骨 - 漢字私註
説文解字
- 骨
-
肉之覈也。从冎有肉。凡骨之屬皆从骨。
- 四・骨部
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』『韻會』古忽切『集韻』吉忽切、𠀤音汨。『說文』肉之覈也。『釋名』骨、滑也。骨堅而滑也。『靈樞經』腎主骨、張筋化髓榦、以立身。『周禮・天官・疾醫』以酸養骨。《註》酸木味、木根立地中似骨。《疏》謂似人之骨立肉中者。『列子・天瑞篇』精神者、天之分。骨骸者、地之分。屬天、淸而散。屬地、濁而聚。
又牲骨。『禮・祭統』凡爲俎者、以骨爲主。『儀禮・鄕射禮註』以骨名肉、骨貴也。
又姓。『隋書・骨儀傳』骨儀、京兆長安人。
又『唐書・東夷傳』新羅、其族名第一骨、第二骨、以自別。
又苦骨、苦參別名。又多骨、白荳𦸅別名。見『本草綱目』。
音訓
- 音
- コツ(漢) コチ(呉) 〈『廣韻・入聲・没・骨』古忽切〉
- 訓
- ほね。ほねぐみ。むくろ。からだ。ひとがら。
- (國訓) こつ
- (1) 火葬して殘つた白骨。
- (2) 勘所、要點、要領、呼吸、調子。「―を摑む」
解字
白川
象形。上部は骨。胸骨より上の形。下部は肉。なほ殘骨の存する形。
『説文解字』に肉の覈(あな)なり
とあり、『太平御覽〔人事部一十六・骨〕』に引く『説文解字』に體之質也、肉之核也。
(體の質なり。肉の核なり。)と見える。
その直硬の質よりして、氣骨、骨力のやうに用ゐる。
藤堂
會意兼形聲。冎は、上部は大きく穴の開いた關節の受ける方の骨、下部はその穴に嵌り込む關節の下の方の骨。骨字はこれに肉を加へたもの。
落合
上古音では冎、骨は別部であり、骨は形聲字ではなく、肉の附いた骨を意味する會意字とする説もある。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、骨骼の互ひに支へる形に象る(于省吾)。隸定して冎につくり、冎は骨の初文。(補註: 漢字多功能字庫の擧げる甲骨文は、落合が冎の異體字、手足の骨と推測する形。)
戰國文字は肉を意符に加へる。
甲骨文では人命、地名に用ゐる。金文では人命に用ゐる。
戰國竹簡での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐ、骨を表す。《睡虎地秦簡・法律答問》簡75
鬬折脊項骨
は、挌鬪して背骨を斷ち折ることをいふ。 - 過の通假字となし、過分を表す。《上博竹書六・用曰》簡17
歛之不骨(過)、而廛(展)之亦不能違
は、收斂は度を超えてをらず、開展(展開、發展、進展)しても背離(背く、反する、離れる)することはできない。歛と展のいづれにも制限があり、行動は不自由である、の意(董珊)。
漢帛書でも本義に用ゐる。
- 《馬王堆帛書・十問》第80行
筋骨益強
。 - 《馬王堆帛書・戰國縱橫家書》第200行
骨肉之親
。
屬性
- 骨
- U+9AA8
- JIS: 1-25-92
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
骨に從ふ字
説文解字・骨部のほか、以下の字など。
- 䶤
- 𩪡
- 尳
骨聲の字
- 鶻
- 䯉
- 顝
- 滑
- 搰
- 縎