酉 - 漢字私註
説文解字
就也。八月黍成、可爲酎酒。象古文酉之形。凡酉之屬皆从酉。
- 十四・酉部
古文酉。从卯、卯爲春門、萬物已出。酉爲秋門、萬物已入。一、閉門象也。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
- 古文
- 丣
『廣韻』與九切『集韻』『韻會』以九切『正韻』云九切、𠀤音牖。『說文』就也。八月黍成、可爲酎酒。《徐曰》就、成熟也。丣爲春門、萬物已出。酉爲秋門、萬物已入。一、閉門象也。『廣韻』飽也、老也。『爾雅・釋天』太歲在酉曰作噩。『史記・律書』八月也。律中南呂、其於十二子爲酉。酉者、萬物之老也。『淮南子・天文訓』指酉。酉者、飽也。律受南呂。又『時則訓』仲秋之月、招搖指酉。『釋名』酉、秀也。秀者、物皆成也。於『易』爲兌。
又大酉、小酉、山名。在辰州沅陵。相傳石穴中有書千卷。
又水名。『後漢・郡國志』武陵郡酉陽縣、酉水所出、東入湘。
又『字彙補』五酉、怪名、孔子在𨻰所見也。見『衝波集』。
又姓。『正字通』魏有酉牧。
- 部・劃數
- 一部六劃
『廣韻』與久切『集韻』以九切『正韻』云九切、𠀤音有。闔戸爲丣、日入時也。『說文』就也。八月黍成、可爲酎酒。象古文酉之形。古文酉、从丣。戼爲春門、萬物已出。酉爲秋門、萬物已入、一、閉門象也。『六書正譌』後人以此字類丣、故加酉字別之。酉、乃古酒字、象器中半水。旣以酉字爲丣、復加水旁作酒字。凡畱柳等字皆从丣、醴醪等字會意者皆从酉、二字不可溷用。
音訓
- 音
- イウ(漢) 〈『廣韻・上聲・有・酉』與久切〉
- 訓
- とり
解字
白川
象形。酒器の形に象る。金文では酒の字に用ゐ、その初文。
『説文解字』に就るなり。八月、黍成る。酎酒を爲るべし。古文酉の形に象る。
とし、古文一を擧げるが、その字は用例を見ない。
十二支のとりに用ゐる。
藤堂
象形。口の細い酒壺を描いたもの。のち酒に關する字の意符として用ゐる。
落合
酒や水を入れる樽の象形。
甲骨文では殆どが十二支としての用法。殷金文には圖象記號として見えるが、甲骨文には地名、人名の用法が見えない。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 十二支の十番目。《天理大學附屬天理參考館 甲骨文字》386
乙酉卜大貞、翌丁亥、晹日。
- 祭祀名。酒(𫹉)の略體。
甲骨文の要素としては酒樽としての用法が多い。
後代には、樽の意味としては尊などが使はれた。
『説文解字』古文(丣)は別字。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、酒樽の形に象り、夏代二里頭に出土した大口の樽の形狀と合致してゐる。酒尊(酒樽)の尊の象形初文。それで古文字の酉は酒を表すことができる。酒字は三體石經古文に酉に作る。後に假借して十二支名となす。酒甕の底部は尖つてをり、酒甕の一小半(小半分)を土に埋めて貯藏保存する。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 讀んで酒となし、酒を薦める祭を表す。
- 十二支に用ゐる。
金文での用義は次のとほり。
- 酒を表す。宰甫卣
王鄉(饗)酉(酒)
、『詩・大雅・既醉』既醉以酒、既飽以德。
- 十二支の十番目に用ゐる。士上卣
才(在)五月既望辛酉
。 - 國族名、人名に用ゐる。
『説文解字』酉、就也。(後略)
屬性
- 酉
- U+9149
- JIS: 1-38-51
- 人名用漢字
- 丣
- U+4E23
- JIS X 0212: 16-7
関聯字
酉に從ふ字を漢字私註部別一覽・酉部に蒐める。