㚔 - 漢字私註
説文解字
所以驚人也。从大从𢆉。一曰大聲也。凡㚔之屬皆从㚔。一曰讀若瓠。一曰俗語以盜不止爲㚔、㚔讀若籋。
- 十・㚔部
説文解字注
所㠯驚人也。从大从。各本作从𢆉。五經文字曰、『說文』从大从。音干。今依《漢石經》作幸。又曰、𡘺者『說文』、執者、經典相承。凡報之類同是。則張氏所據『說文』與今本迥異如是。今隷用石經體。且改『說文』此部皆作幸。非也。今皆正。干者、犯也。其人有大干犯而觸罪。故其義曰所以驚人。其形从大干、會意。一曰大聲也。此別一義。凡㚔之屬皆从㚔。一曰讀苦瓠。五字未詳。疑當作一曰讀若執。在讀若籋之下。一曰俗語㠯盜不止爲㚔。又一義。按『玉篇』此義不系『說文』。『廣韵』引『說文』亦無此語。十字恐後人所沾。《大徐本》曡㚔字。讀若籋。尼輒切。七部。
文中の㚔字は嚴密には一橫劃を缺く形に作る。
康煕字典
- 部・劃數
- 大部五劃
『廣韻』『集韻』𠀤尼輒切、音聶。『說文』所以驚人也。一曰俗以盜不止爲㚔。或曰怙終也。又曰、犯罪不止也。
又『玉篇』古文幸字。註詳干部五畫。
音訓
- 音
- 〈『廣韻・入聲・葉・聶』尼輒切〉[niè]{nip6}
解字
落合
手枷の象形。
甲骨文では單獨では執の略體に當たる。
甲骨文の要素としては、手枷のほか、捕虜を象徵して用ゐられることもある。
㚔、幸については、同源とする説と別源とする説があるが、幸は篆文より前の用例が乏しく、繼承關係の有無を明らかにするのは難しい。
漢字多功能字庫
甲骨文は桎梏(手枷足枷)の形に象る。古代に俘虜を拘執する(捕らへる)のに用ゐた刑具で、今謂ふところの手錠。轉じて拘執の義を有す(徐中舒)。
戰國以後、字形が變化し、漢末に至つて幸字の形と混同した。古文字から觀るに、㚔と幸は分別されるべき二字である。
甲骨文では讀んで執となし、拘執を表す。金文では甲冑を表す。中山王方壺身蒙㚔冑
。典籍の「介冑」に相當する。『禮記・曲禮』介冑則有不可犯之色。
介は兵甲の意。
屬性
- 㚔
- U+3694
関聯字
㚔に從ふ字を漢字私註部別一覽・㚔部に蒐める。