米 - 漢字私註

説文解字

米
粟實也。象禾實之形。凡米之屬皆从米。
米部

康煕字典

部・劃數
部首

『廣韻』『正韻』莫禮切『集韻』『韻會』母禮切、𠀤瀰上聲。『說文』粟實也。象禾實之形。《註》穬顆粒也。十、其稃彙開而米見也。八八、米之形。『鄭康成・詩箋』米之率、糲十、𥺛九、𥽦八、侍御七。『周禮・地官』舍人掌米粟之出入。《註》九穀六米。《疏》九穀六米者、九穀之中、黍、稷、稻、粱、苽、大豆六者皆有米、麻與小豆、小麥三者無米、故云九穀六米。

又姓。唐有米嘉榮。

又學名。『禮・明堂位』米廩、有虞氏之庠也。

又『本草』蛇牀、一名蛇米。『廣東新語』薏苡、一名𧆐米、亦曰薏珠子。

又『日本土風記』倭國十二支之巳曰米。

音訓・用義

ベイ(漢) マイ(呉) 〈『廣韻・上聲・薺・米』莫禮切〉
こめ。よね。

長さの單位メートルに當てる。支那、臺灣ではまた公尺ともいふ。

本邦ではアメリカに當てる。支那では美を當てる。

解字

白川

象形。禾の穗に穀實がついてゐる形を象る。

卜文の字形は穗の上下に小點三、四を加へる形。

長江の下流では古くから水稻の栽培が行はれ、その品種は日本種と同系のものであるといふ。

藤堂

象形。十印の四方に點々と小さな米粒の散つた形を描いたもの。小さい意を含む。

落合

象形。穀物の穗と實を表してゐる。日本では稻の實に限定して使はれるが、支那では穀物全般に使用される。

假借の用法もあり、やすんずることを表すの初文と推定されてゐる。

甲骨文には既にを加へた繁文も見え、殳をに變へた敉は篆文に出現する。篆文では同意の撫もつくられてゐる。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 穀物の實。脱穀したものは穧米ともいふ。《殷墟花園莊東地甲骨》416庚寅、歳妣庚小[⿱冖羊]、蒸自丁穧米。
  2. 祭祀名。穀物の實を捧げることか。《合集補編》10449己巳貞、王米冏、其蒸于祖乙。
  3. 動詞。繁文は敉で、安撫すること。《天理大學附屬天理參考館 甲骨文字》182貞、令系敉衆。

漢字多功能字庫

米は皮殼を取り去つた米粒を指す。『周禮・地官・舍人』掌米粟之出入、辨其物。賈公彥疏九穀之中、黍、稷、稻、粱、瓜、大豆,六者皆有米,麻與小豆、小麥、三者無米、故云『九穀六米』。 孫詒讓正義已舂者為米、未舂者為粟。

古く米粟は米と粟を指し、またひろく糧食を指す。古人は穀物を搗いて皮殼を剝がし、中の實を米と呼び、まだ殼を剝がしてゐないものを粟と讀んだ。現代人は花生仁(落花生)を花生米と稱し、落花生の殼を除いた實をいふ。許傑《女孩子的教訓》打了之後、我是要用花生米去哄她的。

甲骨文、金文は、上下それぞれ三小點と中間の一劃に從ひ、小點は米粒を象り、中間の一劃については、李孝定は籭(篩)の形とし、白玉崢は禾穀の稉(補註: うるちと同義の字だが、それでは文意を得難いので、梗(枝、莖、心棒の意を有す)の誤りか。)とする。

甲骨文では、本義に用ゐて米を表すほか、と讀んで安撫を表し、また祭名に用ゐる。

金文では多く族氏名に用ゐる。

屬性

U+7C73
JIS: 1-42-38
當用漢字・常用漢字

関聯字

米に從ふ字

説文解字・米部のほか、以下の字など。

米聲の字