耑 - 漢字私註

説文解字

物初生之題也。上象生形、下象其根也。凡耑之屬皆从耑。
耑部

康煕字典

部・劃數
而部三劃

『廣韻』『集韻』𠀤多官切、音端。『說文』物初生之題也。上象生形、下象其根也。《註》臣鉉等曰、中一地也。『增韻』物之首也。『周禮・冬官考工記・磬氏』已下則摩其耑。『釋文』耑、本或作。『集韻』端、通作耑。

又『集韻』昌緣切、音穿。罄穿也。『周禮・冬官考工記・釋文』耑、劉又音穿。

○按『說文』耑自爲部、今从『正字通』倂入。『玉篇』古文端字。註見立部九畫。

音訓・用義

(1) タン(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・桓・端』多官切〉
(2) セン 〈『集韻』昌緣切、音穿〉
(1) はし。こぐち。

また專と通用する。

解字

白川

象形。若い巫女が端然と坐する形に象る。

説文解字に物初めて生ずるのはしなりとし、草木初生の象とする。

字は而に從ひ、而は髮を髡にした巫女の正面形。上部は髮飾りをつけてゐる形。共感呪術として、巫祝の徒を毆つことがあり、、徵はその側身形に從ふ。微は敵の呪詛を「くする」、徵は懲らす意。

耑に從ふ字は、若い巫女の姿と解するとき、概ねその聲義を説くことができる。

耑の字形は、列國期の《義楚耑》《徐王耑》の耑(觶)に見える。

藤堂

象形。一の兩側に布端が垂れたさまを描いたもの。

落合

甲骨文は、沚あるいはと、不のやうな形の會意。植物が生える樣子とする説が有力視されてゐるが、上部は明らかに足の形を描いてをり、誤り。甲骨文には地名の用例しかなく、成り立ちを明らかにできる記述がないが、字形通りに解釋すれば足首を切つた狀態といふことになる。不や(沚を構成する)小點は、切つた足から出た血液の表現であらう。甲骨文にまた耑の上下逆向きと戌に從ふ字がある。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 地名またはその長。攻撃對象になることもある。《合集》6843貞、𢧀其大敦耑。
  2. 祭祀名。《合集》13390貞、茲耑雲、其雨。

字形は古文で顏の象形と解釋されたやうであり、上部が頭髮の形、下部が髭の象形である而に變形した。

漢字多功能字庫

甲骨文は上部の之(に從ふ)と、下部の不と、數點に從ふ。構形初義に二説ある。一つには、上部は植物の初生の枝葉を象り、下部は植物の根の部分を象る、とする(許慎、李孝定)。本義は植物の根の端。羅振玉は、數點は植物を養ふ水を象るとする。もう一つには、人體の倒置で、上部は最下端の足、下部は人體の最上端の頭髮を象るとする(陳世輝)。本義は兩端、末端。

金文の上部は之に從はず、下部は而に從ひ、字形は小篆に近い。

甲骨文では方國名に用ゐる。

金文での用義は次のとほり。

耑はの初文で、戰國楚簡では讀んで端となす。

耑の開端(發端、始まり、絲口の意)の義は後に端により取つて代はられ、今日では多く書簡において、末尾の「耑此」の如く、專の別の書き方とされる。

屬性

U+8011
JIS: 2-85-6

関聯字

耑に從ふ字

耑聲の字