甚 - 漢字私註

説文解字

尤安樂也。从、从匹耦也。
甘部
𠯕
古文甚。

康煕字典

部・劃數
甘部四劃
古文
𠯕
𥱅

『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤時鴆切、音任。『說文』尤安樂也。『廣韻』劇過也。『韻會』尤也、深也。『易・繫辭』其道甚大、百物不廢。『詩・小雅』彼譖人者、亦已大甚。『淮南子・修務訓』由此觀之、則聖人之憂勞百姓甚矣。

又『唐韻』常枕切『集韻』『韻會』食荏切『正韻』食枕切、𠀤音忍。義同。『潘岳・關中詩』主憂臣勞、孰不祇懍。愧無獻納、尸素以甚。叶上寢稔。

部・劃數
口部四劃

『玉篇』古文字。註詳甘部四畫。

部・劃數
竹部十劃

『字彙補』古文字。註詳甘部四畫。

音訓

ジン(呉) 〈『廣韻・上聲・寑・甚』常枕切〉〈『廣韻・去聲・沁・甚』時鴆切〉
はなはだしい

解字

白川

象形。竈の上に烹炊の器をかけてゐる形で、烹飪の意。

説文解字に尤も安樂するなり。甘匹に從ふ。匹は耦なり。と、匹の會意とし、男女相たのしむ意とする。媅の意を以て解するが、古文の字形は竈に鍋をかけた形。斗を以てこれをくむを斟酌といふ。

『左傳』に見える裨諶は、神竈と同一人であるらしく、甚、竈對待の名字を持つ人であらう。

煮すぎることを過甚といふ。

藤堂

(うまい物)と匹(色事)の會意。匹はペアを成してくつつく意で、男女の性交を示す。甚は、食道樂や色事に深入りすること。

漢字多功能字庫

金文はに從ふ。下部の象るところは不明。高鴻縉は、下部は飯匙を象り、食物を掬つて口に入れる形を象り、口食止まざるにより、太甚(ひどすぎる)の意がある、とする。

金文はあるいは口ではなくに從ふ。口の中に一橫劃を食筆に加へるものである。

金文では、人名に用ゐるほか、通讀して湛となす。晉侯對盨甚(湛)樂于邍隰。は、原野で享樂にふけるの意。『國語・周語』虞于湛樂、淫失其身。杜預注湛、淫也。

屬性

U+751A
JIS: 1-31-51
常用漢字
𠯕
U+20BD5
𥱅
U+25C45

関聯字

甚に從ふ字

甚聲の字