瞿 - 漢字私註
説文解字
- 瞿
鷹隼之視也。从隹从䀠、䀠亦聲。凡瞿之屬皆从瞿。讀若章句之句。
- 四・瞿部
康煕字典
- 部・劃數
- 目部十三劃
『唐韻』九遇切『集韻』『韻會』俱遇切、𠀤音句。『說文』鷹隼之視也。『徐曰』驚視貌、會意。又『禽經』雀以猜瞿視也。『埤雅』雀俯而啄、仰而四顧、所謂瞿也。
又『廣韻』視貌。『集韻』心驚貌。『禮・檀弓』曾子聞之瞿然。又『雜記』見似目瞿、聞名心瞿。《註》瞿然驚變也。
又瞿瞿、驚遽不審貌。『禮・玉藻』視容瞿瞿。
又瞪視貌。『荀子・非十二子篇』學者之嵬瞿瞿然。
又無守貌。『詩・齊風』狂夫瞿瞿。《註》謂精神不立、志無所守。
又『爾雅・釋訓』儉也。『詩・唐風』良士瞿瞿。《疏》李巡曰、良士顧禮節之儉也。
又『唐韻』其俱切『集韻』『韻會』權俱切、𠀤音衢。義同。
又騤瞿、走貌。『張衡・西京賦』百禽㥄遽、騤瞿奔觸。
又句瞿、斗也。『山海經』陽山有獸、其頸𦜜狀如句瞿、名曰領胡。《註》言頸上有肉𦜜如斗也。
又鳥名。『山海經』禱過山、鳥名瞿、如其鳴自號也。
又山名。『山海經』瞿父之山、無草木、多金玉。
又灘名。『寰宇記』瞿塘在𧃍州東一里、古西陵峽也。
又人名。『竹書紀年』殷武乙、名瞿。
又姓。漢有漢南太守瞿茂。又複姓。『前漢・儒林傳』魯商瞿子木、受易孔子。《註》商瞿、姓也。『遼史・禮志』西域淨梵王子姓瞿曇氏。
又與戵通。『書・顧命』一人冕執瞿。《註》戟屬。
又與衢通。『韓詩外傳』直曰車前、瞿曰芣苢、蓋生於兩旁謂之瞿。『丹鉛錄』楚辭天問、靡萍九衢。衢、本作瞿。
又與蘧通。『爾雅・釋草』大菊、蘧麥。《註》卽瞿麥、藥草也。『集韻』亦作𧄒。
又『集韻』衢遇切『正韻』忌遇切、𠀤衢去聲。與懼通。恐也。『禮・檀弓』瞿然失席。《註》瞿、本又作懼。『前漢・東方朔傳』吳王懼然易容。
又『集韻』訖力切、音亟。瞿瞿、居喪視不審貌。『禮・檀弓』瞿瞿如有求而弗得。徐邈讀。
音訓
- 音
- ク(漢、呉)
- 訓
- みる。みまはす。おどろく。おそれる。
解字
白川
隹と䀠の會意。䀠は説文解字に左右視するなり
とあるやうに、目を見張つて見回す意。
瞿は恐らく鳥の狀態によつて卜ふ鳥占の俗を示すものであらう。
驚く樣子を瞿、瞿瞿といひ、人の心情に移して懼といふ。
藤堂
二目と隹の會意で、鳥が目をきよろきよろさせるさまを表す。轉じて、人が驚いたり恐れたりするときの目つきのこと。
漢字多功能字庫
金文に單獨の瞿字は見えず、毛公鼎の𧾱字の從ふところの瞿は目と隹に從ふ。戰國竹簡ではあるいは䀠と隹に從ふ。䀠は大きく見張つた兩眼を象り、亦聲符。隹は鳥の形に象る。全字で鷹が後ろを振り返り監視するさまを象る。
一説に瞿は雚を省略して書いたもので、雚は梟を象り、瞿は雚の上の毛角を省いたものといふ。鷹、鷂(ハシタカ、ハイタカ)などの鳥類の視力は鋭敏で、成語「鷹視狼步」、「鷹視虎步」は鷹のやうに物を視て、虎狼のやうに步み行くことをいひ、その擧止が殘忍兇暴である形容。漢・趙曄『吳越春秋・勾踐伐吳外傳』夫越王爲人、長頸鳥喙、鷹視狼步、可以共患難、而不可共處樂。
瞿は、鷹が後ろを振り返り、監視するさまから、警戒、驚懼の意を派生する。鳥獸は驚き慌てるとき、瞳孔を大きく開き、視力を集中し、來襲を防ぐ。それゆゑに驚懼の義を二目に從ふ瞿で表示するやうになつた。『禮記・雜記下』免喪之外、行於道路、見似目瞿、聞名心瞿。」孫希旦集解「「瞿者、瞿瞿然、驚貌。
後に心を加へ、懼字をつくり、おそれるの意を專門に表す。
戰國竹簡では、おそれる、恐懼することを表す。
- 《郭店簡・語叢二》簡32-33
瞿(懼)生於眚(性)、監(懢)生於瞿(懼)
は恐懼は天性に生まれ、貪婪は恐懼に生まれる、の意(劉釗)。 - 《新蔡楚簡》甲三15
潒(顫)栗(慄)𢖶(恐)瞿(懼)
。 - 《新蔡楚簡》零簡198+203+乙四48
少(小)臣成敬之瞿(懼)之
。
屬性
- 瞿
- U+77BF
- JIS: 1-66-58
関聯字
瞿に從ふ字
- 矍
瞿聲の字
- 𧾱
- 忂
- 衢
- 躣
- 臞
- 氍
- 懼
- 灈
- 𩽩
- 㩴
- 鑺