卯 - 漢字私註
説文解字
- 卯
冒也。二月、萬物冒地而出。象開門之形。故二月爲天門。凡卯之屬皆从卯。
- 十四・卯部
- 𩇨
古文卯。
康煕字典
- 部・劃數
- 卩部・三劃
- 古文
- 𩇨
- 𩇧
- 𤕰
- 𦕔
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤莫飽切、音昴。『說文』冒也。二月、萬物冒地而出、象開門之形、故二月爲天門。《徐曰》二月、隂不能制、陽冒而出也。天門、萬物畢出也。
又『廣韻』辰名。『爾雅・釋天』歲在卯曰單閼。『晉書・樂志』卯、茂也、謂陽氣生而孳茂也。
『韻會』俗作夘、非。
- 部・劃數
- 戶部三劃
『說文』卯本字。與丣字上畫連者有別。丣音酉。『六書正譌』戼、闢戶也。从二戶、象門兩闢形。因聲借爲寅卯字、爲日出物生之象。
- 部・劃數
- 爿部・四劃
『字彙補』古文卯字。註詳卩部三畫。
- 部・劃數
- 耳部五劃
『字彙補』古文卯字。註詳卩部三畫。
- 部・劃數
- 非部二劃
『玉篇』古文卯字。註詳卩部三畫。
- 部・劃數
- 非部二劃
『集韻』同𩇨。
音訓
- 音
- バウ(漢) 〈『廣韻・上聲・巧・卯』莫飽切〉
- 訓
- う。しげる。
解字
白川
象形。牲肉を兩分する形。卜辭に、祭祀に犧牲を割く意に用ゐてをり、劉殺の意。
『説文解字』に同聲の冒字を以て訓するが、その義の用例はない。
卜辭に「祖乙に羌十又(有)五を侑め、⿱冖羊を卯し、一牛を侑めんか。」のやうにいひ、卯は牲肉を兩分した形。
十二支の名として「う(兔)」に用ゐる。
藤堂
指示。門を無理に押し開けて中に入り込むさまを示す。
丣(留の原字)は別字だが、のち字體は混同した。
落合
象形。犧牲を二つに切り開いたさまを表す。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 祭祀名。犧牲を切り裂く儀禮。分卯ともいふ。《合補》10639
丙寅貞、侑于⿱心㔾、燎小⿱冖羊卯牛一。
- 十二支の四番目。《合補》6837
丁卯子貞、我人歸。
- 地名またはその長。《屯南》3418
甲申貞、令卯往允壴師。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文の構形に定論はない。卯と劉の古音は同じ幽部に屬し、卯は劉の假借字といふ。『爾雅・釋詁』劉、殺也
卜辭では、卯字は動詞に用ゐ、牲畜を殺すことを指す。後に借りて十二支の第四となす。
吳其昌は雙刀の形に象るとする。孔廣居は、二戸が相背くさま、開門の形を象るとする。加藤常賢は鑣(轡、馬銜)の形を象るとする。白川靜は牲肉を二つに割くさまとする。林義光は兜鍪(頭盔)の鍪の本字とする。嚴一萍は窌の本字とし、地を掘つて埋蔵する意を表すといふ。按ずるに構形初義について意を滿たす説明はない。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 十二支に借りる。
- 地名。
- 人名。
- 劉あるいは𠛓と讀み、殺したり割いたりすることを表す。《合集》333
卯二十牛
は二十頭の牛を殺すことをいふ。『玉篇』𠛓、割也。
金文では多く十二支に用ゐ、また人名に用ゐる。
屬性
- 卯
- U+536F
- JIS: 1-17-12
- 人名用漢字
- 戼
- U+623C
- 𤕰
- U+24570
- 𦕔
- U+26554
- 𩇨
- U+291E8
- 𩇧
- U+291E7