壹 - 漢字私註

説文解字

專壹也。从吉聲。凡壹之屬皆从壹。於悉切。

壹部

説文解字注

嫥𡔹也。「嫥」各本作「專」。今正。嫥下云「壹也」。與此爲轉注。

从壷吉、吉亦聲。於悉切。十二部。俗作壹。

康煕字典

部・劃數
士部・九劃
古文
𡔾
𡕋
𡕍

『廣韻』於悉切『集韻』『韻會』『正韻』益悉切、𠀤音一。音1專一也。『孟子』志壹則動氣、氣壹則動志。『左傳・昭二十年』若琴瑟之專壹、誰能聽之。

又合也。『前漢・董仲舒傳』有所統壹、爲羣儒首。又『元后傳』莽旣外壹羣臣、令稱己功德。

又誠也、醇也。『禮・緇衣』從容有常、以齊其民、則民德壹。『史記・曹參世家』載其淸淨、民以寧壹。

又『增韻』閉塞也。『管子・形勢篇』臣下賦斂競得、使民偸壹。

又與同。『周禮・天官』公之士壹命。

又姓。漢壹元。見『印藪』。又三字姓。後魏壹斗眷氏。

又『類編』於眞切、音慇。與絪氤𠀤通。

部・劃數
士部・十三劃

『字彙補』古文字。見『字略』。註詳九畫。

部・劃數
士部・十三劃

『字彙補』古文字。見『字略』。註詳九畫。

部・劃數
士部・十六劃

『字彙補』古文字。見『韻會小補』。註詳九畫。

部・劃數
士部・十七劃

『字彙補』古文字。註詳九畫。

異體字

『説文解字注』は𡔹に作り、壹を俗とする。

『康煕字典』は見出しに採らないが、氤字條に『魏元丕𥓓』作𡔹縕。義𠀤同。と、氤氳を𡔹縕に作る例を擧げる。

いはゆる新字体。

音訓義

イチ(呉) イツ(漢)⦅一⦆
ひとつ⦅一⦆
ひとたび⦅一⦆
ひとへに⦅一⦆
官話
⦅一⦆
粤語
jat1⦅一⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・入聲』於悉切
集韻・入聲上質第五』益悉切
『五音集韻・入聲卷第十四・質第一・影四一』於悉切
聲母
影(喉音・全清)
等呼
官話
粤語
jat1
日本語音
イチ(呉)
イツ(漢)
ひとつ
ひとたび
ひとへに
一つ。一つ目。一度。の大字。
ひとへに。全く。專ら。
本邦では壹岐を指す。壹州。
『廣韻』: 專壹。又合也、誠也、輩也、醇也。又虜三字姓、『後魏書』云壹斗眷氏後改爲明氏。
『集韻』: 『說文』專一也。
『康煕字典』上揭

解字

白川

象形。壺中のものが醱酵して、その氣が中に滿ちる狀態を示す。

『說文』に吉聲とするが、字の初形は吉に從はず、壺中に物のある形。

《詛楚文》には𥁕の形に從ひ、氤氳(氣が立ち籠める)の象で、壺中に氤氳の氣が滿ちることをいふ。

藤堂

會意兼形聲。と吉に從ひ吉亦聲。吉は結と同系、口を固く締めた意を含む。壹は、口を結んで締め、中に一杯詰めた壺。

漢字多功能字庫

金文はに從ひ吉聲。戰國の商鞅量に見え、小篆と構形が同じ。商承祚は、小篆の壺に從ひ吉聲の壹字は晚周の道家の字で、吉の別構、壹貮の壹は借字であるとする。

戰國中晩期の秦の文字の壹は壺と同じ形。《睡虎地秦簡・秦律十八律》駕縣馬勞、又益壺(壹)禾之。馬匹の勞が累なれば、また加へて一度餌を遣る、の意。壹字は壺と書かれてゐる。何琳儀は古文字の壹と壺は一つの字の分化したものであるとする。壹と壺は音義に關係がなく、二字の外形が似てゐるので代用したとする説もある。

金文では統一を表す。商鞅量灋(法)度量、則不壹、歉疑者、皆明壹之。典籍ではにつくる。『史記・秦始皇本紀』一法度衡石丈尺、車同軌、書同文字。

屬性

U+58F9
JIS: 1-52-69
U+58F1
JIS: 1-16-77
當用漢字・常用漢字
𡔹
U+21539
U+5901
𡔾
U+2153E
𡕋
U+2154B
𡕍
U+2154D

関聯字

壹を一の大字に用ゐる。