瓦 - 漢字私註
説文解字
土器已燒之總名。象形。凡瓦之屬皆从瓦。五寡切。
- 十二・瓦部
説文解字注
土器巳燒之總名。《土部》坏下曰、一曰瓦未燒、互謂巳燒者也。凡土器未燒之素皆謂之坏、已燒皆謂之瓦。『毛詩〔小雅〕斯干・傳』曰、瓦、紡專也。此瓦中之一也。『古史攷』曰、夏時昆吾氏作瓦。按有虞氏上陶。瓦之不起於夏時可知也。許書《缶部〔匋字條〕》曰、古者昆吾作匋。壺系之昆吾圜器。韋昭云、昆吾、祝融之孫、陸終第二子、名黎、爲己姓、封於昆吾、衞是也。然則昆吾作匋、謂始封之昆吾。非夏桀之昆吾也。『廣韵』引『周書』神農作瓦器。當得其實。說詳《缶部》。凡燒瓦器之竈曰窯。
象形也。象卷曲之狀。五寡切。古音在十七部。讀如阿。
凡瓦之屬皆从瓦。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』『集韻』『正韻』𠀤五寡切、音邷。『說文』土器已燒之總名。『廣韻』古史考、夏時昆吾氏作瓦。『史記・龜箂傳』桀爲瓦室。《註》世本曰、昆吾作陶。張華【博物記】亦云、桀作瓦、蓋是昆吾爲桀作也。『史記・廉頗傳』秦軍鼓譟勒兵武安、屋瓦盡震。『正字通』後世瓦制不古、其類非一。漢武故事、起神屋以銅爲瓦、漆其外。又吳國傳、大秦國王宮殿水精爲瓦。又明皇雜錄、虢國夫人恩寵傾一時、奪韋嗣立宅、以廣其居。後復歸韋氏、因大風折屋、墜堂上、不損。視之、瓦皆堅木也。又王縉傳、五臺山祠鑄銅爲瓦、金塗之。
又『詩・小雅』載弄之瓦。《傳》瓦、紡塼也。
又『儀禮・燕禮』公尊瓦大兩。《註》大音泰。瓦大、有虞氏之尊也。
又『左傳・昭二十六年』射之中楯瓦。《註》瓦、楯脊。
又瓦合。『禮・儒行』毀方而瓦合。《註》呂氏曰、陶者爲瓦、必圓而割、分之則瓦、合之則圓、而不失其瓦之質。
又瓦解。『史記・匈奴傳』其困敗則瓦解雲散矣。
又人名。『左傳・昭二十三年』楚囊瓦爲令尹。《註》囊瓦、子囊之孫子常也。
又地名。『春秋・隱八年』宋公齊侯衞侯盟于瓦屋。《註》瓦屋、周地。又『定八年』公會晉師于瓦。《註》瓦衞地。『後漢・郡國志』東郡有瓦亭。
又『廣韻』五化切『集韻』吾化切、𠀤音迓。『廣韻』泥瓦屋。『集韻』施瓦於屋也。
又『集韻』『韻會』𠀤五委切、音頠。屋甃也。『莊子・騈拇篇』騈於辯者、纍瓦結䋲竄句。《註》瓦、五委反。當作丸。
又『韻補』叶阮古切、音五。『韓愈・元和聖德詩』皇帝儉勤、盥濯陶瓦。斥遣浮華、好此絺紵。
- 部・劃數
- 瓦部・二劃
『集韻』吾化切、蛙去聲。施瓦於屋也。『正韻』作𡧗。
- 部・劃數
- 宀部・五劃
『玉篇』五化切、蛙去聲。泥𡧗屋也。
音訓義
- 音
- グヮ(漢) グヱ(呉)⦅一⦆
- グヮ(漢) グヱ(呉)⦅二⦆
- グヰ(推)⦅三⦆
- 訓
- かはら⦅一⦆
- 國訓
- グラム⦅四⦆
- 官話
- wǎ⦅一⦆
- wà⦅二⦆
- 粤語
- ngaa5⦅一⦆
⦅一⦆
- 反切
- 『廣韻・上聲・馬・瓦』五寡切
- 『集韻・上聲下・馬第三十五・瓦』五寡切
- 『五音集韻・上聲卷第八・馬第十七・疑・二瓦』五寡切
- 聲母
- 疑(牙音・次濁)
- 官話
- wǎ
- 粤語
- ngaa5
- 日本語音
- グヮ(漢)
- グヱ(呉)
- 訓
- かはら
- 義
- 燒き物の總稱。
- 屋根瓦。
- 絲卷き。紡塼。
- 宋、元の都市の遊樂や貿易の場所。瓦子、瓦舍、瓦肆、あるいは瓦市とも稱す。
- 瓦特は、仕事率や電力の單位のワット(W)。またその元となつた人名。あるいは瓦に略す。
⦅二⦆
- 反切
- 『廣韻・去聲・禡・瓦』五化切
- 『集韻・去聲下・『集韻・去聲下・禡第四十・瓦』吾化切
- 『五音集韻・去聲卷第十一・禡第十七・疑・二瓦』五化切
- 聲母
- 疑(牙音・次濁)
- 官話
- wà
- 日本語音
- グヮ(漢)
- グヱ(呉)
- 義
- 屋根を瓦で葺くこと。
𤬦、𡧗は本音義に專用する。
⦅三⦆
- 反切
- 『集韻・上聲上・紙第四・頠』五委切
- 『五音集韻・上聲卷第七・旨第四・疑・三硊』魚毁切
- 聲母
- 疑(牙音・次濁)
- 日本語音
- グヰ(推)
- 義
- 屋甃也。(『集韻』)
⦅四⦆
- 國訓
- グラム
- 義
- 質量の單位グラム。瓦蘭姆の略。
解字
白川
象形。屋根瓦の反りのある形に象る。
『説文解字』に土器の已に燒きたるものの總名なり
とあり、土部坏字條一に曰く、瓦の未だ燒かざるもの。
に對する語。
紡塼の類をもいふ。
藤堂
象形。半圓の筒型をした瓦を互ひ違ひに重ねた姿を描いたもの。
漢字多功能字庫
一に曰く、燒いた土器の形で、本義は土を燒いてつくつた器物といふ。一に曰く、鱗のやうに竝び續く形に象り、本義は屋根瓦といふ。
簡帛文字では土製の器物の義に用ゐる。
- 《睡虎地秦簡・秦律十八種》148
城旦舂毀折瓦器、鐵器、木器
- 《睡虎地秦簡.日書甲種》71背
臧(藏)於瓦器閒、旦閉夕啟西方。
唐詩でもこの義に用ゐる。韓愈〈元和聖德詩〉皇帝勤儉、盥濯陶瓦、斥遣浮華、好此綈紵
。
古籍、簡帛文字、唐詩ではまた屋根瓦の義に用ゐる。
- 『莊子・達生』
雖有忮心者、不怨飄瓦。
- 《睡虎地秦簡・封診式》9「「宇二內、各有戶、內室皆瓦蓋、木大具、門桑十木。」
- 杜甫〈越王棲歌〉
孤城西北起高樓、碧瓦朱甍照城郭
。
屋根瓦の意から、盾脊(背後、裏側の、瓦のやうなアーチ; 盾の中間の突起)、瓦狀などの義を派生する。宋、元の時、都市に遊樂、貿易の場所があり、「瓦市」(瓦舍)と稱し、「來るとき瓦合(烏合の衆の比喩)、去るとき瓦解、集まりやすく去りやすい」の義を取る(吳自牧『夢粱錄』)。(補註: 瓦市、瓦舍、あるいは瓦子、瓦肆とは、宋代に發達した娯樂施設、盛り場の謂ひ。)
屬性
- 瓦
- U+74E6
- JIS: 1-20-4
- 常用漢字(平成22年追加)
- 𤬦
- U+24B26
- 𡧗
- U+219D7
関聯字
瓦に從ふ字を漢字私註部別一覽・瓦部に蒐める。