鼻 - 漢字私註
説文解字
引气自畀也。从自、畀。凡鼻之屬皆从鼻。
- 四・鼻部
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 自
『唐韻』父二切『集韻』『韻會』毗至切『正韻』毗意切、𠀤音紕。『說文』鼻、引气自畀也。『釋名』鼻、嘒也。出氣嘒嘒也。『管子・水地篇』𦜉發爲鼻。『白虎通』鼻者、肺之使。
又『揚子・方言』鼻、始也。獸初生謂之鼻、人初生謂之首。梁益閒謂鼻爲初、或謂之祖。祖、居也。又人之胚胎、鼻先受形、故謂始祖爲鼻祖。『揚雄・反騷』或鼻祖於汾隅。
又獵人穿獸鼻曰鼻。猶持弓曰手弓。『張衡・西京賦』鼻赤象、圈巨狿。
又炊鼻、地名。『左傳・昭二十六年』師及齊師戰於炊鼻。『杜註』炊鼻、魯地。
又有鼻、國名。在永州營道縣北。『前漢・昌邑哀王傳』舜封象於有鼻。『師古註』有鼻在零陵。『孟子』作有庳。又鼻息、西方國名。見『風俗通』。又『後漢・杜篤傳』共川鼻飮之國。《註》相習以鼻飮也。
又反鼻、蝮蛇別名。
又類鼻、草名。生田中、葉如天名精。『李時珍曰』卽豨薟。
又『內典』阿鼻、此曰無閒。
从自从畀。俗从白、非。
音訓
- 音
- ビ(呉) ヒ(漢) 〈『廣韻・去聲・至・鼻』毗至切〉[bí]{bei6}
- 訓
- はな。はじめ(鼻祖)。
解字
白川
形聲。畀聲。
『説文解字』に氣を引きて自ら畀ふるなり
と會意に解するが、自は鼻の象形。畀を聲とするのは、その鼻息の擬聲語と見てよい。
顏面で最も突出するところであり、本邦でははな(端)といひ、支那には鼻祖といふ語がある。人はまづ鼻から生まれるといふのは俗説。
藤堂
自と音符畀の形聲。自は鼻の形を描いた象形字。鼻は、狹い鼻腔の特色によつて名附けた言葉。
落合
形聲。自を意符、畀を聲符とする。自は鼻の象形であり、それに聲符を加へた繁文。
甲骨文での用例は少なく、地名の用法しか見えない。《合集》8189壬申卜貞、呼…禦、在鼻…在棋。
漢字多功能字庫
甲骨文は自に從ひ畀聲。自は鼻の形を象り、畀は聲符。本義は鼻。
甲骨文では地名に用ゐる。《合集》8189才(在)鼻
(上揭)。
自は人の鼻を象り、自は本來鼻と讀める。後に自を自己を表すのに用ゐるやうになり、畀聲を加へて鼻字を分化し、鼻を表す。
戰國竹簡では本義に用ゐ、鼻を表す。
- 《郭店簡・五行》簡45
耳目鼻口手足
。 - 《睡虎地秦簡・封診式》簡53
刺其鼻不疐(嚏)
。
始祖を鼻祖と稱するのは、鼻、祖のいづれにも初始の意があるため。揚雄はその所以を『揚子・方言』(上揭)に説く。
人の鼻は隆起し突出してゐるので、器物の突出した部分をまた鼻と稱する。例へば印鈕(印鑑のつまみ)をまた鼻と稱する。『廣雅・釋器』印謂之璽、鈕謂之鼻。
王念孫疏證鈕、印鼻也。
器物上に孔のある部分をまた鼻と稱する。庾信〈七夕賦〉針鼻細而穿空。
屬性
- 鼻
- U+9F3B
- JIS: 1-41-1
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
鼻に從ふ字
- 齅
- 鼾
- 鼽
- 齂
- 劓
- 齃
- 嬶
鼻聲の字
- 濞
- 嚊