冎 - 漢字私註
説文解字
剔人肉置其骨也。象形。頭隆骨也。凡冎之屬皆从冎。古瓦切。
- 四・冎部
説文解字注
剔人肉置其骨也。剔當作𩮜。解也。其周禮膊之、焚之、辜之之㓝與。『列子〔湯問〕』曰、炎人之國、其親戚死、冎其肉而棄之。《刀部》無剔字。冎俗作剮。象形。頭隆骨也。隆豐大也。說此字爲象形者、謂上大下小象骨之隆起也。古瓦切。十七部。《口部》咼以爲聲。凡冎之屬皆从冎。
康煕字典
- 部・劃數
- 冂部・四劃
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤古瓦切、音寡。『說文』剔人肉、置其骨也。
- 部・劃數
- 口部二劃
- 部・劃數
- 刀部九劃
音訓
- 音
- クヮ(漢) 〈『廣韻・上聲・馬・寡』古瓦切〉[guǎ]{gwaa2/waa2}
- 訓
- わかつ。さく。けづる。えぐる。
解字
白川
象形。頭や胸の骨の形を象る。
『列子・湯問』に其の肉を冎りて之を棄つ
(上揭。Wiktionaryや中國哲學書電子化計劃は冎に換へて㱙とする。)とあり、複葬の俗をいふ。
卜辭に「犬を冎らんか」のやうに犬牲の法を卜するものがある。
藤堂
冎
象形。上部に丸い穴の空いた骨があり、下にはその丸い穴に嵌り込む骨を描いたもの。のち、咼と書く。
剮
刀と音符咼(えぐる)の會意兼形聲。(補註: 藤堂は咼にえぐるの訓を採る。)
落合
肩甲骨の象形。骨の初文。支那では新石器時代から獸の肩甲骨を用ゐた卜占が行はれてをり、そのため骨の意を表す際に選擇されたのであらう。
甲骨文には卜骨に關する字の要素としての用法も見える。
甲骨文の異體字に、手足の骨であらう形もある。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 骨。《英藏》1125
貞、疾冎(骨)、惟有[⿱𫝀它]。
- 通告すること。假借の用法。冎告(骨告)は過告と同義。(補註: 過に同じ。)《合集》20576
…貞、雀亡禍、冎告、使。
- 地名。《合補》8982
戌冎弗雉王衆。
- 冎凡(骨盤)
- 腰の骨であらう。凡を借りて盤の意味で使つてゐる。
古文で肉を意符に加へ、骨につくる。上古音では冎、骨は別部であり、骨は形聲字ではなく、肉の附いた骨を意味する會意字とする説もある。
屬性
- 冎
- U+518E
- 叧
- U+53E7
- 剮
- U+526E
関聯字
冎に從ふ字を漢字私註部別一覽・冎部に蒐める。