水 - 漢字私註

説文解字

水
凖也。北方之行。象眾水並流、中有微陽之气也。凡水之屬皆从水。式軌切。
十一水部

説文解字注

水
準也。準古音追。上聲。此以曡韵爲訓。如戸護、尾微之例。『釋名〔釋天〕』曰、水、準也。準、平也。天下莫平於水。故匠人建國必水地。北方之行。〔禮記〕月令』曰、大史謁之天子曰、某日立冬、盛德在水。象眾水竝流、中有微陽之氣也。火、外陽內陰。水、外陰內陽。中畫象其陽。云微陽者、陽在內也。微猶隱也。水之文與☵卦略同。式軌切。十五部。凡水之屬皆从水。

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』『正韻』式軌切『集韻』『韻會』數軌切、𠀤稅上聲。『說文』準也。北方之行、象衆水𠀤流、中有微陽之氣也。『徐鉉曰』衆屈爲水、至柔、能攻堅、故一其內也。『釋名』水、準也、準平物也。『白虎通』水位在北方。北方者、隂氣、在黃泉之下、任養萬物。水之爲言濡也。『書・洪範』五行、一曰水。『又』水曰潤下。『正義曰』天一生水、地六成之。五行之體、水最微、爲一。火漸著、爲二。木形實、爲三。金體固、爲四。土質大、爲五。『易・乾卦』水流濕。『說卦』坎爲水。『管子・水地篇』水者、地之血氣、如筋脉之通流者也。『淮南子・天文訓』積隂之寒氣爲水。

又六飮之一。『周禮・天官』漿人掌共王之六飮、水漿醴涼醫酏。又『禮・玉藻』五飮、上水、漿、酒、醴、酏。《註》上水、水爲上、餘次之。

又『禮・曲禮』凡祭宗廟之禮、水曰淸滌。

又明水、所以共祭祀。『周禮・秋官』司烜氏掌以夫遂取明火於日、以鑒取明水於月、以共祭祀之明齍明燭共明水。《註》鑒、鏡屬、取水者。世謂之方諸。

又官名。『左傳・昭十七年』共工氏以水紀、故爲水師而水名。

又『前漢・律歷志』五聲、羽爲水。

又天水、郡名、漢武帝所置。又中水、縣名、屬涿郡。應劭曰、易𣻎二水之中。𠀤見『前漢・地理志』。

又黑水、國名、卽𩎟韐。

又露爲上池水。『史記・扁鵲傳』飮是以上池之水。《註》上池水、謂水未至地、蓋承取露及竹木上水以和藥。

又姓。

又『韻補』叶式類切、音墜。『劉楨・魯都賦』蘋藻漂於陽侯、芙蓉出於渚際。奮紅葩之熩熩、逸景燭於崖水。

又叶呼委切、音毀。『李白・游高淳丹陽湖詩』龜游蓮葉上、鳥宿蘆花裏。少女棹輕舟、歌聲逐流水。

又『韻補』音準。引『白虎通』水之爲言準也。○按準乃水之義、非水之音。蓋沿『周禮・考工記』鄭註、準讀爲水而誤。今不從。

音訓

スイ(漢、呉) 〈『廣韻・上聲』式軌切〉[shuǐ]{seoi2}
みづ。かは。うるほふ。

解字

白川

象形。水の流れる形に象る。

『説文解字』にたひらかなるなりと水準の意とする。『周禮・考工記・輈人・注』に故書に準を水に作るとあり、水を水準の器に用ゐた。『説文解字』にまた北方の行なりといふのは、五行説では水を北に配するからであるが、衆水竝び流れ、中に微陽の气有るに象るといひ、中の一劃を陽、兩旁を陰の象とし、坎の卦(☵)に當てて解するのは、拘泥の説。

藤堂

象形。水の流れの姿を描いたもの。

落合

象形。川に水が流れてゐる樣子を表した字。原義は河川。古くは河(黃河)、江(長江)など、河川名が水に從ふ一文字で表されてゐた。

また甲骨文では小點を水の意に用ゐることがあり、水字と入れ替はることもある。

𡿧(災)の從ふ異體(巛)が、金文で(川)に分化した。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 河川。祭祀對象になることもある。《合集》28180即水燎、有雨。
  2. 水害。洪水。大水ともいふ。《殷墟花園莊東地甲骨》59壬申卜、不允水。子占曰、不其水。
  3. 祭祀名。《殷墟甲骨輯佚》628乙亥貞、河宗、王不酒水。
  4. 地名。水邑ともいふ。《合集》18945壬申卜、水邑羊。

後に「みづ」の意に轉用され、字の構成要素としてもその意で使はれた。

漢字多功能字庫

甲骨文の繁省は一樣でなく、中心の一筆は水流、その傍らの點は水滴、水滴の数の多寡は揃つてゐない。水字を偏旁に用ゐるとき、水流の数は同じでなく、あるいは直接水滴の形につくる。金文もまた流れる水の形に象り、戰國文字は金文を承ける。楚國の字はあるいは左上と右上の二筆が繫がる形があり、行筆が以前と同じでない。

甲骨文での用義は以下のとほり。

金文での用義は次のとほり。

屬性

U+6C34
JIS: 1-31-69
當用漢字・常用漢字

関聯字

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