坏 - 漢字私註
説文解字
丘再成者也。一曰瓦未燒。从土不聲。芳桮切。
- 十三・土部
説文解字注
丘一成者也。一各本作再。今正。『水經注〔五〕』曰、河水又東逕成皋大伾山下。『爾雅〔釋山〕』山一成謂之伾。許愼、吕忱等並以爲丘一成也。孔安國以爲再成曰伾。據此、是俗以孔傳改易許書。今本非善長所見也。一曰瓦未燒。今俗謂土坏。古語也。瓦者、土器已燒之緫名。然則坏者、凡土器未燒之緫名也。此與墼字異義同。但墼專謂塼耳。『國語〔晉語〕』趙𥳑子使尹鐸墮晉陽壘培。尹鐸增之。《韋注》壘墼曰培。此培字正坏之叚借。『月令』坏垣牆。坏城郭。《注》曰、坏、益也。是又叚坏爲培也。从土不聲。芳桮切。古音在一部。
康煕字典
- 部・劃數
- 土部・四劃
『廣韻』芳杯切『集韻』『韻會』鋪枚切『正韻』鋪杯切、𠀤音胚。『爾雅・釋山』山再成曰坏、一曰山一成。
又山名。『吳會志』大坏、小坏山在洮湖中、溧陽宜興之界、二山相望、水環若浮、故名。
又陶瓦未燒曰坏。『後漢・崔駰傳』坏冶一陶、羣生得理。
又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤蒲枚切、音裴。以土封罅隙也。『禮・月令』仲秋、蟄蟲坏戸。孟冬、使有司坏城郭。
又屋後牆。『淮南子・齊俗訓』魯君欲相顏闔、使人以幣先焉、闔鑿阫而遁。『揚雄・解嘲』作坏。
又神名。『莊子・大宗師』堪坏得之、以襲崑崙。通作阫。
- 部・劃數
- 土部・五劃
『集韻』攀悲切、音丕。山再成。又貧悲切、音邳。與坏同。
音訓
- 音
- (1) ハイ(漢) 〈『廣韻・上平聲・灰・肧』芳杯切〉[péi/pī]{pui1}
- (2) ハイ〈『集韻』蒲枚切、音裴、平聲灰韻〉[péi]{pui4}
- 訓
- (1) つき。をか。
- (2) ふさぐ
音(1)に讀み、未燒成の瓦、陶器の類を指し、また丘や土盛りを指す。
音(2)に讀み、土で隙間を塞ぐこと、また牆壁を指す。
汉典は以下のやうに説く。
- 坏は官話でpéiと讀み、次の字義を有す。
- 未燒成の煉瓦、瓦、陶器の類。
- 低い丘、土盛り。
- 牆壁。
- 土で隙間を塞ぐこと。
- 坯は官話でpīと讀み、次の字義を有す。
- 未燒成の煉瓦、瓦、陶器の類。
- ひろく半成品(半製品)を指す。
- 未成年を指す。
粤語では「一坏之土」の坏を抔との通音でfau1と讀む模樣。兩手一掬ひの土の意。
解字
白川
形聲。聲符は不。不は實の胚胎する形で、膨らむ意がある。
『説文解字』に丘の一成なる者(ひと山)なり
(段注本)とあり、盛り上がつたところをいふ。一曰瓦未燒。
とあり、まだ燒成しない柔らかい土。
本邦では、かはらけのやうな土器をいふ。
藤堂
坏は、土と音符不の會意兼形聲。不は膨れた蕾を描いた象形字。膨れた盛り土や、膨れた土器のこと。否、咅が不の異體であるから、坏、培は殆ど同義に用ゐる。
坯は、土と音符丕(膨れる)の會意兼形聲。
漢字多功能字庫
金文は土に從ひ不聲。坏は山丘を表す。坯に同じ。秦公簋十又二公、才(在)帝之坏
は、秦の先公は上帝の居る山丘に在ることを表し、つまり帝の庭、帝の傍らに在るの意(王輝)。
屬性
- 坏
- U+574F
- JIS: 1-52-15
- 坯
- U+576F
- JIS: 2-4-69
- JIS X 0212: 23-40
関聯字
- 壞
- 坏を壞の簡体字に用ゐる。