止 - 漢字私註
説文解字
下基也。象艸木出有址、故以止爲足。凡止之屬皆从止。諸市切。
- 二・止部
説文解字注
下基也。與丌同部同義。象艸木出有阯。止象艸木生有阯。屮象艸木初生形。𡳿象艸過屮枝莖益大。出象艸木益滋上出達也。故㠯止爲足。此引伸假借之法。凡以韋爲皮韋、以朋爲朋黨、以來爲行來之來、以西爲東西之西、以子爲人之偁、皆是也。以止爲人足之偁與以子爲人之偁正同。許書無趾字。止卽趾也。『詩〔周南〕麟之止』。『易〔賁〕』賁其止。『〔同・夬〕』壯于前止。『〔儀禮〕士昏禮』北止。《注》曰、止、足也。古文止爲趾。許同鄭从今文。故不錄趾字。如从今文名、不錄古文銘也。或疑銘趾當爲今文。名止當爲古文。周尚文。自有委曲煩重之字不合於倉頡者。故名止者、古文也。銘趾者、後出之古文也。古文禮今文禮者、猶言古本今本也。古本出於周、從後出之古文。今本行於漢、轉從冣初之古文。猶𣜩楷之體、時或有捨小篆用古籒體者也。諸市切。一部。凡止之屬皆从止。
康煕字典
- 部・劃數
- 部首
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤諸市切、音芷。『說文』下基也。象艸木出有址、故以止爲足。『徐曰』初生根幹也。
又『廣韻』停也、足也。『易・艮卦』艮、止也。時止則止、時行則行。『老子・道德經』知足不辱、知止不殆。
又靜也。『禮・玉藻』口容止。《註》不妄動也。『莊子・德充符』人莫鑒於流水、而鑒於止水、唯止能止衆止。
又已也、息也。『論語』止吾止也。『史記・酷吏傳』寇盜不爲衰止。
又居也。『詩・大雅』乃慰乃止。
又『商頌』邦畿千里、惟民所止。
又心之所安爲止。『書・益稷』安汝止。『孔傳』言當先安好惡所止。『正義』曰、止謂心之所止。『大學』云、爲人君止於仁、爲人臣止於敬、好惡所止、謂此類也。又朱子曰、止者、必至於是而不遷之謂。
又留也。『論語』止子路宿。『孟子』可以止而止。
又行師營曰止、暫待曰次。又凡戰而被獲曰止。『左傳・隱十一年』公與鄭人戰於狐壤、止焉。『杜註』內諱獲、故言止。又『僖十五年』輅秦伯將止之。
又容止。『詩・鄘風』人而無止。《箋》止、容止。無止則無禮節也。『孝經・聖治章』容止可觀。
又舉止。『齊書・張欣泰傳』欣泰著鹿皮冠衲衣。世祖曰、將家兒何敢作此舉止。
又俗謂德行曰行止。『外史檮杌』鄭奕敎子『文選』。其兄曰:莫學沈、謝嘲風弄月、汙人行止。
又樂器。『爾雅・釋樂』所以鼓柷謂之止。《註》止者、其椎名也。『書・益稷』合止柷敔。『鄭註』柷、狀如漆桶、中有椎、合之者、投椎於其中而撞之。
又鳥集亦曰止。『詩・小雅』載飛載止。
又三止、三禮也。『班固・幽通賦』嬴取威於百儀兮、姜本支乎三止。《註》謂齊之先伯夷典三禮也。
又語辭。『詩・周頌』百室盈止、婦子寧止。
又首止、衞地名。在陳留襄邑。『春秋・僖五年』齊侯會王世子于首止。
又與趾同。『儀禮・士昏禮』皆有枕北止。『鄭註』止、足也。古文止作趾。『山海經』韓流麟身、渠股豚止。『郭註』止、足也。『前漢・郊祀歌』獲白麟、爰五止。『師古註』止、足也。時白麟足有五蹄。
音訓
- 音
- シ(漢、呉) 〈『廣韻・上聲・止・止』諸市切〉[zhǐ]{zi2}
- 訓
- とどめる。とめる。とどまる。とまる。やめる。ただ。
解字
白川
『説文解字』は、止、之をともに草木初生の象と解するが、いづれも趾あとの形。
『禮記・曲禮上』に何くにか止せんかと問ふ
とは、寢臥のとき、趾を向ける方向を問ふ意。また強く趾あとを印するのは、そこに止まる意。
副詞の「ただ」や終助詞に用ゐるのは、假借の用法。
藤堂
象形。足の形を描いたもので、足がじつとひと所にとまることを示す。趾の原字。
落合
足(足首)の象形。五指が三指に簡略化されてゐる。殷代の字形では企や足などで人體の一部として使はれてをり、足跡の意は引伸義と考へられる。
步行を象徵し、甲骨文の要素としては、足に關係する字のほか、進行に關する字にも使はれる。
甲骨文での用義は次のとほり。
- あし。足首。この場合には繁文の趾と釋す。《東京大學東洋文化研究所藏甲骨文字・圖版篇》427
貞、疾趾、惟有𧉘。
- ゆく。前に進むこと。目的地に行くこと。また、復止は戻ること。《合集》5618
辛卯卜貞、令周從永止。八月。
- この。連體修飾の助辭。之の略體。
東周代には轉じて「とまる」の意味に使用された。
足や足跡の意味については、隸書で意符として足を加へた趾が作られた。
現用の字形では、上向きは止の形、下向きは夂や夊の形になることが多い。
漢字多功能字庫
甲骨文、金文は、人の足の裏を象る。今通用してゐる止字は隸變の結果である。隸變以前の古文字には、左右、上向き下向きの別があり、止(上向き左足)、𣥂(上向き右足)、夊(下向き右足)、㐄(下向き左足)の四つの形があり、他にも變形がある。
止は趾の初文で、片方の足の裏全體を指し、甚だしきに至つては移動してゐる人身をすべて指す。後に假借して停止や制止の止となす。
甲骨文での用義は次のとほり。
- 本義に用ゐる。《合集》13688
疾止
は、脚に疾があること。 - 方國名、人名に用ゐる。
- 祉と通じ、祭名に用ゐる。《合集》23408
止(祉)日。
金文では人名に用ゐる。五年琱生簋(舊稱五年召伯虎𣪕)余老、止公僕墉(庸)土田多𧧒。
は、我は既に老い、止公の有する田や人は何度も司法方面の調査に遭つた、の意(林澐)。
屬性
- 止
- U+6B62
- JIS: 1-27-63
- 當用漢字・常用漢字
関聯字
止に從ふ字を漢字私註部別一覽・止部に蒐める。