彔 - 漢字私註
説文解字
刻木录录也。象形。凡录之屬皆从录。盧谷切。
- 七・彔部
説文解字注
刻木彔彔也。小徐曰、彔彔猶歷歷也。一一可數之皃。按剝下曰、彔、刻割也。彔彔、麗廔嵌空之皃。《毛詩》車歷錄亦當作歷彔。
象形。盧谷切。三部。
凡彔之屬皆从彔。
康煕字典
- 部・劃數
- 彐部・六劃
『唐韻』『集韻』𠀤盧谷切、音錄。『說文』刻木𢑗𢑗也。
又『廣韻』本也。
○按『正字通』作𢑛。今依『說文』改正。
廣韻
- 四聲・韻・小韻
- 入聲・屋・禄
- 反切
- 盧谷切〔音1〕
本也。
亦刻木也。
異體字
或體。
音訓義
- 音
- ロク(漢)(呉)⦅一⦆
- 官話
- lù⦅一⦆
- 粤語
- luk6⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・入聲・屋・禄』盧谷切〔廣韻1〕
- 『集韻・入聲上・屋第一・祿』盧谷切
- 『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・來切一禄』盧谷切
- 聲母
- 來(半舌音・次濁)
- 等呼
- 一
- 官話
- lù
- 粤語
- luk6
- 日本語音
- ロク(漢)(呉)
- 義
- 『説文解字』
刻木录录也。
『廣韻』刻木也。
- 『廣韻』
本也。
解字
白川
象形。錐狀の器で木を刻み、木屑が散る形に象る。
『説文解字』に木を刻むこと彔彔たるなり。象形。
とあり、その錐の廻轉する音を「彔彔」といふ。
篆文の形は祟りをなす獸の形に作るが、卜文、金文の字形は、刻鏤の形に作る。
金文に「通彔永命」など、彔を祿の意に用ゐる。
藤堂
木や骨などの素材と、右と左に剝ぎ取つた粉が散るさまの會意。
落合
甲骨文は、錐の象形、あるいは木屑を表す小點を加へた會意の字形。後者が多い。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 地名またはその長。《殷墟小屯中村南甲骨》68
…午卜、王狩、求彔牛、禽。
- 祭祀名。この場合は祿の初文とする説もある。《殷墟花園莊東地甲骨》286+287
壬卜、朿彔、勿諾、祀惟有孼。
- 假借して麓の意。
漢字多功能字庫
甲骨文は疑ふらくは井戸の鹿盧(後には「轆轤」に作る)の形、つまり井戸の上に設置し水を汲む容れ物を引つ張り上げるのに用ゐる裝置。上部は桔槔(撥ね釣甁)、下部は水を汲む器、小點は水滴の形に象る。今は字を轆に作り、轤と連文にする(李孝定)。
甲骨文では讀みて麓となし、山の麓を表す。《合集》37848反辛酉、王田于雞彔(麓)。
王が雞山の麓で田獵をすることを表す。
金文での用義は次のとほり。
- 國名や人名に用ゐる。彔簋
彔乍(作)文考乙公寶𬯚(尊)𣪘(簋)。
- 讀みて祿となし、福を表す。頌鼎
通彔(祿)永命
。 - 讀みて麓となす。宰甫卣
王來獸自豆彔(麓)。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 讀みて綠となし、綠色を表す。《曾侯乙墓竹簡》簡2
紫魚與彔(綠)魚
。 - 讀みて祿となす。
- 福を表す。《清華伍・命訓》簡2「「福彔(祿)才(在)人」。
- 俸祿を表す。《郭店簡・魯穆公問子思》簡7
【為】義而遠彔(祿)[少言](爵)
。「祿爵」は俸祿と爵位を指す。
屬性
- 𢑗
- U+22457
- 录
- U+5F55
- 彔
- U+5F54
- JIS: 1-84-27
- JIS X 0212: 28-88
關聯字
彔に從ふ字
漢字私註部別一覽・彔部に蒐める。
其の他
- 錄
- 录を錄の簡体字に用ゐる。