説文解字私註 支部

支部

説文解字
去竹之枝也。从手持半竹。凡支之屬皆从支。
𢺶𠦙 古文支。
康煕字典
部首
《古文》𠦙𢺶
『唐韻』『集韻』『韻會』章移切『正韻』旨而切、𠀤音巵。『說文』去竹之枝也。从手、持半竹。《註》徐鍇曰、竹葉下垂也。『增韻』俗作攴、非。
『韻會』庶也。『詩・大雅』本支百世。《傳》支、支子也。『儀禮・士昏禮』支子則稱其宗。《註》支子、庶昆弟也。
『廣韻』持也。『左傳・定元年』天之所壞、不可支也。
『周語』武王克殷、作詩以爲飮歌、名之日支。《註》支、拄也。
『廣韻』度也。『晉書・職官志』有度支尚書。
『韻府』支、券也。『魏書・盧仝傳』一支付勳人、一支付行臺。『韓愈・寄崔立之詩』當如合分支。《註》今時人謂析產符契爲分支帳。
『大戴禮』燕支地計衆、不與齊均也。《註》支、猶計也。
『玉篇』支離自異。『類篇』一曰分也。『王延壽・魯靈光殿賦』支離分赴。《註》支離、分散也。
『玉篇』載充也。
『韻會』十二支、辰名。『史記・天官書註』爾雅釋天云:歲陽者、甲乙丙丁戊己庚辛壬癸十干是也。歲隂者、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥十二支是也。又『後漢・王符傳』明帝時、以反支日、不受章奏。《註》凡反支日、用月朔爲正、十二支終戌亥、反還於子丑。如朔日遇戌亥、卽初一爲反支也。見隂陽書。又國名。『書・禹貢』崑崙、析支、渠搜、西戎卽敘。《註》馬云、析支在河關西。『前漢・平帝紀』黃支國獻犀牛。《註》應劭曰:黃支在日南之南。又『西域傳』條支國臨西海。
山名。『史記・匈奴傳』出隴西、過焉支山。《註》焉支山、在丹州。
荔支、果名。『後漢・和帝紀』舊南海獻荔支。
姓。『莊子・列禦𡨥』朱泙曼學屠龍於支離益。『何氏姓苑』支氏、琅邪人。『後趙錄』司空支雄。
通。『易・坤卦』美在其中、而暢於四支。《疏》四支、猶人手足。
通。『詩・衞風』芄蘭之支。『前漢・揚雄傳』支葉扶疎。
通。『前漢・司馬相如傳』鮮支黃礫。《註》鮮支、卽今梔子樹也。
『集韻』翹移切、音衹。令支、縣名。『齊語』刜令支。《註》今爲縣在遼西。
『集韻』支義切、音寘。『揚子・方言』南楚謂謰謱爲支註。
えだ。わかれ。わける。わかつ。はらふ。ささへ。ささへる。もつ。
(國訓) つかへ。さはり。
解字(白川)
の會意。十は木の小枝。又は手。小枝を持つ形で、枝の初文。すべて草木の枝をいふ。『詩・衞風・芄蘭』に芄蘭之支(芄蘭のえだ)とあるのが本義。
すべて本幹より分かれたものをいひ、『詩・大雅・文王』本支百世とは宗族についていふ。干支は幹枝の意。十干を幹とし、十二支を枝とする。
枝を以て支へるので、支柱、支持の意となる。
解字(藤堂)
竹の枝との會意。手に一本の枝を持つさまを示す。
解字(漢字多功能字庫)
篆文は半竹を手に持つさま、本義は竹の枝を去ること、後に枝と書く。『詩經』で基本義に用ゐる。『詩・衛風・芄蘭』芄蘭之支
本義を表すために枝字を用ゐるやうになつた後、主には分支、支派の義のやうな他の義に用ゐるやうになつた。『禮記・曲禮下』支子不祭、祭必告于宗子。孔穎達疏支子、庶子也。
また用ゐて分散となす。『荀子・富國』其候徼支繚、楊倞注支繚、支分繚繞、言委屈巡警也。
支持、維持の義に用ゐる。『國語・越語下』其君臣上下、皆知其資材不足以支長久也。『戰國策・楚策一』地方五千里、帶甲百萬、車千乘、騎萬匹、粟支十年。簡帛文字でもこの義に用ゐる。《馬王堆・戰國縱橫家書》212夫一齊之強、燕猶弗能支、今以三齊臨燕、其過(禍)必大。
また用ゐて供給、付出(支出)となす。『漢書・趙充國傳』足支萬人一歲食。『宋史・兵志八』每歲寒食、端午、冬至、有特支、特支有大小差。
十二支の略稱として用ゐる。また肢と通ず。簡帛文字《睡虎地秦簡・法律答問》208支或未斷
當用漢字・常用漢字

説文解字
持去也。从聲。
康煕字典
支部八劃
『唐韻』去奇切『集韻』丘奇切、𠀤音崎。『說文』持去也。
『家語』孔子觀於周廟、有攲器焉。使子路取水試之、滿則覆、中則正、虛則攲。『荀子・宥坐篇註』攲器、傾敧易覆之器。
『廣韻』居綺切『集韻』舉綺切、𠀤音掎。義同。『類篇』一曰不平。
○按攲字與攴部敧字不同。
かたむく。そばだてる。
解字(白川)
形聲。聲符は
説文解字に持ち去るなりとあり、『説文通訓定聲』に「持夾」の誤りであらうといふ。挾み取る意とするが、傾くものを支へる意であらう。奇に傾く、に支持の意がある。
危部に㩻字を錄し、㩻䧢なりとあつて、山路の崎嶇たることをいふ。聲義の近い字である。
解字(藤堂)
(えだ)との會意、奇は亦た音符。奇は大と可に從ひ、可の原字は曲がつたさま、奇は曲がつて立つこと。攲は枝狀のものが傾き曲がつて立つこと。

攲案、攲架とは、(上の板の傾いた)見臺のこと。