棲 - 漢字私註
説文解字
- 西の重文第一。
西或从木、妻。
- 註に
葢从木、妻聲也。从妻爲聲。葢製此篆之時、已分別㢴爲東㢴、棲爲鳥在巢。而其音則皆近妻矣。『詩』可以棲遟、《漢嚴發碑》作衡門西遟。然則雞棲于塒、䫣棲于桀、古本必作雞西。『論語』爲是棲棲、古本亦必作西西。
といふ。 - 十二・西部
康煕字典
- 部・劃數
- 木部八劃
『玉篇』同栖。鳥棲也。
又『博雅』棲謂之牀。『詩・陳風』衡門之下、可以棲遲。又草名。『詩・大雅』如彼棲苴。《傳》水中浮草曰棲苴。
又『集韻』『類篇』𠀤千西切、音妻。棲棲、簡閱車馬貌。『詩・小雅』六月棲棲、戎車旣飭。
又棲屑、往來貌。『後魏・裴安傳』京師遼遠、實憚棲屑。
- 部・劃數
- 木部六劃
『唐韻』先稽切『集韻』『韻會』『正韻』先齊切、𠀤音西。西本古栖字。『說文』日在西方而鳥棲。故因以爲東西之西。『禽經』陸鳥曰栖、水鳥曰宿、獨鳥曰上、衆鳥曰集。『莊子・至樂篇』養馬者宜栖之深林。或作棲。
又凡物止息皆曰栖。『魏書・顯祖記』栖心浩然。『陶潛・穫下潠詩』聊得從君栖。
又栖遲、遊息也。『陶潛・與從弟詩』栖遲詎爲拙。
又栖栖、猶皇皇也。『論語』何爲是栖栖者與。
又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤思計切。音細。雞所止。
簡体字として用ゐる。
音訓
- 音
- セイ(漢) サイ(呉) 〈『廣韻・上平聲・齊・西』先稽切〉
- 訓
- すむ。やすむ。いこふ。す。すみか。ねぐら。
解字
白川
説文解字西字條に、西を鳥が巢の上にある形とするが、もと籠の形。棲、栖ともに形聲字。
『詩・王風・君子于役』に雞棲于塒、日之夕矣
(雞、塒に棲まる日の夕)の句がある。
『詩・陳風・衡門』は賢者退隱の詩とされ、衡門之下、可以棲遲。
(衡門(冠木門)の下、以て棲遲すべし。)をその退隱の生活を歌ふものとするが、その詩は、人目を忍ぶ逢引の歌である。『詩・小雅・北山』には或棲遲偃仰
(或いは棲遲偃仰す)と偃仰の語を加へてをり、偃仰とは男女相娯しむことをいふ。
棲とは鳥の止まる意であるが、道家では心を凝らすことを棲神、また棲眞といふ。
藤堂
栖
木と音符西の會意兼形聲。西は笊狀の鳥の巢を描いた象形字。栖は笊の形をした木の上の鳥の巢。
棲
漢字多功能字庫
棲はもと西に作り、月が既に西に落ち、鳥が既に巢に入るを表す。戰國秦系文字では改めて木に從ひ妻聲の棲に作る。本義は鳥類のやどること。
- 『詩・王風・君子于役』
鷄棲于塒、日之夕矣、羊牛下來。
- 『淮南子・齊俗』
夫飛鳥主巢、狐狸主穴、巢者巢成而得棲焉、穴者穴成而得宿焉。
棲は後にひろく居住、停留を指す。
- 『國語・越語』
越王句踐棲於會稽之上。
韋昭注山處曰棲。
- 『莊子・山木』
夫豐狐文豹、棲於山林、伏於巖穴、靜也。
また滯在しやどる所を指す。
- 『戰國策・秦策一』
諸侯不可一、猶連鷄之不能俱止於棲之明矣。
鮑彪注棲、鷄所宿也。
- 『論衡・辨祟』
鳥有巢棲、獸有窟穴、蟲魚介鱗、各有區處、猶人之有室宅樓臺也。
また特に牀(寢臺)を指す。『廣雅・釋器』棲謂之牀。
- 『孟子・萬章上』
二嫂使治朕棲。
趙岐注棲、牀也。
また囤積(買ひだめ)、囤放を表す。
- 唐・程浩〈相州公宴堂記〉
時兵不滿百、馬惟數駟、府微棲糧、家僅餘堵、公乃掃除粃政、濟活人命。
「粃政」とは好くない政策のこと。 - 柳宗元〈舜廟祈晴文〉
粢盛不害、餘糧可棲。
屬性
- 棲
- U+68F2
- JIS: 1-32-19
- 人名用漢字
- 栖
- U+6816
- JIS: 1-32-20
- 人名用漢字