衡註』竹木曰林、水衡曰衡。
又『爾雅・釋詁』林、君也。
又盛貌。『詩・小雅』有壬有林。
又林鐘、律名。『禮・月令』季夏之月律中林鐘。『周禮』作函鐘。
又羽林、星名。應劭曰、天有羽林、大將軍之星也。林喩若林木、羽翼、鷙擊之意、故以名武官。『前漢・宣帝紀』取從軍死事者之子、養爲羽林軍、號羽林孤兒。
又綠林、荆州山名。『後漢・劉元傳』諸亡命集于綠林。
又姓。『姓譜』殷比干後、避難長林山、因氏。又平王世子林開之後、望出南安。
○按『說文』林自爲部、棼、楚等字从之、今倂入。
音訓
- 音
- リム(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・侵・林』力尋切〉
- 訓
- はやし。おほい。あつまる。さかん。
解字
白川
會意。二木に從ふ。
説文解字の釋は『詩・小雅・車舝』依彼平林
の《傳》に平林とは、林木の平地に在る者なり
とあるのによる。
『詩・小雅・賓之初筵』に 百禮既至、有壬有林。
(百禮既に至る。壬たる有り、林たる有り。)と狀態詞にも用ゐる。神氣の立ち籠めるやうな狀態をいふ。
『爾雅・釋詁』(上揭)に君なり
とする訓があり、その由る所が知られない。王念孫は、あるいは群の意であらうかといふ。
藤堂
會意。木を二つ竝べて、木が澤山生えてゐる林を表したもので、同じものが竝ぶ意を含む。
落合
會意。木を二つ竝べ、木が多くある樣子を表してゐる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名。殷末期には王朝に敵對して林方と呼ばれた。《英國所藏甲骨集》2563
庚寅王卜在[⿰氵⿳肉鼎灬][⿰𠂤朿]貞、插林方、亡災。
- 動詞。詳細不明。《屯南》3004
乙未卜、今日乙、其…用林于[⿰氵㡭]田、有…。
漢字多功能字庫
二木に從ひ、樹木が叢り生える意と解ける。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名に用ゐる。《合集》9471正
乎(呼)取(娶)女于林
は、林の女子を娶る意。 - 方國名に用ゐる。《合集》36968の如く「林方」で以て林の方國を指す。
金文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、森林を指す。[妾子]𧊒壺
其𨗥(會)女(如)林
は、會合の盛況なるを森林の如しとする。『詩・大雅・大明』殷商之旅、其會如林。
- 同𣪕では林を官職名に用ゐ、林木を見廻り守ることを掌る人を指し、傳世典籍に「林衡」に作る。『周禮・地官』
林衡掌巡林麓之禁令、而平其守、以時計林麓而賞罰之。
- 氏名、人名に用ゐる。
馬王堆帛書《六十四卦》に林卦があり、林字は傳世の『易』ではみな臨に作る。『論語・雍也』民敬而行簡、以臨其民。
按ずるに《六十四卦》中の卦辭と爻辭の述べるところは正しく「臨民」(治理人民)のことで、ここでは林は借りて臨に用ゐるもの。
また傳世古書では林は君と解くことができる。『爾雅・釋詁』林、君也。
『詩・小雅・賓之初筵』百禮既至、有壬有林。
鄭玄箋云壬、任也、謂卿大夫也。諸侯所獻之禮既陳於庭、有卿大夫、又有國君。
段注釋詁、毛傳皆曰、林、君也。假借之義也。
屬性
- 林
- U+6797
- JIS: 1-46-51
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
林に從ふ字
- 𨑋
- 爨
- 棥
- 鬱
- 楚
- 棽
- 楙
- 麓
- 棼
- 森
- 𡐨
林聲の字
- 禁
- 琳
- 菻
- 郴
- 痳
- 罧
- 惏
- 淋
- 霖
- 婪
- 綝