心 - 漢字私註

説文解字

心
人心、土藏、在身之中。象形。博士說以爲火藏。凡心之屬皆从心。
心部

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』息林切『集韻』『韻會』『正韻』思林切。『說文』人心、土藏、在身之中。象形。博士說以爲火藏。《徐曰》心爲大火、然則心屬火也。『玉篇』『廣韻』𠀤訓火藏。

又『荀子・解蔽篇』心者、形之君也、而神明之主也。『禮・大學疏』總包萬慮謂之心。

又『釋名』心、纖也。所識纖微無不貫也。

又本也。『易・復卦』復其見天地之心乎。《註》天地以本爲心者也。《正義曰》言天地寂然不動、是以本爲心者也。『禮・禮器』如松柏之有心也。《註》得氣之本也。《孔疏》得氣之本、故巡四時、柯葉無凋攺也、心謂本也。

又中也。心在身之中。『詩序』情動于中。《正義曰》中謂中心。凡言中央曰心。『禮・少儀』牛羊之肺、離而不提心。《註》不提心、謂不絕中央也。『古歌』日出當心、謂日中也。『邵雍淸夜吟』月到天心處、言月當天中也。

又東方五度、宿名。『史記・天官書』心爲明堂。

又『禮・明堂位』夏后氏祭心。《註》氣主盛也。又『月令』季夏祭先心。《註》五藏之次、心次肺、至此則心爲尊也。

又去聲。『吳棫・韻補』息吝切。『外紀』禹曰、堯舜之民、皆以堯舜之心爲心。下心字去聲。

又叶思眞切、音新。『前漢・安世房中歌』我定歷數、人告其心。敕身齊戒、施敎申申。

又叶先容切、音松。『詩・大雅』吉甫作頌、𥡆如淸風。仲山甫永懷、以慰其心。『前漢・禮樂志』流星隕、感惟風、籋歸雲、撫懷心。

又叶思征切、音騂。『揚子・太玄經』勤于心否貞。

又叶桑鳩切、音修。『荀子・解蔽篇』鳳凰秋秋、其翼若干、其聲若簫。有鳳有凰、樂帝之心。簫叶疏鳩切。

又叶思敬切、音性。『王微觀海詩』善卽誰爲御、我來無別心。聊復寓兹興、兹興將何詠。

『說文長箋』借華心形、故惢字从心、就今文言也。若精蘊同文諸書、各以意闡古文、與今文稍遠、槪不泛引。『類篇』偏旁作忄。亦作㣺。

○按『字彙』『正字通』心俱音辛、誤。辛在眞韻、齊齒音也。心在侵韻、閉口音也。如心字去聲、音近信、然不得竟以信字音之者、蓋信字爲眞韻內辛字之去聲、乃齊齒音也。若侵韻內心字之去聲、乃閉口音、有音而無字矣。字有不可下直音者、此類是也。蓋齊齒之辛、商之商也、閉口之心、商之羽也。每一音中、具有五音、不可無別。

音訓・用義

シム(漢、呉) 〈『廣韻・下平聲・侵・心』息林切〉
こころ。おもひ。むね。

五臟の一。心臟。

ものの眞ん中、中心を指す。またに作る。

解字

白川

象形。心臟の形に象る。

説文解字の釋の藏とは臟の意。五行説によると、今文説では心は火、古文説では土。

金文に克くの心をあきらかにすなんぢの心を敬明にせよのやうに、すでに心性の意に用ゐてゐる。

藤堂

象形。心臟を描いたもの。

落合

象形。心臟に象り、心房と心室が分かれた狀態を表す。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 心臟。
  2. 祭祀名。《殷墟花園莊東地甲骨》102乙卜貞二卜、有祟見、今侑、心畏、亡禍。
  3. 河川名。沁の略體。

西周代に「こころ」の意が附されたため、感情を表す字の要素として使はれるやうになつたが、甲骨文ではその意で使はれてゐない。甲骨文の要素としては字形の類似からに置き換はることもある。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文、篆文は心臟の形を象る。甲骨文は前に誤つてと釋されてゐたが、二字の字形には區別があり、心字の底部は繫がつてをり、貝字は分かれてゐる。

早期金文は心臟に瓣膜がある形を象り、あるいは字中の中空のところに裝飾の點を加へる。ほかに心の上に點を加へる悤字があり、兩者は時に混じる。春秋以後、心字の下尾筆が段々と長くなり、小篆の形の元となつた。

甲骨文での用義は次のとほり。

金文では、思想、心思を表す。逨編鐘不(丕)顯朕皇考、克粦明氒(厥)心。は、輝ける思想を持つ偉大なる父を讚へてゐる。古人は情が心臟に生じ、人の思惟もまた心臓が主宰すると信じてゐた。『孟子・告子上』心之官則思、思則得之、不思則不得也。かうしたことにより、古人は心を思想感情を表すために多用し、心は漢字の構成要素で最も多く使はれる字の一つとなつた。

屬性

U+5FC3
JIS: 1-31-20
當用漢字・常用漢字

関聯字

心に從ふ字

説文解字・心部のほか、以下の字など。

心聲の字