仲 - 漢字私註
説文解字
- 仲
中也。从人从中、中亦聲。
- 八・人部
康煕字典
- 部・劃數
- 人部四劃
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤直衆切、蟲去聲。『釋名』父之弟曰仲父。仲、中也、位在中也。『禮・檀弓』幼名、冠字、五十以伯仲。
又樂器。『爾雅・釋樂』大籥謂之產、其中謂之仲、小者謂之箹。
又『水經注』魏明帝鑄銅人二列司馬門外、謂之翁仲。
又姓。高辛氏才子仲堪之後。又仲孫、複姓。
又與中通。仲春亦曰中春、仲子亦曰中子。『前漢・外戚傳』同產兄弟四人、曰子、孟、中、叔。
音訓
- 音
- チウ(漢)
- 訓
- なか
解字
白川
形聲。聲符は中。
説文解字に中なり
とあり、仲子の意。兄弟の順序は、殷では大中小、周では伯仲叔季といふ。
もと中につくり、卜辭では中軍の中と區別して、中軍の中には上下に偃游(吹き流し)の形を加へる。
篆文の字が口に從ふのは誤り。
藤堂
落合
甲骨文に中を大子、中子、小子の中子に用ゐるのが、周代以降の仲に近い。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文では中を轉じて伯仲の仲を表し、兄弟の中の排行の二番目を表す。早期金文では吹き流しの形に從ふ中で方位を表し、伯仲の仲の字形は吹き流しの形に從はない。春秋期に到つて混用される情況が始まつた。戰國秦系の文字に人と中に從ふ字形が現れ、仲に作る。一説に伯の影響を受けたといふ(參《金文形義通解》)。
古代、伯、仲、叔、季で兄弟の間の長幼の排行を表す。仲は伯に次ぎ、排行の二番目。
- 『釋名・釋親屬』
仲、中也。位在中也。
- 『尚書・呂刑』
伯父、伯兄、仲叔季弟、幼子、童孫、皆聽朕言、庶有格命。
- 『儀禮・士冠禮』
仲、叔、季、唯其所當。
鄭玄注伯、仲、叔、季、長幼之稱。
伯仲は兄弟の順序を表し、また兄弟を指す。
- 『詩・小雅・何人斯』
伯氏吹壎、仲氏吹篪。
鄭玄箋伯仲、喻兄弟也。
- 唐・元稹〈祭翰林白學士太夫人文〉
嗚呼! 分同伯仲、古則拜親。
また伯仲は轉じて互ひに上下がないことをいふ。
- 三國魏・曹丕『典論・論文』
傅毅之于班固、伯仲之間耳、而固小之。
- 東晉・王羲之〈與謝安書〉
蜀中山水、如峨眉山、夏含霜雹、碑板之所聞、崑崙之伯仲也。
仲は中に同じく、中間、居中(眞ん中、中央、中間)を表す。
- 『淮南子・天文』
太陰在四仲、則歲星行三宿。
高誘注仲、中也。四中、謂太陰在卯、酉、子、午四面之中也。
一年に四季あり、每季に三ヶ月あり、古代には孟、仲、季で季節ごとの月の順序を表し、春季の最初の月を孟春といひ、二番目の月を仲春といひ、三番目の月を季春といふ。
- 『逸周書・周月』
凡四時成歲、歲有春夏秋冬、各有孟仲季以名十有二月。
- 『楚辭・九章・哀郢』
民離散而相失兮、方仲春而東遷。
王逸注仲春、二月也。
仲はまた古樂器名。
- 『爾雅・釋樂』
大籥謂之產、其中謂之仲、小者謂之箹。
邢昺疏籥、樂器名、其大者名產、其中者名仲。
- 『字彙・人部』
仲、樂器。
屬性
- 仲
- U+4EF2
- JIS: 1-35-71
- 當用漢字・常用漢字